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弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

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懲戒解雇・諭旨解雇・諭旨退職等の退職の効果を伴う懲戒処分を検討する際の注意点を教えて下さい。

2014-10-07 | 日記

懲戒解雇・諭旨解雇・諭旨退職等の退職の効果を伴う懲戒処分を検討する際の注意点を教えて下さい。

 懲戒解雇 ・諭旨解雇・諭旨退職等の退職の効果を伴う懲戒処分については,懲戒権濫用の有無が厳格に審査され,紛争となりやすい傾向にあります。
 特に,退職金が不支給・減額とされる場合には,訴訟で争われるリスクがさらに高くなります。
 退職の効果を伴う懲戒処分は,特に慎重に行う必要があり,特に退職金が不支給・減額される事案であれば,訴訟で争われることを覚悟した上で,懲戒処分に踏み切るくらいの心構えが必要だと思います。
 このようにアドバイスすると,あたかも重い懲戒処分をしないよう言っているように聞こえるかもしれませんが,そうではありません。
 事案に応じた適切な懲戒処分は必要であり,重大な問題行動を行った社員については,懲戒解雇等の懲戒処分に処し,退職金を不支給又は減額にする必要があります。
 大事なのは,これから行おうとする処分のリスクを理解し,見通しを立ててから懲戒処分等に踏み切ることです。
 争われるのが怖くて必要な懲戒処分ができなかったり,リスクを具体的に理解せずに見通しが立たないまま何となく懲戒解雇等を行ったりといった事態にならないようにする必要があります。
 リスクを具体的に理解し,見通しを立ててから懲戒解雇・諭旨解雇・諭旨退職等の退職の効果を伴う懲戒処分を行ったことにより紛争が発生したとしても,予定どおりの経過をたどり予定どおりの結末で終わるのであれば,もはや「リスク」と評価することすらできないようにも思えます。


懲戒解雇の懲戒権濫用の有無を判断する際,どのような要素が考慮されますか?

2014-10-07 | 日記

懲戒解雇の懲戒権濫用の有無を判断する際,どのような要素が考慮されますか?

 懲戒解雇 の懲戒権濫用の有無を判断するにあたっては,規律違反行為により職場から排除しなければならないほど職場秩序を阻害したのかが問題となり,
① 規律違反行為の態様(業務命令違反,職務専念義務違反,信用保持義務違反等)
② 程度,回数
③ 改善の余地の有無
等が考慮されることになります(労働事件審理ノート参照)。


社員の非違行為が懲戒解雇事由に該当する場合であっても,懲戒解雇が無効になることがありますか?

2014-10-07 | 日記

社員の非違行為が就業規則に定める懲戒解雇事由に該当する場合であっても,懲戒解雇が無効となることがありますか?

 労契法15条は,「使用者が労働者を懲戒することができる場合において,当該懲戒が,当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,無効とする。」と規定しています。
 したがって,社員の非違行為が就業規則に定める懲戒解雇事由に該当するように見える場合であっても,懲戒解雇 が,客観的に合理的な理由を欠いたり,社会通念上相当でなかったりした場合は,懲戒権を濫用したものとして無効となります。


まずは戒告処分し,反省の色が見られないなら懲戒解雇をしようと思うのですが,問題ないでしょうか?

2014-10-07 | 日記

まずは戒告処分をしてみて,反省の色が見られないようなら,同じ事実を理由として懲戒解雇しようと思うのですが,問題ないでしょうか?

 懲戒処分の有効性は,一事不再理の原則を考慮して判断されるため,懲戒処分を行った事実と同一の事実について,懲戒解雇 することはできないことを前提として,どのような懲戒処分に処するのかを決定する必要があります。
 戒告処分に処した場合は,同じ非違行為を理由として更に懲戒処分に処することはできないものと考えて下さい。
 懲戒解雇するには,戒告処分の理由とされた非違行為とは別の非違行為が必要となります。


懲戒解雇した場合には無効となるリスクがそれなりに高い場合,どのように解雇すればいいでしょうか

2014-10-07 | 日記

懲戒解雇したい事案において,普通解雇すれば有効となりそうなのですが,懲戒解雇した場合には無効となるリスクがそれなりに高い場合,どのように解雇すればいいでしょうか?

 普通解雇 であれば有効となりそうなものの,懲戒解雇 は無効となるリスクがそれなりに高い場合は,普通解雇を選択するか,懲戒解雇と合わせて普通解雇の意思表示も明示的にするかすべきでしょう。
 当初,懲戒解雇のみを行ってしまったが,訴訟の審理が進むにつれ,懲戒解雇としては無効となる可能性が高いことが判明したような場合も,予備的に普通解雇の意思表示をしておくべきです。