おおみそか

「病人に　おおみそかなし　向かい風」



暗いわ！退院はしたと言っても、今日も朝からアトムになりに病院へ。筋肉落ち過ぎて自転車の進まないこと！向かい風来たら漕いでるのにバックしそうな程。


でも、放射線技師の方々は健康なのに仕事でおおみそかも働いてはって、こころから「ありがとうございます。」と言って帰ってきました。


退院して一番うれしいのは、太陽をじかに浴びれること。1ヶ月ぶりの窓越しじゃない太陽。朝起きてベランダに出て手を合わせた。


きのうはバッチリ副作用も出てしまい、だいぶ挫けそうになったけど今日はまたまっし。どうしてまっしなのか、また分析しつつ、副作用が出たときは大切な人の子供を身ごもってる、と思い込んで過ごすしかない。


念願のおでん食べた。

退院祝い

入院最後の夜、沖縄の夢を見た。


沖縄の夢を見るのは1年半ぶり。あんなに夢を見る方だったのに、ここ1年半はいい夢はほとんど見れなくなっていた。




夢の中では沖縄2日目で、きのうは海に行き今日は帰る日、と思いきや後1日あった！という夢。「やった〜！」と思い沖縄の友達さやかに、「今日も海行こう！」と言うと「私は店行くからシロちゃん1人で行っといで。」と言われてひとりで行く。


夢の中で行く沖縄の海はいつも、夢の中にしかない海で、実際にはない海だけど、夢の中では何度も何度も行ってる海。



沖縄の夢を見たと言うことはここがターニングポイントだ。


朝起きて窓から外を眺めていると、ロート製薬っぽい鳥も飛んでた。



空も晴れて来た。

巣立ち

巣立つのが怖くて退院を1日延ばした。


ほんとにいい病院やった。誕生日を1人で迎えても、クリスマスを1人で過ごしても、そこに孤独感は一切なく、むしろ明日からはほんとに1人の生活。


「なんかお尻の中の方がちょっとだけ痛いような気がする。」などと言った中途半端なたわごとを聞いてくれる人もいまい。


入院生活はあんなにエンジョイしてたのに退院が不安とは。



しのごの言わずさっさと巣立ってください。



最後の夜だ。ナンバーワン・オブ・ザ・売店！



クロワッサン鯛焼きに出会えたのも今回の入院の大きな収穫。

おしゃれサイクルは2ヶ月

昔、美容師御用達の店、岡本商会で買ったポストカード。


失礼すぎる文言が気に入って500枚くらいまとめ買いし、パーマのおしゃれサイクルが過ぎてそうな友達に出したりしてた。
そして500枚もあるから、って友達に50枚くらいあげたのもなんとなく覚えてる。


それを！この1ヶ月近く入院しているという絶妙なタイミングでお見舞いメッセージ書いてよこして来た。


鏡が語りかけておりますとも、ええ！
失礼するにはこれ以上ない完璧なタイミング。友人の成長ぶりに胸が熱くなったわ。



完璧！100点！

空を超えて

生まれて初めての抗がん剤。


手術より怖かったかも。「ほう、そういうのんは怖がる方なんや。」と自分新発見。意外と点滴とかではなく3錠の普通の薬でした。飲んでしまえばなんてことない。


そして、初めての放射線！こういうのはぼく、すきな方なんやわ。よくわかった。なんか大きなすごい機械の下で寝てるだけやねんけど、なんかすごいアトムになった気分になんのよね。「いま、ぼく、強くなってる。」って思いながら受けてた。もちろんお茶の水博士のことはこころから信頼してた。


放射線って言っても、痛みも熱いとかもなく、知らぬ間に終わってました。



今日も初めての経験ふたつ。たのしかったけどこれから25日続きます。すぐ飽きそう。

珍種

1000人にひとりのがんやった。


がんにも種類があるらしく、だいたいできる場所によってどのがんかある程度決まってるらしい。それが、「なぜこんなところにこのがんが・・・。」という感じみたい。


それによって治療がむつかしくなるとかいう訳ではないので別にいいのだけど、「珍しい。長い経験の中でも記憶にない・・・。」と言われ、全く思い当たる節がないわけではないぼくは、うつむき加減でやり過ごすしかなかった。


明日から抗がん剤と放射線スタート。そしてスタートと同時にもういつ退院してもいいみたい。明日、治療を受けた感じで自分で決めていいとのこと。なので、「グエェェエエ〜！アカン〜！」とかならない限りあさって退院するつもり。


