
10回目の沖縄。
空港から出ると、雲の切れ間から太陽が出迎えてくれた。
ホテルでダラダラ過ごすつもりだったけど、
それは180回目でいいや。
てくてく歩き、高台の公園へ。

ひと休みしていると、ひとりの旅女子と出逢う。
旅先で出逢う人は、
職業も何も素性がわからないので、安心して話しかけることができる。
逆な気もするけど、いつもそんな気分。
沖縄で一番すきな場所を言いあったところ、
同じ場所でビックリ。
盛り上がり、ビーチへ下りてビールで乾杯。
ふたりで福州園へ。

「よかったらあしたも一緒にまわりませんか?」
って言われたけど、
今晩どんな出逢いがあるかわからないし、
別れた沖縄の恋人と国際通りでばったり会ってしまうかもしれないし、
旅女と明日の約束まではできぬ。
夜。
バーへ飲みに。
一曲うたったところ喝采をいただき、
シャンソン歌手としての地方巡業にまずまずの手応えを感じた後で。
マスターがうたってくれたうた。
石嶺聡子『Shine』。
全然知らん曲やったけど、
さすがやわ、阿木燿子+宇崎竜童。
ぼくの今年の夏が終わった。
いい夏やった。
これから夏が終わる度にうたうと思う。
こうやってこころの中に宝物がひとつづつ増えていって、
なんてことない日々によろこびが生まれるのが人生。
いい気分で酔っ払い、国際通りをフラフラと歩いていると、
ひとりの男子に声をかけられた。
(つづく)