奈良・佛教大学通信 奈良!奈良!いつもは京都

奈良大通信卒業後佛教大通信へ。日本史を学ぶOLD大学生の記録です。

『学問のすすめ』という本

2020-10-31 23:14:00 | 
私が本を読んでいると、その題名や著者を見て何かしら物言いたげになる家人が、今回は全くその素振りを見せない。何となく分かる気がする。有名過ぎるのだ。読んではいないようだが。

「翁は敵人に誤解せられ、味方に了解せられず」(福澤についての徳富蘇峰の言葉)


全17遍の構成になっている。第13遍まで(前半)は、国家と個人の関係を、当時誕生間もない近代国家日本の実情に即して語っており、第14遍以降(後半)では、人生設計の技術や判断力の鍛え方などビジネス書的な要素が盛り込まれている。
そして"はじめに"では、むしろ後半から読むことを勧めるような書き方がされている。

後半は、確かにそのように考えて行動規範の原則を定めておけば、向上するのに得るところは多く、人情を害することも少なかろうと納得するもので、楽しく読み進められる。
それに対して前半は、深いがサクサク読める部分と、深いにも関わらず退屈になり(失礼!)、本読みがストップしてしまう箇所がある。やはり明治1桁に著されたものだからだろう。また、この「深い」が厄介なのだ。軽快な文章のなかで、真意の本体が掴みづらい。蘇峰の言うところもそんなところで、福澤は誤解されやすい方(更に失礼!!)だったかも知れない。

そうは言いながら、福澤が生きた時代も、仏教伝来時も、初めて西洋と出会った戦国時代末期も、第二次大戦終了時も、強大な外国の存在と思想・制度の海外からの流入があり、また現在においても安全とは言えない大国がある中で、福澤の書き記したことは、「色あせず、今の時代に響く」。

秋の夜長、福澤の著作や論集のいくつかを読んでみようと思う。






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