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夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

宮部みゆき著「希望荘」 (小学館)

2016-07-24 21:08:14 | 本と雑誌
希望荘
宮部 みゆき
小学館



「誰か」「名もなき毒」「ペテロの葬列」の杉村三郎が探偵事務所を構えて 遭遇する人々と事件

「聖域」
近所の女性から死んだはずの人間を見た もしくはとてもよく似た人物を見たのだと相談を持ち掛けられた杉村

三雲勝枝という老女は「死ぬ」という電話を寄越して後 消息不明になったのだと

新興宗教にはまった娘が金をせびるので逃げて・・・一人で部屋を借りて住んでいたと

杉村が訪ねると以前の住所には 勝枝の娘と同じ組織の仲間の娘達三人が暮らしていたが 勝枝の娘は居なかった


母は娘を頼る 娘は母親に金がある間は一緒に暮らすのだろう



「希望荘」
死んだ老人は生前 女性を襲って殺したことがあるーそんなことを言っていた
だが依頼を受けて杉村が調べた限り 老人はジェントルマンと呼ばれるほどの人物であった

老人は何故そんなことを言ったのかー 老人が過去に遭遇したであろう事件から 杉村はある推察をする


「砂男」
うまくいっているように見えた夫婦なのに その夫が浮気して駆け落ちしたという


家族の為にお金が必要であった青年は戸籍を売った しかし売った相手は青年の姉妹に邪な悪い気持ちを持っているようで 青年は家族を守る為にある行動を起こした

それは青年の心をさいなみ続けていた


「二重身」
行方不明になった店主 東北の大震災の頃で・・・・それが目くらましになっていた

人を接するのに不器用な少女

そんな少女をいじめる性悪な娘

消えた弟を案じる兄

震災後杉村が間借りするように屋敷の一部を暮らし始めた家の息子は 今後 良き杉村の仕事の助っ人となるかもしれない



杉村が暮らす家の周囲の人々の温かさ
拡がっていく人の輪


シリーズ当初 杉村には妻がいた

シリーズが進み その結婚生活は終ってしまったのだけれど 杉村を一人にする意味があったのかーと今でも思ってしまう

最初から作者の構想にあったことかもしれないけれど

入り婿 妻の浮気 終わる結婚 追い出される婿
「希望荘」でも まるで杉村の身の上をなぞるように出てくる 似た話

著者はこのシリーズで何を描いていきたいのだろうか
杉村は真実を追求し続けて一生を終えるのだろうか

このシリーズの行きつくところに何があるのだろうかと ちょっと思う

内藤了著「ONE 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子」 (角川ホラー文庫)

2016-07-24 00:21:27 | 本と雑誌
ONE 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 (角川ホラー文庫)
内藤 了
KADOKAWA/角川書店




















シリーズ前作「ZERO 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子」にて 藤堂比奈子は犯人によって誘い込まれて負傷した
看護師を殺して脱走して都夜は かつて「CUT-」にて藤堂比奈子が逮捕した恐るべき連続殺人犯

都夜は呼吸するよりも容易に人を殺す
都夜は自分をあがめる人物が比奈子を確保したことを知る

若々しく美しい比奈子の皮膚・・・その皮膚で作品を作ることが都夜の目的


警察や比奈子と今迄に関わった人間達は行方不明の比奈子の身を案じて必死に探すがー

比奈子を思う中島保も犯人のプロファイリングに身を削る


ZEROから続く不気味な事件での犯人の心理が明らかになる

望まれなかった子供 愛されなかった子供

少年は父親と同じ目をして産まれた為に母親からすら愛されなかった

これまでの凶悪ぶりを思えば あっけないほどの都夜の最期

闇の中でも目の見える少年対都夜


ZEROからONEへ



いつか少年が「愛」を理解した時 少年の心はどうなるのだろうか