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高年齢者の再雇用基準

2012-07-20 | 日記
Q168 高年齢者を再雇用するかどうかは,どのような基準で決めればいいでしょうか?

 「継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準」(高年齢者雇用安定法9条2項)を設けるのであれば,まずは高年齢者の健康状態,次に懲戒歴等の客観的な事情を重視すべきと考えます。
 ただ,「雇用と年金の接続」という高年齢者雇用安定法9条の立法趣旨,「継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準」に基づく制度が段階的に廃止されていく見込みであること等からすれば,健康に問題がなく,指定された事業場に自分で出勤して通常の業務に従事できるのであれば,普通に定年を迎えた再雇用希望者全員が再雇用されるような基準であることが望ましいと思います。

 私が重視しているのは,むしろ,賃金額,勤務日数等の労働条件による調整です。
 賃金額,勤務日数等については,最低賃金法,労働基準法等の一般的な規制を除き,特別の規制はありませんので,会社の実情に応じた賃金額,勤務日数等を高年齢者に対して提案することができます。
 例えば,定年までは月給50万円もらっていた方であっても,定年退職後の再雇用では,時給1000円,1日8時間,週3日勤務ということでも構わないわけです。
 結果として,当該定年退職者が,こちらの提示した労働条件での再雇用を拒絶してきた場合は,再雇用しないという結論でもやむを得ません。
 会社の実態,再雇用を希望する定年退職者の能力等に応じた賃金額等の労働条件を提示し,それで折り合いがつくかどうかを交渉するというのが,穏当なのではないでしょうか。

弁護士 藤田 進太郎