本書は著者が20代半ばに書き上げた
弱冠22才でデビュー作「さよならを告げた夜」(早川書房)を上梓し 早熟な天才と呼ばれているーと三橋曉氏の解説にある
主人公はフランク・テンプル三世
自慢に思っていた父は 彼が17才の時に不名誉な死に方をした
父の死に関し フランクはデヴィン・マティスンへの復讐心を持っていた
家族所有の建物がある島で暮らす父の旧友エズラ・バラードからデヴィン所有の建物に人が来ていると知らされ フランクは島へ向かう
その途中追突事故を起こすが 相手の男こそ デヴィン所有の建物に来た人物だった
デイヴ・オコナーと名乗る男の車を預かった修理工場の娘ノーラ・スタフォードは銃持つ男に襲われるがフランクに救われる
事件にFBIから来た捜査官アトキンズは 父親の事からフランクに疑惑の目を向ける
ハンサムな青年でもあるフランクと美しいノーラにはひかれう気持ちも芽生えるがー
修理工場の従業員ジェリー・ドルソンが惨殺され フランクはノーラを守ろうとする
父親が死んだ時 親しくなったFBI捜査官グレィディ・モーガンから デヴィンが撃たれたが死んではいないこと
彼の妻レニーが行方不明であることを教えられるフランク
グレィディはある秘密を抱えており フランクに対し責任を感じていた
深い事情を知らず 仕事ができないアトキンズは 馬鹿の一つ覚えのように フランクを捕らえれば事件解決と思いこんでいる
エズラとフランクは追っ手からレニーと デイヴと名乗る男ヴォーンを守ろうとはしたが
ノーラが父親に会いに病院に行きデヴィンの手下の待ち伏せの罠にはまり捕らえられ 彼女を人質にフランクも捕まる
フランクは携帯でエズラに異状を知らせ
エズラもレニーとヴォーンを連れ出すがー
重傷のデヴィンを置き ノーラはボートにキングと置かれ キングから暴行されそうになるが エズラの銃弾に救われるも ボートが転覆 湖に投げ出される
テープの為 身動き出来ず沈んでいくしかないノーラは 岸を目指し泳いでいたレニーに助けられる
レニーにのぼせあがり邪魔な夫デヴィンを射殺しようとしたヴォーンは逆上しエズラを射つ
夫を射殺しようとしたのがヴォーンだったと真実を知ったレニーは彼を射殺
フランクは自分を捕らえていたA・Jに逆襲し彼を殺す
更にデヴィンを殺そうとするも 弱ったその姿にレニーと逃がすことを許す
遠くからグレィディが駆けつけた時には全てが終わっており 暴走したA・Jがアトキンズを殺したこと どう事が転がっていたかを知る
誰がフランクの父を裏切ったか真実を話していたらーフランクもエズラも巻き込まれないで済んだのだ
自責の念にかられるグレィディはFBIを辞めることを決意し フランクの父を売ったのは密告したのはデヴィンではなかったことを教える
フランクは放浪をやめ生まれ育った場所で暮らすことを決意し 今後の生活をノーラの気持ちに委ねる
希望を込めて申し出てみた
従業員がいなくなり経営状態が良くない修理工場の共同経営者として
一緒に働く人間として
エズラも命をとりとめ
大団円といえる後味良い見事な終わり方です
最初はもっと暗い終わり方をする物語かと思いながら読み始めました
未訳作品が多い作家さん
今後がとても楽しみです