・ある事実を「机の上に1辺1cmの重さ5gの赤い立方体がある」と記述したとする。しかし、これは実在の近似にすぎない。
→その1。「1cm」「5g」という物理量の測定には誤差が伴う。□内田126
→その2。色彩や臭いと行った二次性質には概念の曖昧さが伴う。□内田125-6
・現実世界をそのまま認識することはできず、「経験的事実を数学の言語で置き換える」「経験的事実で働いているだろう物理的要因を無視して単純な条件のもとで成立する法則を見出す」ことによって、再構成した可能世界の近似として見るほかない。□内田127-9,147
内井惣七「事実と論理」大森荘蔵ほか編『新・岩波講座哲学3 記号 論理 メタファー』[1986]