玄冬時代

日常の中で思いつくことを気の向くままに書いてみました。

近現代史の欠落

2019-03-30 11:00:22 | 近現代史

昭和天皇独白録 (文春文庫)

3 第一級史料の出現

元宮内省御用掛(通訳)寺崎英成の遺族に、一九四六年~四月の昭和天皇の回想の口述記録が残されていたのを、一九八九年十一月、マスコミ各紙が一斉に報道した。のちに『昭和天皇独白録』(以後「独白録」と云う)として文芸春秋社から翌年に刊行された。

昭和天皇は一九八九年一月七日にお亡くなりになっている。本人がこの世に居なくなって、口述記録が偶然に見つかったのである。

ずっと辺りを窺って、これで問題がないと判断し、或いは、公表するのをじっと待っていたかのように、丁度良い時期を見計らって悠然と、或いは偶然に現れたのである。その口述記録の作成に携わった五人も全員鬼籍に入っている。そこまで待って、やっと出てきたのである。

おそらく、五人にも同様な記録があったような気がする。ただ相続人が偶然にアメリカ人であったこと。要は、「菊の壁」や「菊のカーテン」を感じていない外国人であったのが、この史料が出てきた理由かもしれない。

最近、その資料の実物がオークションにかけられ、日本人の富豪な整形外科医が落札し、圀に寄付するとか、という記事が載っていた。日本人ならたぶんオークションにかけないだろう。

昭和の総菜屋

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近現代史の欠落

2019-03-27 10:26:54 | 近現代史

2 近現代史の史料が少ない圀

歴史研究では、史料として信頼性の高いものは「日記」や「公式文書」とされている。それより信頼性の低いものとしては「回想」「回顧録」とされている。想い出は、自分への擁護や恣意性が働くからだろう。

また、日記でも、後に公開されることを想定して、書いている時間のなかで、“ある意図”をもって書かれる場合もあるから、史料の精度の判定をするのはなかなか難しい。 

この国では、「ポツダム宣言」の受諾をすると同時に、閣議決定で軍事関係の公文書の焼却を命じた。1945814日の午後から16日まで黒煙が市ヶ谷や霞が関の空を染めた。

焼却命令は、各市町村にも発せられた。徴兵や召集関係が焼却された。外地では大東亜相が出先公館に対して機密文書焼却の訓令を発し、これによって文書廃棄が始まった事実が確認されている。(引用:吉田裕『アジア・太平洋戦争』岩波新書) 

この圀は、過去に戦争関係に関する公文書を焼却したことがある國なのである。だから、公文書改竄なんて朝飯前なのである。

昭和の惣菜屋

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近現代史の欠落

2019-03-26 10:36:12 | 近現代史

1 近現代史をよく知らない世代

敗戦後直後に生まれた者たちは、自国の歴史について、要は中学校、高校では、昭和という時期が空白である場合がある。私の場合でいうなら、短い三学期に時間切れを理由にほぼ大正デモクラシーで終わっていたのです。

それなら、得体のしれない縄文や弥生といった古代の授業時間を少なくしてくれれば、何の問題もなかったと思うのだが。

最後の三学期になって、時間が足りないから教科書を読んでくれと言われればやむを得ないし、不思議なことに入試の過去問題に昭和がぽっかりと抜けていた。

ともかく、一九三一年以降から一九四五年までの十五年間は、この世代の学習の記憶から欠落していると云いたい。そうではない地域、或いは学校があったかもしれないから、決して断定はしないが。ただ、東京の公立の学校ではそうだったとしておきますが、・・・。

立ち食いソバとチビカレー


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お父さんがいない時代

2019-03-21 10:00:04 | 雑感

ちょっと前のことだが、橋本治が死んだ。あの「とめてくれるな。おっかさん!」を世に送り出した男である。70年安保を20歳前後で生きた人間なら、彼の作品をたぶん知っているだろう。

今、ふと思うことは、妙に「おっかさん」という言葉があの時に合っていた。だって、あの戦後に生まれた奴らが20年経って、70年安保で暴れた時に、「おとっつあん」は自分が戦争に行って来たんだから、何も息子に云えないよな。

あの当時は外国旅行なんか誰もしたことないのに、どこの父親も戦争の時にほとんどが大陸に行っているんだ。そこで骨になった人も多いが、命からがら日本に戻って、生まれたのが大量の70年安保の若者なんだけど。

ほんとの地獄を見た、または地獄にした人間は、どういう顔して自分の息子に何が云えるのだろうか。云えることなんか何一つないんだよな。

何も悪いことをしなかったお母さんだけが、自分の息子に「行くな!」と言えるんだなあ。今、それがわかる。

「とめてくれるな ポスター」の画像検索結果

橋本治に哀悼を込めて

 

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責任逃れの政権

2019-03-17 09:44:14 | 時事

最近、いやなニュースが多い。児童虐待や食料業界のバイト・テロとか

児童虐待は児童相談所に権限を持たせても、警察官のように果断には動けないだろう。

社会で鬱屈した親が家庭で王様になったり、本来子供を持てない収入が事件の要因とか、親の就業構造や労働賃金に問題があるのではないだろうか。

どこのメディアも、社会的な問題分析が為されていない。

かつては、事件が起きれば何でも社会が悪いという風潮があった。当時は、それを行き過ぎだと思ったが。

2015年の後藤健二さんのイスラム国人質事件以来、潮目が変わった。

あの時に、とんでもない冷酷な人間が首相になったと思った。文書改竄の自殺者など一かけらの情も現政権にはないだろう。

政治権力は暴力になる。安倍はそれを平然と肯定している。単なる血筋への誇りがそうさせているのだろう。

政府が先頭に立って、個人責任へのすり替えを行った結果、企業や組織も法や弁護士を駆使して責任から逃避するようになった。

そして、頼みのマスコミは社会の深刻な問題に目を背け、芸能スキャンダルでニュース時間や紙面を埋めてしまう。

おかしな世の中にしたものだ。これを造った原因は自民党にある、一度政権の甘さを知った野党の一部議員にも、ある。

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