最後のチョウ、オオウラギンスジヒョウモン
その名のとおり、オオウラギンスジヒョウモン Argyronome ruslana は ウラギンスジヒョウモンを大きくしたような印象の中型サイズのヒョウモンチョウです。
北海道、本州、四国、九州に分布し、北海道では普通にみられるチョウです。普通種のわりにはあまりよく調べられておらず、たとえば自然界では何令で蛹化するのかもさだかではありません。北見市の飼育では6令で蛹化しています。
本州方面では7月に発生したヒョウモンチョウたちの成虫は夏期の猛暑を避けて夏眠し、気温がおちつく9月に夏眠からさめて交尾産卵するようですが、比較的冷涼な北海道では夏眠せずにダラダラ夏を過ごす場合もあるようです。つまり北海道では、ヒョウモンチョウ類の夏眠現象は本州方面のようなクリアカットなものではない印象をもっています。
しかし、近年地球温暖化の影響か、北海道もこれまで経験したことがないような猛暑の夏が見られるようになっており、北海道におけるヒョウモンチョウ類の夏眠もやがて常態化してゆく可能性があります。
これまで、しばしば述べて来ましたとおり、自然環境・生態系は長い地球の歴史的にみてもある一定のところにとどまっていることはむしろ少なく、刻一刻と今現在も変化し続けているのが普通です。
北海道においては、はっきり夏眠を確認、実感できるヒョウモンは、いままでところギンボシヒョウモンのみでした。オホーツクのオオウラギンスジヒョウモンは夏眠の有無はともかく、従来、夏場はあまり個体数は多くない(多くはないが飛んではいる)と感じています。
さて、夏が終わり秋になると渓流釣りのおりなど川沿い、林道沿いでみかけるオオウラギンスジヒョウモンは個体数が急増し、ボロボロのメスグロヒョウモンに較べたりすると、オオウラギンスジヒョウモンはとりわけ立派なメスをよく見かけます。
さらに、9月が過ぎ10月に入るとチョウたちはどんどん姿を消し、やがて見かけるヒョウモンチョウはオオウラギンスジヒョウモンのメスのみになります。そうです。多くのチョウたちが姿を消す晩秋、渓流釣りの際、みかける最後のチョウはオオウラギンスジヒョウモンのメスなのです。
上記のお話は私が長年オホーツクで感じてきたことですが、道内各地に普遍的なものなのかどうかについては、多少地域差のようなものはあるかも知れないことをお断りしておきます。
最後まで見ていただきありがとうございます。できましたらランキングポイントアップのために下記の バナー をワンクリックしていただければ幸いです。