本と猫好きの日日社会メモ

本当の豊かさって何?などとたまに考えつつ、日日生活に流されながら、猫と戯れ本を読む・・そんな毎日を時々アップします。

「ノマド 冲方丁」2012.6.19日経新聞夕刊

2012-06-20 07:44:30 | なるほど・備忘・お気に入り&その他雑感
19日の日経新聞夕刊7面のらいふのプロムナードは冲方さんという作家の方がいま流行りの”ノマド”について書いておられました。
さすが作家だけあって読みやすくかつ華やかな文章で、ノマドについてなるほどと思う話がありました。

まず、ノマドとは既にみなさんご存じだとは思いますが、記事を引用させていただくと「本来は遊牧民を意味する言葉だが、転じて会社組織から自由になる働き方、ひいてはライフスタイルを獲得した人々を指すという」。

それで作家という個人事業主の著者からすると
「会社組織はノウハウの宝庫である。個人が一から学ぶよりもはるかに効率よく、様々な知識と技術を吸収することができる。」ことになるそうです。
そのあとに続く「そうしたノウハウの開発と蓄積に尽力する人々がいる。組織員の啓蒙に努める彼らが、私を技術者として以上に、人間として成長させてくれたという実感がある。」・・会社という何かとままならない組織にいるとノマドになって思う存分自分なりの仕事をしてみたいと思うだろうけれど、仕事をするという経験が浅ければ、それだけ「自分なり」というものがないわけで、会社の中での成長を肯定したこの個所にまさに、なるほどとなります。

また、組織には若手に不自由さを感じるものであるし、経営ノウハウが権力争いの手段となることもあるけれど、そういったマイナスの感覚を持つことも含めて、個人を成長されるものがあると感じます。

「たとえば今どきの「ネットワークがあれば組織はいらない」という発想には賛同しかねる。もちろん流行のソーシャル・ネットワーク・ビジネスも一理あると思う。だがそもそもネットを維持しているのは多数の組織である・・」

その組織について「膨大な人々に娯楽やビジネスチャンスを提供するため、常にも売れるな速度でノウハウを更新し続ける、巨大な組織群だ。」と書かれています。
この一文を読むと、会社の中ではともすれば歯車の一つにすぎないと感じますが、自分が所属する組織は目的を持って日々進化しているものだと考えるとたとえ自分の能力が組織内で評価されないとしても、その組織にいる以上、自分に許された与えられた仕事・権限の中に限ったとしても、自分がその気になりさえすれば得るものは多いはずで、自分を評価してくれないなんてぐちぐち言っているより、組織を利用して自分の成長する、自分がやりたいことをやって方がいいよねって思います。

著者は『言語』と『数学』を使ってノマド的な生き方をする人がいるとしながら、『ノマド』という言葉を「日本の会社組織における時間的拘束から解放される」という著者なりの意味を与えます。

そして著者が見てきたノマドは、「社則など守らず、すべきことや会うべき人、移動すべき先など、次々に勝手に決めて動いてしまう。夕方に出社し、始発で帰宅するなど自由気ままに振る舞う。そのくせ優れたチームを作り、確実に成果を出す。たとえ管理職になってもなお本人の希望を通し、現場で活躍し続ける。そういう、会社組織を上手に活用し、蓄積されたノウハウを吸収して独自に応用してゆく人々の度を超した「自由ぶり」には、一つの共通する信念があるように思われる。」

社則を守らずとか、夕方に出社するなんていうのは極端すぎて作家ならではの誇張かと思うのですが、組織にいたら、一人や二人、ここに書かれているような人に会っていて、そうそう羨ましいよねって言いたくなります。

そして、「それは、自由意志で仕事をしているという自覚だ。たとえ命令されたことでも、自由意志で選択したという態度を失わない。」
かっこよすぎますが、『ノマド』って流行りの言葉に惑わされることなく、自己の実質的なノマドを追求する。

いまこうしている間にも自分に与えられた時間は刻々と過ぎています。だから、自分の身の振り方をいろいろ思い悩むより、自分の将来の姿を思い描きつつ、いまある環境で最大限できることをした方がいいよね~なんてことを考えさせてくれる記事でした。
まだ手に入れていないものを欲しがるより、与えられた環境を思う存分活かさなければ・・・ちょっと前向きになりました。

コメント
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