石井紘基は「我が国は、国家意思決定は国会ではなく、政権党の党機関と行政機関が掌握している。我が国の体制はソ連の『官僚制国家資本主義』に似ている。」と看破している。残念ながら、彼は2001年に『日本が自滅する日』を書いて、2002年に暗殺された。きっと彼が生きていれば、日本の特殊で歪な財政構造を解き明かしてくれただろう。
我々は、得てして、この国の官僚の怖さに鈍感である。前川さんのような善人官僚にすっかり幻惑されている。あるいはスガの依怙贔屓人事を聞いて、官僚に同情すら感じることもある。どうも官僚制の本質を見損なっているような気がする。
戦前から営々と続き、戦後民主主義から狡賢く逃れて生息しているのが、この国の隠ぺい、改竄、悪徳の官僚制なのである。
官僚と与党自民党の両者は互いに助け合い、生き延びる運命共同体でもある。今となっては、あの民主党政権を三年で潰したのは天変地異ではなく、生臭い官僚機構だったと思っている。
自民党と官僚は相互幇助関係でもある。一方は政権利権という甘い汁を常時吸い、時に官僚への口利きで金銭を得る。もう片方は、自民党に恩を売り、天下りという生涯賃金と黒塗りハイヤー送り迎え待遇を認めてもらうという相互助け合い関係なのだ。
ところが、最近は、その鉄壁の自民・官僚一体構造に、ネットの普及で存在性が危ういマスコミや、ユー・チューブに娯楽の多様性を侵食されたテレビ・メディアが、この関係の中に参入してきた。
特に行政情報の隠蔽や国民の情報操作に電通の指導の下の密接に関わっているのがよくわかる。今や政・財・官にマス・メディアが加わった四頭政治になろうとしているのではないか。
今回のコロナ関連の給付金事務の電通関連企業の中抜き、自民党族議員関係GO TOキャンペーンの強行、電通並びにメディアのオリンピックの安心・安全の念仏強行、自民党総裁選の異様な盛り上がり等でメディアの政府翼賛行動がよく解った。
国道134号線から見る大磯の海