北海道昆虫同好会ブログ

北海道昆虫同好会は北海道の昆虫を中心に近隣諸国および世界の昆虫を対象に活動しています。

対馬のタイワンモンシロチョウ絶滅の理由

2022-12-19 13:33:41 | 寄生蜂など

 

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対馬のタイワンモンシロチョウ絶滅の理由。

 

2000-6-10~11  の短期間であったが対馬に滞在し、ツシマウラボシシジミの撮影などを行なった。

 

 

ツシマウラボシシジミは島内各所を探索して唯一比田勝で多数の個体を確認した。

 

 

 

この間、各所でタイワンモンシロチョウ ( Pieris canidia juba Fruhstorfer )を確認したがどこでも個体数はとても多く、この時の感じでは山間部や林縁を中心に、まさにどこにでもいる全くの普通種と考えられました。

 

 

我が国のタイワンモンシロチョウは、1990年頃から南方の与那国島に飛来したと思われる原名亜種 ( Pieris canidia  canidia Sparrman )と 対島固有の亜種 ssp.juba が知られるが、この際と思い、多少の採集も行なっています。

 

 

対島で採集したタイワンモンシロチョウ ssp.  juba

 

オス表面

 

 

 

メス表面

 

 

メス裏面

 

 

 

 

 

タイワンモンシロチョウがとても多い反面、日本産Pieris 代表とも言うべきモンシロチョウ、およびスジグロシロチョウは驚くほど少なくてそれぞれ 1オス、および1メスを採集できたに過ぎなかった。

 

対島産モンシロチョウオス表面。

 

 

 

 

 

 

対島産スジグロシロチョウメス表面。

 

 

 

 

 

このほか多数見られたテングチョウが印象的であった。イシガケチョウ、キチョウも少数採集できた。そのほかの蝶類を全く見かけなかったことも今にして思えば異常な気がします。

 

 

 

対島産テングチョウ。

 

 

対島産キチョウ。

 

対島産イシガケチョウ

 

 

 

ところで、2000年度、このように対島ではごく普通に見られたタイワンモンシロチョウがその数年後には急速に個体数を減じ始め、短期間のうちにたちまち消えてしまい現在では絶滅状態と考えられています。

 

 

 

理由は種々検討されていますがはっきりとは解明されていません。 

 

 

 

最も考えやすいのは大繁殖した鹿による本種の食草アブラナ科食物の食害、越冬蛹が早春羽化体制に入ったところでの急激な寒波襲来、大陸からの汚染物質飛来、その他といったところでしょうか。

 

 

 

 

一方、我が家の庭に毎年発生するエゾシロチョウ、オオモンシロチョウ、モンシロチョウにとりわけ興味を持ってを長年観察してきた私の経験からは、鹿による食草食害で激減した状況に、寄生蜂によるオーバーコントロールが効いてしまったという図式を最も考えたいところです。

 

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恐怖のアオムシコバチ

2018-11-05 21:44:42 | 寄生蜂など
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恐怖のアオムシコバチ

これらのアオムシコバチ( Ptrroomalus puparum ) は私が庭のコクサギに袋かけをしてミヤマカラスアゲハを飼育した蛹から出現したものです。


みたところ正常に見える回収直後のコクサギ飼育のミヤマカラスアゲハ蛹。







編み目のこまかいネットをかけていたのですが体長2mm前後のアオムシコバチたちは容易にネットの編み目をくぐり抜けて侵入したとおもわれます。



蛹には一カ所から3カ所の脱出孔を開け、そこから次々と羽化したアオムシコバチが出てきます。


矢印が脱出孔。



出てくるアオムシコバチの数を考えると脱出孔の数が意外と少ないことは興味深く思われます。

















慣れると寄生された蛹が容易に区別できるようになります。

右の一個のみ正常の蛹。左二個はアオムシコバチ寄生蛹。


4個とも寄生された蛹。


寄生された蛹はまだ羽化にはやや早いのに体節の隙間が広がってむくんだようになり色調もやや濃くなってきます。




羽化して蛹から脱出し交尾も終わったアオムシコバチは漸次飛びはじめます。



蝶の飼育をもっぱら行っている私としては彼らは恐るべき敵です。



小型タッパに寄生された蛹を入れ羽化脱出するアオムシコバチは全てタッパのなかに閉じこめて放置し、おくたばりになってもらうことにしました。














おびただしいアオムシコバチの死骸。




自然界ではアオムシコバチは蝶たちの発生数を微妙にコントロールする重要な役割をになっている可能性がありますが、蝶の飼育が好きな私の前には現れてほしくない。



アオムシコバチは前蛹から蛹化した瞬間を最も好んで卵を産み付けるのでこの時期よりやや早く幼虫をとりこめば寄生を免れることが出来ると考えられます。



ただ、実は袋かけ飼育は他にも危険が一杯で、最近は袋かけ飼育はあまり行っていません。






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アオムシコバチ(Ptrroomalus puparum)の交尾<