気づけば、シャンプーもイソジンも明日で終わり。コインランドリーで使ってたテレビカードも残り洗濯1回分。あんなにあったお菓子も明日で食べきりそう。


うまくなってる。そういうことだったのだ。いよいよ退院だ。

深海の街

ぼくは泳ぐのが得意で息も魚並みに続く。


海の中で仰向けになり体から空気を抜きながら沈んで行くと海底で寝ることができる。海底に寝転びながら、空気の泡がゆらゆらと上っていく様を見るのがすき。そしてその上の海面を見上げると、ぼんやりと太陽の光が見える。ぼくのすきな底からの景色。


きのう、来年のユーミンのツアーのチケットをエントリーした。4月。行きたい。「コロナの混沌としたこの時に向けた屈指のショー。」とか行った人が書いてて、とにかく体験したい。シャングリラとかとはまた違った、ユーミンの悲しみや憂いやそして希望を感じられるツアーになっているはず。


今朝、お客さんからトランペット動画が届いた。この方の発表会の動画を見てぼくもトランペットを買ったのです。お正月の淀川、凛とした空気の中でトランペットが吹きたい。そういや凧上げもしたい。走って凧上げてキャッキャ言いたい。

飽きた。

世界よおはよういい天気。


けっこう初めから病気を正面から受け止め、健気にもそこから何かを学ぼうとし、闘病という経験をきちんと味わって過ごしてきたと思うけど。飽きた。


といっても治療をやめるわけではなく、それはそれで継続はするけど、決してそのことを人生のメインに置かないということ。短期間で学びたいことはけっこう学べた。


他のことがしたい。クリエイティブなことがしたい。今回の入院は急だったのでなんの用意も準備もできなかったので仕方ないけど、次回の入院はちゃんと準備してまた違う感じで過ごしたい。いっぱい曲作ったり、絵を描いたりそんな風に過ごしたい。


死なないために生きてるわけではなく、生きるために今日も目覚めたのだから。



朝からまたムンムン。

クリスマスの食欲

「普通に生きてたら年に一度食べるか食べないかなのに、入院してたら週に3回食べるものはな〜んだ？」


カリフラワー、はい正解。きのうはポテサラと思って口に入れるとオカラだったという痛恨のミス。オカラも嫌いじゃないけどポテサラと思って食べた場合の訂正は効きにくい。


今日は、決して表には出ない独自のルートを使ってケーキを入手。



コレ、病人が食べていいんでしょうか・・・？恐る恐る三等分して3回に分けて食べるつもりやったのに一回でペロリ。食べ終わったとき、別のルートからまたお菓子が届き、それが気の利いたことにキャベツ太郎とか辛い系も入ってたので甘いの辛いのエンドレス。


まだ食べれるけど今日はクリスマスディナー！AタイプかBタイプか誰も希望を聞いてくれなかったけどどっちが来るのか。


でもどちらにしても「タラモサラダ」は付いてくる。今日は逆で行ってみよう。オカラと思って食べてみたら「タラモサラダやん！」ってのはけっこうなしあわせを運んできそうな気がするぞ。

検査の結果

やっぱりがんやった。


しかしある意味ホッともしてる。そもそもはじめのMRIかCTでリンパの転移は見つかっており、かつ他臓器への転移は確認されなかったから、「助かる。」と思ってたし先生も「助けてあげられる。」と思ってくれてるのがひしひしと伝わってきてたから。


なので、確定診断が出ず、治療もなく時だけがただ流れているのはやるせなくもあったし先生も困ってる様子だった。


とにかくネクスト。治療だ。なんか生きてる感じがしてきたぞ。ムンムンだ。


ぼくにとっては、『闘病』という1ジャンルを人生の中で経験しているのに過ぎず、この経験は必ず役に立つ。そもそも親しい人が病気になったりすると、どう接していいかわからず、いつも困ってた。傷つけたらどうしよう？とかも思って避けたりすることさえあった。


今回、仲のいい友達たちの反応もいろいろで、力強く対応してくれる人、すごい心配してくれてきっと泣きながらぼくに関わってくれてる人。でも、どんな反応であっても、逃げずに関わってくれてるそのことがほんとうにうれしい。そう言うことだったのね。正解などなくてただ想いはいつもまっすぐに伝わると言うこと。


ほら、もうすっごい勉強になってる。


生きてるし向かって行ってる。ムンムンだ。