yuuの夢物語

夢の数々をここに語り綴りたい

小説 冬の路・・・4

2008-04-06 16:03:52 | 創作の小部屋
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この作品は省三33歳からの軌道です・・・。ご興味が御座いましたら華シリーズもお読み頂けましたらうれしゅう御座います・・・お幸せに・・・。

冬の路 (省三の青春譚)
白い路が続く、そこへ思いの雫が・・・。
 


 省三はカメラを持って、近在の神社やお寺、民家を写して歩いた。明治時代に大洪水があり沢山の人命が失われた。百のお地蔵さんを各所に奉ったということで、そのお地蔵さんを探し写真に撮ろうとした。百体あるというが何処を探しても三体しかなかった。都市計画により整備され道が造られ家が建ってその痕跡はなくなっていた。年寄りに聞いたがその場所に行くと人家の庭になっていたり、川幅の拡張で道になっていたりした。
 悠一と豊太を助手席に乗せゆっくり走った。最初は怖かったがなれるとそれは出来た。
 育子の故郷、悠一と豊太の故郷の勉強をしようとしたのだった。現実からの逃避が今の省三には必要なことのように思えた。
 この地方の史談会に入り郷土史家の話を熱心に聴いた。郷土史家の本も読んだ。貧しかったが食べることになにの不自由なかったこの地は、今コンビナートに呑み込まれ豊になったが過去を忘れ、何かが不在の地に変えていると省三は思った。それは営々と続いてきている仕来りの忘却だった。先祖の墓参りも忘れ、祭りの準備もしなくなっていた。無駄と思えることを切り捨てて生きているのだった。金が入るとかつての精神の主軸を忘れると言うのか、夫婦で海外旅行に現を抜かしていた。何処何処に行ったという会話が挨拶になっていた。野菜を作り米を植えることを疎かにしだした。作るより買った方が安いと言うのがその理由だった。田地は荒れ草ぼうぼうで隣に迷惑を掛けても知らんふりだった。先祖代々住み繋いできた本家普請の家も簡単に壊し新しい豪華な家に建て替えた。自分の快適な生活だけが望みになっていた。
 省三は壊される前に古い家を被写体として捉えて歩いた。



(この小説は「十七歳の海の華」の続編である。彷徨する省三の青春譚である。
ここに草稿として書き上げます。書き直し推敲は脱稿の後しばらく置いて行いますことをここに書き記します)
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皆様御元気で・・・ご自愛を・・・ありがとうございました・・・。

恵 香乙著 「奏でる時に」
あいつは加奈子を抱いた。この日から加奈子は自分で作った水槽の中で孤独な魚と化した。

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1982年、まだ美しかった横浜―風変わりなおんぼろ塾で、あたしたちは出会った。ロケット花火で不良どもに戦いを挑み、路地裏を全力疾走で駆け抜ける!それぞれが悩みや秘密を抱えながらも、あの頃、世界は輝いていた。大人へと押しあげられてしまったすべての人へ捧げる、あなたも知っている“あの頃”の物語。

山口小夜著「青木学院物語」「ワンダフル ワールド」の文庫本・・・。

作者のブログです・・・出版したあとも精力的に書き進めています・・・一度覗いてみてはと・・・。
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