2018-11-03 01:04:26 | 寄生蜂など
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アオムシコバチ(Ptrroomalus puparum)の交尾
















これらアオムシコバチたちの性欲は異常亢進状態にあり、蛹の脱出小孔から出た♂は♀が出てくるのを穴の付近で待ちかまえ、たちまち交尾する。



















一方、待ちきれずに脱出小孔から、再度蛹内にもどって♀と交尾する♂もいるという。




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恐怖のアオムシコバチ羽化、悪夢のはじまり

2018-10-29 21:08:35 | 寄生蜂など
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恐怖のアオムシコバチ羽化、悪夢のはじまり


コクサギの枝にミヤマカラスアゲハ♀を袋がけして放し産卵させ、そのまま野外で放置し蛹ができたころ袋をはずして蛹を回収した。





これまであまり知られていなかったようだがミヤマカラスアゲハ幼虫はコクサギをよく食べて産卵数の2/3ほどは順調に蛹化させることができることがわかった。


2015-8-14 (金) 晴れたり 曇ったり 暑い


やがて蛹からミヤマカラスアゲハが羽化し始める。







ところが、一部のなんとなく膨化したような蛹に異変が見られた。



なにか蛹の表面に動くものが見えたので、なんとなく近づいてみると小さな穴から微小な虫が這い出てくるところであった。


な なんじゃ、これは。


最初の1匹をみて2mm前後のきわめて小さな寄生蜂と直感した。


蛹の表面の小孔から激しく体をねじり出すようにして出てくる。


その数はどんどん増えて、やがて想像を絶するおびただしいものとなった。



















蝶大好き人間の私にとって、それは鳥肌がたつほどおぞましい初めて見た光景でした。



噂に聞く アオムシコバチ(Ptrroomalus puparum)の羽化 でした。




















羽根は透明 前後翅は無紋。










アオムシコバチ(Ptrroomalus puparum)

アオムシコバチはアゲハチョウ科の蛹に寄生する小さなハチで、蝶にとってはまことに恐ろしい寄生蜂。体長は2.2〜3.0mmで超小型。羽根は透明無紋。アゲハチョウ科終令幼虫や前蛹にとまって機会をうかがい前蛹が脱皮して蛹化した直後から数日以内に蛹に産卵管を射し込み産卵する。産卵の多くは前蛹から脱皮して蛹化した直後、まだ蛹の表面が柔らかい時を狙って行われる。産卵数はおびただしい数になり短期間のうちにアゲハチョウ科蛹の中に多数のアオムシコバチの繭がびっしりと形成される。本来ならば、そろそろ蝶の羽化が始まる頃、突然異変がおこる。アゲハチョウ科の蛹に突然小孔を開けてその穴から蛹内で羽化した多数のアオムシコバチ成虫がぞろぞろと出てくる。


  この項、続く。



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アゲハの蛹に大穴を開けて出てくる大型寄生蜂と赤目にゃんこ。

2018-10-26 00:26:58 | 寄生蜂など
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アゲハの蛹に大穴を開けて出てくる大型寄生蜂と赤目にゃんこ。


2017-11-10 (金) 晴れ のち曇り 6度C 寒い


この日、釣りの帰りに久しぶりに F氏の家に寄ってみた。


今年は秋に彼の庭のキハダにアゲハチョウが多数産卵し、アゲハチョウの蛹がずいぶん採れたとのこと。


おおかた、人にあげたとのことだが 残った蛹から寄生蜂がでた。








蛹に大穴を開けて一匹の大型のハチが出てくるタイプ。



そのハチがあったので撮影させてもらった。


アオムシコバチもいやだが、この寄生ハチも嫌い。


このハチは我が家の庭でもアゲハチョウ科蛹に大穴をあけてでてくるやつだが、それほど多数がみられることは少なく、アオムシコバチほど猛威をふるうことはない。


この日、F氏宅のにゃんこたち。


すばやく私のコートにくるまって返してくれない。目は赤くない。 


このにゃんこは半赤目。 



この子はいつも赤目のにゃんこです。




  次は、もっともっと恐ろしい、恐怖のアオムシコバチの話です。





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