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夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

吉田修一著「湖の女たち」 〈新潮文庫〉

2024-02-27 20:08:34 | 本と雑誌

 

介護士をしている女性は さして愛情もない男と付き合っている

その女性佳代が働く施設で100歳になる入居者が不審な死を遂げる

捜査にあたる刑事は 松本という介護士を犯人に仕立てようとする取り調べをする

執拗な取り調べに疲れた松本は交通事故を起こしてしまった

刑事の一人濱中は・・・・・佳代を出口の無い情事に引きずり込む

また別の事件を調べていた記者の池田は・・・その事件の大元の人間関係が遠い戦時中にあるらしいことに気づくが 襲われてしまう

これ以上 調べるなら命は無いぞ

そう脅されるのだ

極寒の満州の湖で命を奪われた少年少女

 

また別の施設でも高齢者の女性が不自然な死を遂げる

濱中と佳代の どうしようもないぐだぐだな情事

特に濱中に至っては 妻の華子が出産したばかりなのに・・・・・

―お前は下半身変態男か!-

佳代も 好きでもない恋しても無い男に溺れ やってもいない殺しの犯人なのだと言ってみたり

もう読みながら いっそこんな人間たち どっかで殺されればいいのにーなどと思ったりした

けっこう嫌などうしようもない人間が登場する物語でもある

そして・・・・・

池田は高齢者殺しの犯人に気づく

過去の事件と重なるように浮かび上がる

害虫駆除

殺してもかまわないモノ

 

 

小説は あくまで創作された物語

事実と混合しないで読んでほしい・・・などとも思います

 

本の帯によれば 映画化決定 2024年初夏 全国公開とか

 

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あさのあつこ著「乱鴉の空」 〈光文社文庫〉

2024-02-27 08:35:51 | 本と雑誌

 

実の父親から苛酷な・・・育て方をされたが 武士という身分を捨て生き直している清之介

今は遠野屋の主人におさまり商売も大きくしている

実に切れる同心だが人間的にはかなり問題もある木暮信次郎

木暮に使われる岡っ引きの伊佐治

この三人のもとへ謎 もしくは事件が集まり からみあい

それをときほぐしていく

そんなシリーズは 遠野屋清之介の妻おりんが水死体となって発見される「弥勒の月」から始まった

ゆえに弥勒シリーズとも呼ばれる

本作「乱鴉の空」はシリーズ11作目となる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最新作は単行本

 

 

本作「乱鴉の空」では 帯に

ー木暮信次郎が、消えたーとある

裏表紙の内容紹介では

ー北町奉行所の定町廻り同心の木暮信次郎の姿が消えた。

奉行所はおろか屋敷からも姿を消し、信次郎から手札を預かる岡っ引きの伊佐治は、大番屋に連れて行かれる。

伊佐治の解き放ちに奔走した小間物問屋「遠野屋」主〈あるじ〉・清之介は伊佐治と二人で信次郎を捜し始める。

一方、北町奉行所に不審な影が。

最後に待っている衝撃の真相!-

 

物語の冒頭 まず木暮の屋敷に朝から同心が押しかけ 荒っぽい家探しを始める

昨夜遅くに帰宅したはずの木暮は何処にもいない

留守を預かる老女のおしばも小者の喜助にも 木暮が何処にいるのか心当たりもない

木暮の身に何が起きているのか

どういうことに巻き込まれたのか

伊佐治が営む「梅屋」にも同心が押しかけ 大番屋に伊佐治は わけがわからないまま連れていかれる

大きな商談を終えて 食事でもと遠野屋が訪ねると 梅屋は閉店・・・・・

ただならない様子を案じる遠野屋

伊佐治の身に何かあっては・・・と 旧知の人間に依頼

かくして翌朝 自由の身になった伊佐治と共に 遠野屋はこの謎を解くべく動くことにする

遠野屋は やがて木暮の居場所に見当をつけることができた

 

遠野屋の過去・・・・・故郷からの訪問者

合わない数字は次作への伏線かと

遠野屋の過去・・・・・

それはいつまで凄惨な影を落とし続けるのか

 

潜んでいた木暮の抱えていた秘密 事件の真相

人を殺すのが楽しい男

惚れた男の行方を ただ探していただけの女すら斬り捨てる

多少腕自慢の男など 遠野屋のまともな相手にもならない

 

このシリーズを丁寧に振り返る解説を書かれたのは 「時代小説SHOW」管理者の理流さん

 

 

長く続くシリーズ物の魅力は 登場人物の変化

その関係の変化 ふくらみにもあります

独り故郷から離れ 出逢った娘の夫となり その娘に己の過去ゆえに死なれた男

捨てた身分・・・・・

町人となり娘の実家の店を 商売を大きくするために店主として生きている

生き続けていれば背負うものも増える

 

片や同心という世襲の身分以外は持たない男

同心でなければ ただの無頼

心の奥底にあるだろう熱いものは誰にも見せない

 

反目しあっているようにも見えるけれど 通じているものもあり

言葉に出さずとも事が起きれば 「動ける」

 

この二人の男に時に呆れながら その生きざまを案じている伊佐治

そうして彼らを取り巻く周囲の人々・・・・・

それぞれの人生すら心配になる 

安心できない「何か」も秘めてシリーズは進んでまいります

 

 

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