散髪

散髪屋さんを変えました。

今までずっと髪を切ってもらってた人が産休で休んでしまったんです。


僕はひとり残され、完全に失恋モードです。

僕を置いて実家に帰ってしまうなんて、

これから僕はどうやって生きていったらいいのか。。


完全に途方にくれてしまい、髪の方はほったらかしてたんですが、

最近癖毛のウェーブが、日に日にうねりを増して毎朝僕に襲いかかってきてたので、

切羽つまった僕は新しいお店を探すはめになりました。


星の数ほどある美容室ですが、ここぞ、という店を見つけるのは至難の技。

さすがに1,000円カットはあまりに親父臭いから嫌だし。

流行りの美容院がどこにあるかなんて情報も持ってないし。


僕はインターネットや雑誌を見たり、ポスティングされたチラシを見たり、

いろんな情報を集めました。

ある意味「出会い系」や「結婚相談所」並みの作業です。

とは言っても、これから死ぬまで定期的に何十回も行うであろう散髪です。

散髪屋選びは、ある意味人生のパートナー選びと言っても言い過ぎではありません。

慎重に進めなければならないんです。


三日三晩悩みに悩んだ結果、

なんとか僕は「近所」で「新規オープン」で「50%オフ」のお店の予約をしました。




しかし、散発屋変更の手続きはまだまだこれだけでは終わりません。

何より困難を極めるのは、新しい人に髪を切ってもらうときの最初の質問、

「今日はどのようにいたしますか？」 に対する答えです。

結婚相談所なら「趣味はなんですか？」並みの、必ず聞かれる質問ですわね。


今までなら「前と同じ感じで」でOKだったんですが、


改めて「どのように」って言われると、

なかなか言葉で説明することなんかできないし、

有名人の○○のように、なんて雑誌の切抜き持っていくみたいな年齢でもないし、

トップは少しボリュームを持たせてフロントは軽く・・みたいな、がっついてる説明はちょっと僕的には寒気がするし、

これといった特別な要望もないから言葉が見つからないんです。


僕としては相当変な髪型にならなければ何でもいいんです。

言ってみれば「「僕はあなたにこの身を委ねるから好きにしていいよ。」って感じなんです。


本当のところは、できれば「前切ってもらった人と同じように」お願いしたいのですが、

新しい店に来ているんだから分かるわけがないし、

っていうか前の美容師と比べるなんて失礼です。

前の彼女と比較する男みたいで、嫌われること間違いなしです。



さらに、僕はその最初の会話によって、

その後のカットの時間の空気が和むかどうか左右される気がして不安になり

僕はそのやりとりのシミュレーションを延々と繰り返したんです。


まず、美容院に入って、受付の綺麗なお姉さんから席に案内されて、

席に座ると男子用の雑誌（Men's Nonno)が置いてあって、

読むふりしてドキドキして待っていると、美容師さんがやって来るのが鏡越しに見えて、

僕の真後ろに立った美容師さんが僕の肩に手をかけて、

少し営業スマイルで僕に声をかけた後、最初に発する僕の言葉のシミュレーション。




結局そのお店で僕が選んだ言葉は、

「2か月前の僕のようにしてください。」

うーん、センスはないなー。失敗だったあんなに悩んだのに。。。まあしょうがない次も頑張ろう。