本と猫好きの日日社会メモ

本当の豊かさって何?などとたまに考えつつ、日日生活に流されながら、猫と戯れ本を読む・・そんな毎日を時々アップします。

「カイシャ維新 変革期の資本主義の教科書」冨山和彦著

2010-10-16 13:39:50 | 本・雑誌、読書
歴史を見れば、いずれ一つの時代が終わり、新しい時代が来ることはわかっています。
しかし、「いまは大きな時代の変革期だ」などと言われ、変革期なのだろうと思いつつ、現実に生活していく中では、いままでのシステムが続くことを前提に物事を考えているなあと思います。
現状維持が心地よいから、危機に直面してもその場しのぎで対応する。自分もそうですが、それが普通の人の姿のような気がします。
そして・・わかりやすいフレーズを出して現状を分析してちゃっかり儲かっている評論家にすっかり踊らされているような・・

冨山氏の本を読むと巷にあふれている偉そうで薄っぺらな意見と違うスケールの大きさを感じます。
産業再生機構の時代から今に至るまで、たくさんの企業再生に関与してこられ、現場を知っている方だから読んでる者も迫力を感じます。

「カイシャ維新」、「変革期の資本主義の教科書」とも中身とタイトルに若干ギャップを感じますが、この本を教科書に使うとすれば、公式が載っている教科書ではなく、自分たちで考える際のヒント、とっかかりを示してくれている教科書かなと思います。現実に起こっている事態に正解だと言えるものはなく、自分で考えて行動するしかない。考えるために何を押さえておくべきか・・この本から多くのヒントが得られるのだろうと思います。

最初の「私がこの本を著した理由」に、「私自身が今までの人生の中で、そしてこれからも当事者として対峙していく市場、政府、株式会社について考えてみたい。」と書かれているとおり、冨山氏が考えたことが幅広く書かれており、自分の知識では、一度読んだだけでは消化不良です。

リーダーシップについて書いたところに、いいなと思うところがありましたので、ちょっと引用させていただきます。

「よくリーダーシップ本に、ビジョン構想力やプレゼンテーション能力、さらにはそれを合理的な戦略に展開する力の重要性が書かれている。しかしこれらは上手なモチの絵を描く能力に過ぎない。革命を成すには、どんな汚い手を使ってでも権力を奪取し、かつその権力をしたたかに保持しながら、大勢の人々を動かし、かつ抵抗勢力を巧みに封じ込める現実的な能力こそが不可欠だ。戦争と政治に強くなければ、カエサルにも信長にもゲバラにもなれない。そして現実の日本おいては、おそらくこれこそが稀有な才覚なのである。」

リーダーになれる才のある方にはこんなリーダーを目指して欲しいです。
他力本願で申し訳ないですが、近いうちにこんなリーダーが出てこなければ日本は危機を乗り越えられないのでは・・

コメント
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