Q167 高年齢者雇用確保措置(高年齢者雇用安定法9条1項)としては,どれがお勧めですか?
当面は,継続雇用制度(高年齢者雇用安定法9条1項2号)を採用し,高年齢者に係る基準制度(高年齢者雇用安定法9条2項)を設けるのが無理がないのではないかと考えています。
ただ,老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢は平成25(2013)年度に65歳への引上げが完了し,同年度に老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢が61歳に引き上げられ,平成37(2025)年度までに65歳へ段階的に引き上げられることとなっていること(女性は5年遅れ)もありますので,継続雇用されない高年齢者が年金も支給されないという事態を防止する(「雇用と年金の接続」)必要性が高くなっています。
平成24年3月9日に国会に提出された『高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案』では,「継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準」に基づく制度の廃止が規定されており,平成25年4月1日施行予定です。
もっとも,改正法施行の際,既にこの基準に基づく制度を設けている会社の選定基準については,平成37年3月31日までの間は,段階的に基準の対象となる年齢が以下のとおり引き上げられるものの,なお効力を有するとされていますが,猶予期間が与えられているというに過ぎません。
① 平成25年4月1日~平成28年3月31日 61歳以上が対象
② 平成28年4月1日~平成31年3月31日 62歳以上が対象
③ 平成31年4月1日~平成34年3月31日 63歳以上が対象
④ 平成34年4月1日~平成37年3月31日 64歳以上が対象
平成24年7月19日現在,同法案は国会で審議中で成立していませんが,同改正法が成立した場合,既にこの基準に基づく制度を設けている会社についても,段階的に,「継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準」によって継続雇用する高年齢者を選別することができなくなります。
なお,平成25年4月1日施行予定の改正法案では,その他,
① 継続雇用制度の対象となる高年齢者が雇用される企業の範囲をグループ企業まで拡大すること
② 高年齢者雇用確保措置義務に関する勧告に企業が従わない場合,企業名を公表することができるとすること
③ 従来,65歳未満の高年齢者の雇用機会増大を目標としてきたところであるが,雇用機会増大の対象を65歳以上の高年齢者にも拡大すること
等についても規定されています。
③に着目すれば,将来,65歳を超える年齢(例えば,67歳や70歳)までの雇用確保措置や,定年を65歳以上とすること等を義務付けられることも十分に考えられます。
将来の法改正を見据えて,今のうちから60歳以前の社員の賃金制度を見直すなどして,さらなる法改正があっても支障が生じないよう備えておくべきと考えています。
弁護士 藤田 進太郎
当面は,継続雇用制度(高年齢者雇用安定法9条1項2号)を採用し,高年齢者に係る基準制度(高年齢者雇用安定法9条2項)を設けるのが無理がないのではないかと考えています。
ただ,老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢は平成25(2013)年度に65歳への引上げが完了し,同年度に老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢が61歳に引き上げられ,平成37(2025)年度までに65歳へ段階的に引き上げられることとなっていること(女性は5年遅れ)もありますので,継続雇用されない高年齢者が年金も支給されないという事態を防止する(「雇用と年金の接続」)必要性が高くなっています。
平成24年3月9日に国会に提出された『高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案』では,「継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準」に基づく制度の廃止が規定されており,平成25年4月1日施行予定です。
もっとも,改正法施行の際,既にこの基準に基づく制度を設けている会社の選定基準については,平成37年3月31日までの間は,段階的に基準の対象となる年齢が以下のとおり引き上げられるものの,なお効力を有するとされていますが,猶予期間が与えられているというに過ぎません。
① 平成25年4月1日~平成28年3月31日 61歳以上が対象
② 平成28年4月1日~平成31年3月31日 62歳以上が対象
③ 平成31年4月1日~平成34年3月31日 63歳以上が対象
④ 平成34年4月1日~平成37年3月31日 64歳以上が対象
平成24年7月19日現在,同法案は国会で審議中で成立していませんが,同改正法が成立した場合,既にこの基準に基づく制度を設けている会社についても,段階的に,「継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準」によって継続雇用する高年齢者を選別することができなくなります。
なお,平成25年4月1日施行予定の改正法案では,その他,
① 継続雇用制度の対象となる高年齢者が雇用される企業の範囲をグループ企業まで拡大すること
② 高年齢者雇用確保措置義務に関する勧告に企業が従わない場合,企業名を公表することができるとすること
③ 従来,65歳未満の高年齢者の雇用機会増大を目標としてきたところであるが,雇用機会増大の対象を65歳以上の高年齢者にも拡大すること
等についても規定されています。
③に着目すれば,将来,65歳を超える年齢(例えば,67歳や70歳)までの雇用確保措置や,定年を65歳以上とすること等を義務付けられることも十分に考えられます。
将来の法改正を見据えて,今のうちから60歳以前の社員の賃金制度を見直すなどして,さらなる法改正があっても支障が生じないよう備えておくべきと考えています。
弁護士 藤田 進太郎