有名医師T氏が、衆議院議員O氏(民進党)による厚生労働委員会での発言によって名誉(医院の?)を毀損されたとして、O議員やその所属政党(民進党)代表に対して損害賠償請求訴訟を提起したそうだ。
[発言免責特権]
この手の話題では、直ちに発言免責特権の適否が想起されよう。この特権の歴史は古く、すでに1689年の権利章典Bill of Rightsが「国会における言論の自由(の行使)並 . . . 本文を読む
大浜啓吉『「法の支配」とは何か』[2016]を読む(まだ途中)。法学者の書く岩波新書は当たりが多い。
[法治国家論とは]
・<法治国家(法治主義)Rechtsstaat>とは、ドイツ帝国の立憲君主制を支えた統治原理。絶対的な君主の権力を議会制定法によって制限しようとする体制。ドイツを範とした明治国家は法治国家論も輸入した。
・概要1;絶対王政の恣意的支配がおこなわれたいた警察 . . . 本文を読む
追記(2016-07-10):本日は第24回参議院議員通常選挙。たったいま投票に行ってきた。制度の欠陥について現代ビジネスの記事も参考になる。
追記(2017-10-07):衆議院議員について追記。
追記(2022-6-6):データを最新に修正。
[概要]※2022年7月26日以降
・現在の定数248人=選挙区選出議員148人+比例代表選出議員100人(公職選挙 . . . 本文を読む
日付が変わって日本国憲法施行から69年。
平成27年9月19日にはいわゆる平和安全法制関連2法が成立し(同月30日公布)、平成28年3月29日に施行された。同法の成立をめぐりわが国の憲法論議は活発化した・・・ように見えるが、実のところ深まっていない。激しく罵り合う右と左は、不幸にも低いレベルで土俵を同じにする。願わくば「良質な右派と左派」の実り多い議論を。
(1)日本国憲法を過 . . . 本文を読む
安保関連法案が参議院で可決されるのは時間の問題だろう。恥ずかしながら法案をきちんと検討していないので、違憲性については論評できない。以下は、主に憲法9条解釈に関する(私的)争点整理。
(1)従前の政府見解と憲法学通説は、「9条=not戦力=not軍隊」との理解で足並みを揃えてきた。これを突き詰めれば 「自衛隊=軍隊=違憲」となろうが、政府見解(正確には主権回復後の鳩山一郎内閣以降)は、「9条=n . . . 本文を読む
野坂泰司・ジュリ926-61、同927-81~(1989年)。
[原意主義originalismの主張]
1.原意主義は、憲法解釈に際してテキストの「原意original meaning」を問題にする。テキストを重視はするが、テキスト自体の独立した意義を認める「正文主義」ではない。
2.原意主義は、制憲者が憲法上の原理として定立した諸原理(=中核的価値)を確認し、その原理を「 . . . 本文を読む
法律文書では「手続」と記載して送り仮名を省略する…のは常識だと思っていたが、この頃、法律家の文書でも「手続『き』」と送り仮名を付けるものを見ることがある。
廣瀬菊雄『公用文用字用語の要点』265頁(第18刷平成21年)、礒崎陽輔『分かりやすい公用文の書き方増補』55頁(平成21年)では、いずれも「手続」が適切だと明言されている。最近の実定法だと、家事事件手続法(平成23年法律第52 . . . 本文を読む
長谷部恭男『憲法のimagination』読了。図書館で借りたため、積読できずに直ちに読む。2,600円と安いし購入してもよいかも。
1-3「日本国民、カモーン!」
ふざけたタイトルだけど、中身は重要。
<憲法=プレイヤーが受容しているという事実>とのハート理論の確認(明示はないけど)。
1-4「自己目的化の陳腐さについて」
アレント、特にその「政治」概念 . . . 本文を読む
「裁判」とは、XY間のある紛争について、第三者Jが、当事者の主張を聞いたうえで、判断を下す作用をいう。この意味での「裁判」は、行政作用と本質的な差異はない。歴史的にも、「裁判」は為政者の政治権力の行使の一環として行われた。18世紀になると、権力分立思想が理論的に完成され、裁判担当機関を政治から切断する動きが顕著となる。その一つが、裁判官を形式的に法律に従属させようとする法治主義思想である。そこでは . . . 本文を読む
衆議院の年内解散の見込みがなくなったようで、選挙準備に入っていた候補者にとってはお気の毒なことだ。候補者・有権者にとって、どのような選挙制度を採用するかは重要だ。選挙制度は、選挙区制(大選挙区/小選挙区)、投票方式(単記投票/連記投票)、代表制(多数代表/比例代表)といった側面から分類できる。いわゆる小選挙区制は「小選挙区+単記投票+多数代表のうちの単純多数」であり、いわゆる比例代表制は「大選挙区 . . . 本文を読む
竹内行夫元外務事務次官が最高裁判事に就任した。ついでに、それ以外の裁判官の紹介ページを見てみた。 その愛読書が面白い。竹内氏を除く14人から最も支持を集めたのは、塩野七生氏で3票。ついで、司馬遼太郎、井上靖、ドストエフスキー、トルストイが2票ずつ。ロシヤの文豪はともかくとして、歴史小説が人気のようだ。たしかに、これなら思想偏向という批判を受けることはない。おそらく、このページに北一輝、大杉栄、石原 . . . 本文を読む
毎日新聞が実施した、国会議員の世襲についての世論調査の結果が載っている。「世襲は避けるべきだ」との回答が48%、「有権者が選ぶのだから問題ない」が44%(残りは無回答)。世間は案外に世襲に寛容なんだな、というのが素朴な感想だ。それはともかく、この選択肢はよくわからない。「世襲は避けるべきだ」を集合Aとすれば、補集合U-Aは「世襲は避けるべき、ではない」となる。集合Aが積極的に世襲を非難しているとす . . . 本文を読む
民主党の前田雄吉議員に続き、野田聖子消費者相がかつて、連鎖販売取引業界を擁護するような発言をしていたと報じられている。問題とされている1996年4月11日の衆議院商工委員会における野田発言の要旨は以下の通り。・連鎖販売取引の形をとる訪問販売の売り上げは、この20年間で4.6倍に伸びている。これは、この販売形態が現在の消費者のニーズにかなっているからだ。・中には悪質な業者もあったがそれは一部であり、 . . . 本文を読む
日本では、「ノーベル物理学賞を日本人3人が独占!」と報道されたが、アメリカのメディアは、「アメリカ人の物理学者が2人の日本人と共に受賞」と報じたそうだ(NHKラジオでそのようなことを言っていた)。 確かに、南部陽一郎氏は、1970年にアメリカ国籍を取得している。日本の国籍法11条1項によれば、これにより南部氏は当然に日本国籍を失う。とすれば、国籍を基準にする限りアメリカの報道が正しいことになる。他 . . . 本文を読む
マンナンライフが、人気商品「蒟蒻畑ポーションタイプ」の一時製造中止を決めた。ファンとしては残念だが、経営者の判断を尊重する。亡くなられた男児のご冥福を祈る。公式発表では、「行政の要望に対し、時間的に早急な対応が困難である」とある。野田特命担当大臣(食品安全担当)からの要請を指しているようだ。法律学では、事前規制と事後規制とを区別する。その典型例が、表現の自由の制限をめぐる憲法学の議論だ。自己の思想 . . . 本文を読む