実の父親から苛酷な・・・育て方をされたが 武士という身分を捨て生き直している清之介
今は遠野屋の主人におさまり商売も大きくしている
実に切れる同心だが人間的にはかなり問題もある木暮信次郎
木暮に使われる岡っ引きの伊佐治
この三人のもとへ謎 もしくは事件が集まり からみあい
それをときほぐしていく
そんなシリーズは 遠野屋清之介の妻おりんが水死体となって発見される「弥勒の月」から始まった
ゆえに弥勒シリーズとも呼ばれる
本作「乱鴉の空」はシリーズ11作目となる
最新作は単行本
本作「乱鴉の空」では 帯に
ー木暮信次郎が、消えたーとある
裏表紙の内容紹介では
ー北町奉行所の定町廻り同心の木暮信次郎の姿が消えた。
奉行所はおろか屋敷からも姿を消し、信次郎から手札を預かる岡っ引きの伊佐治は、大番屋に連れて行かれる。
伊佐治の解き放ちに奔走した小間物問屋「遠野屋」主〈あるじ〉・清之介は伊佐治と二人で信次郎を捜し始める。
一方、北町奉行所に不審な影が。
最後に待っている衝撃の真相!-
物語の冒頭 まず木暮の屋敷に朝から同心が押しかけ 荒っぽい家探しを始める
昨夜遅くに帰宅したはずの木暮は何処にもいない
留守を預かる老女のおしばも小者の喜助にも 木暮が何処にいるのか心当たりもない
木暮の身に何が起きているのか
どういうことに巻き込まれたのか
伊佐治が営む「梅屋」にも同心が押しかけ 大番屋に伊佐治は わけがわからないまま連れていかれる
大きな商談を終えて 食事でもと遠野屋が訪ねると 梅屋は閉店・・・・・
ただならない様子を案じる遠野屋
伊佐治の身に何かあっては・・・と 旧知の人間に依頼
かくして翌朝 自由の身になった伊佐治と共に 遠野屋はこの謎を解くべく動くことにする
遠野屋は やがて木暮の居場所に見当をつけることができた
遠野屋の過去・・・・・故郷からの訪問者
合わない数字は次作への伏線かと
遠野屋の過去・・・・・
それはいつまで凄惨な影を落とし続けるのか
潜んでいた木暮の抱えていた秘密 事件の真相
人を殺すのが楽しい男
惚れた男の行方を ただ探していただけの女すら斬り捨てる
多少腕自慢の男など 遠野屋のまともな相手にもならない
このシリーズを丁寧に振り返る解説を書かれたのは 「時代小説SHOW」管理者の理流さん
長く続くシリーズ物の魅力は 登場人物の変化
その関係の変化 ふくらみにもあります
独り故郷から離れ 出逢った娘の夫となり その娘に己の過去ゆえに死なれた男
捨てた身分・・・・・
町人となり娘の実家の店を 商売を大きくするために店主として生きている
生き続けていれば背負うものも増える
片や同心という世襲の身分以外は持たない男
同心でなければ ただの無頼
心の奥底にあるだろう熱いものは誰にも見せない
反目しあっているようにも見えるけれど 通じているものもあり
言葉に出さずとも事が起きれば 「動ける」
この二人の男に時に呆れながら その生きざまを案じている伊佐治
そうして彼らを取り巻く周囲の人々・・・・・
それぞれの人生すら心配になる
安心できない「何か」も秘めてシリーズは進んでまいります
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ごめんなさい