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●『おひとりさまの老後』

2007年11月18日 12時40分23秒 | 読書
風邪をひいてしまい、うつらうつらの読書中です。

■『おひとりさまの老後』上野千鶴子(法研)H19.7.12
高学歴を身にまとい、地位も名誉も財産も手に入れた知能指数の高い女性研究者が、一般ピープル女性向きに「も」ものした学術書ではないけれど「アカデミズムの香りを不可抗力にチラつかせた」現実的でありながら夢見がちな一冊。(そこがたまらないのだろうと思われます。売れています。流行っています)

小説家であったら、そこでもったいぶらないで「連れて行ってくれる」ところで「真実の隠しごと」にしか書かない(書けない?)ところは、やはり小説家ではないのは言うまでもないけれど(もとい小説ではない、のはもちろん悪いことではないわけで)、ノンフィクションにしてその隠し方は一流プロの仕業(フィクションもないまぜにされているのかも)。あけすけに見せられたら興醒めするプライヴァシーを上手く見せ隠しにするエロティシズムが高尚にあこがれる勘違いしたハイソ願望女性をそそるのでありましょう。
おそれおおくも上野センセイと自分の境遇を比較しちゃったりして。(すごい勘違いです)
それをやっちゃあ、おしまいよ――でも、やっちゃってるのだろうなあ、この売れ方は。

読者のなかには、いつの間にか「わたしだけの(賢い、はっちゃけた正義の味方)上野先生」が――なので、やはりアイドルなのです、この先生。

テキストに戻ろう。

どうして酒井順子の「負け犬」定義を便宜的にしろ前提にするところからはじまっているのか、さっぱりわかりません。(かほど世俗の現実感を錯誤するがごとき現実離れを起こしちゃっているのでしょうか)

自らの境遇を「負け犬」定義に帰しながら、その実、多くの他人(女30未婚子なし)を暴力的に巻き込み、「みんなで笑われれば恐くない」的に自らを笑ってみせた酒井順子。
「あなた自分を美人だと思っているでしょう」と言いたくなるのと同じ目線で、「就職に結婚に育児にあくせくしている(低脳な)女がうっとうしくて貧乏くさくて見ていられなくて、余裕ぶっこいている自分を、ほんとうはあなた勝ったと思っているでしょう」と喝破されていることなどとっくに――。

エンディングに<香山リカちゃん、酒井順子さん>という呼びかけが来たら、もう……。
さらにラスト一行のコケットリーはなんなのでしょうか。(ぼくは遠い目になるしかなく)
洒脱な小悪魔なりし、かっこいい上野千鶴子先生。さすが往年の少女剣士とでも。

あと関連づけに、『恐くないシングルの老後』吉廣紀代子(朝日新書)、『老後がこわい』香山リカ(講談社現代新書)を読みましたけれど、なんだかもうずっこけて。
 

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1 コメント

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  (みか5さいのヨンダです)
2007-11-18 19:07:15
ぼくだって全国模試で1,000番以内には入っているのになあ。
東大に3,000、京大に3,000、早慶は各10,000は受かるのだもの。
それを考えたら……。
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