北海道昆虫同好会ブログ

北海道昆虫同好会は北海道の昆虫を中心に近隣諸国および世界の昆虫を対象に活動しています。

寄生されたエゾシロ幼虫、アオムシコマユバチ繭塊を守り3週で死亡。

2015-06-18 21:59:28 | エゾシロチョウ 
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寄生されたエゾシロ幼虫、アオムシコマユバチ繭塊を守り3週で死亡。

2015-6-1 (月) 晴れ



朝からたくさんのエゾシロチョウが庭を飛んでおり実に壮観だ。数えると15匹くらいが飛んでいる。

赤ボケの茂みのあたりを飛び回り、交尾中のペアにちょっかいをかける♂が目立つ。

交尾は、すべて♀の羽化直後にあっと言う間に行われる。

♀は交尾した♂を引きずり、ぶら下げながら羽根を伸ばし、乾かしてゆく。エゾシロチョウの一生で最もドラマチックな時であろうか。

赤花ボケの木から大移動したところで 2015-5-10 に体から20数匹のアオムシコマユバチ幼虫が出てきて繭塊を形成、その繭塊にびっしりと厳重に糸をかけた後も、繭塊を守り続けてきたエゾシロチョウ終令幼虫。

それから22日目になるが、このエゾシロ幼虫はどうなったのであろう。

昨日夕方には、まだかすかに動き生きていた。今朝みると、幼虫の姿は消えていた。



地面をさがしたが姿はなく、落下後の幼虫は、おそらくアリに運ばれていったと思われた。




今回の観察ではアオムシコマユバチが出たエゾシロ終令幼虫は、その後約3週間前後にわたって、繭塊にしっかり糸かけをしながら、命の続く限りそれを守りつづける事がわかった。

何らかの不思議な仕組みで脳を支配され、自身の天敵アオムシコマユバチをひたすら守り続けたのである。



赤ボケの茂みをみると、鮮やかな黄色いアオムシコマユバチの繭塊の多くはほとんどよく見てもわからない形にくずれたり、糸がほずれてばらばらになって消え去ろうとしていた。

おびただしい数のアオムシコマユバチの羽化はすでにほとんどが終了していた。

アオムシコマユバチの寄生は、寄生されたエゾシロ幼虫自身にとっては最悪の悲劇かもしれないが、そのエゾシロチョウ個体群全体にとっては爆発的発生による個体群自滅を防ぐ精緻な生態系の仕組みではないだろうか。





PS; 2015-6-18 午後、たまたま見た職場食堂のTVで30日間、食事を絶っているが体の調子は最高という有名な俳優さんが出ていてビックリ。しかしよく番組を見てゆくと、水分や塩飴やブドウ糖は摂っているといい肌の色つやも良く完全断食とはいえない、大分怪しい感じ。おまけにこの番組のスポンサーは2ヵ月でナイスバディの大宣伝、実態は過激な dietなどで トラブルを報じられている例の会社でした。今回、3週間にわたって観察したエゾシロチョウ幼虫は、正真正銘、完全に飲食を断ちひたすらアオムシコマユバチの繭塊を守り抜き、ついに萎縮衰弱死したのでした。



          この項 続く   


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