前向きと振り向き

今日お客さんが、


「最近、緊張することもないし、全く刺激がない。」


とおっしゃるので、



「じゃあNHKのど自慢でも出れば～？」


とご提案いたしました。




「のど自慢に出る。」


ふたりでそれを想像していると、ふたりともどんどん緊張してきた。





なにより緊張するのは、まず出たときに、



「11番、『CAN YOU CELEBRATE？』。」



とか言うときやわ。




リハの時は客席に誰もいなかったのに、いざ出てみると、


『○○ちゃん、がんばって～！』


とかって白い旗がはためいている。




なんとか気持ちを落ち着かせて歌い出せたと思って前を見てみると、


自分の歌のリズムに合わせてその白い旗が、右に左に揺れているではないか！




アカンわ。


無理。


考えただけで、心臓バクバクしてきた。




そもそもどんなに隠していても、


「自分のノドを自慢するためにここにやって来た。」


ってことが皆にバレてしまうとこがツライ。






あの番組に出よう、って人はきっとすごい前向きな人なんやと思う。



振り返って自分を省みたりしないタイプ。




うまく歌えて鐘が鳴って、


頬を紅潮させながら司会者に抱きつく。




その上それだけでは終わらず、


他の人の歌のときに、手拍子と横揺れもせなあかんからな。




アカンわ。


変な汗かいてきた。





マッサージに来てくれたのに、架空の話でふたりとも緊張しまくりガチガチなった。





いつかは我々も前向きな人になって、のど自慢に出たいですね！




いやいや。




飛び入りで手を挙げて、



「コマーシャル！」



って言う方がいい。