![]() | 代償 (角川文庫) |
伊岡 瞬 | |
KADOKAWA / 角川書店 |



奥山圭輔は 一人の男によって家族も家庭も奪われた
まだ小学生の自分と同じ年齢の男・達也によって
手作りのカレーに睡眠薬を仕込みー深い眠りに落ちた両親は 火事で死んだ
その両親が遺した家財・現金も不動産も達也とその継母の道子に奪われた
達也は圭輔が心を寄せていた少女も輪姦させる
圭輔の親友・諸田寿人もリンチにあった
なすすべもなく生きる気力も喪っていた圭輔を救ってくれたのは寿人とその親戚の牛島夫妻であった
牛島夫妻の保護のもと成長し 弁護士となった圭輔に ある犯罪の容疑者となった達也が弁護を依頼してくる
接見するうちに 圭輔は達也が 圭輔の睡眠薬で意識ない母親を凌辱してから死にいたらしめたことを知る
達也の嘘を信じる女性の言葉の為に弁護士としても窮地に陥る圭輔だが 寿人は達也の犯してきた罪を調べていた
二人 力を合わせて調べていくと アリバイある達也が何故アリバイを言い立てず容疑者のままでいたのか その狙いがおぼろげながら見えてきた
その悪意ある言動で子供の頃から 関わる人間を不幸にし 死なせてもきた達也
達也の裏切りを思い知らされた道子は・・・・毒を達也に盛った
達也は命は長らえたがー毒により身体を損なわれている
逃れようない罪でも裁かれようとしていた
幾人もの人間を殺した人間が ただ一度の死刑で赦されるのだろうか? 許していいのだろうか?と思うことがあります
死刑囚はいつ告げられるかわからない死に怯えている
充分に苦しんだーと見る人も
では罪なく命を奪われた人間は
暴力の被害に遭い その後遺症に苦しむ人間は 何処に救いを求めればいいのでしょう
罪を憎んで人を憎まずーという言葉はあります
しかし罪を犯すのは人間・・・・
その罪に赦していい種類と これは許してはいけない罪があるーと 思います
自分の欲望だけで 人の命を損なったり 人の身体を傷つけたり・・・・・
そうした人間を理解しようとか正当化したりとか
それはちょっと狂っているー
悪いことをした人間がきっちり裁かれる
世の中であってほしいと思います
悪霊も恐ろしいですが 他人の不幸を願って計画立てて付け狙う 逆恨みして悪意ある噂を立てる
生きた人間の捻じれた心もたいそう恐ろしいものです
この作品「代償」について著者の伊岡瞬氏のインタビュー記事など↓
http://renzaburo.jp/interview/025/