北海道昆虫同好会ブログ

北海道昆虫同好会は北海道の昆虫を中心に近隣諸国および世界の昆虫を対象に活動しています。

アンデスアマゾン山岳地帯、雲霧林の妖精、Morpho sulkowskyi   スルコウスキーモルフォ を採集。その弐

2022-05-26 15:35:11 | 南米の蝶

アンデスアマゾン山岳地帯、雲霧林の妖精、Morpho sulkowskyi   スルコウスキーモルフォ を採集。その弐

 

 

カラバサのスルコウスキーモルフォは陽光がないと飛ばない。

 

 

 

急峻な山の斜面を覆い尽くす樹林のなかから 1 頭がぽっと現れふわふわと木々の梢をかすめるように飛びながらこちらへ降りてくる。

 

 

 

じっと目で追うが、なかなかネットの射程距離には入らない。

 

 

 

別の 1 頭が、突然、後方から飛来、私の頭をかすめて目の前に現れた。

 

 

 

動転して反射的に振ったネットは空を切る。

 

 

 

さらに次々と数頭のスルコウスキーモルフォが私の前をふわふわ飛んで行く。

 

 

 

ますます動転して全部空振りして最後はバランスを失い、地面にもろに倒れて頬を石に強打した。

 

 

こんなひどい転び方をしたのは生まれて初めてだ。

 

 

 

恐らくこのふわふわした、とらえどころのない飛び方は日本や東南アジアの蝶の飛翔パターンとは明らかに異質のもので、最初は不慣れのためネットがついてゆかない。

 

 

 

 

空振りを繰り返すうちにやっと最初の 1 頭を捕らえた。生きているスルコウスキーモルフォの美しさは言葉では表現出来ない。

 

 

 

上品な真珠のような構造色は、陽光の加減や見る角度で千変万化する。

 

 

 

飛翔中は陽光が弱い時は透明感のある黄色味を帯びた乳白色。

 

 

 

 

陽光が強いと青みを帯びた銀白色にふわふわきらきら輝き美しい。

 

 

 

羽根はかなりもろくて衝撃に弱いので採集時にも破損しやすい。

 

 

 

このモルフォはトラップにはこないので蝶道をみつけて待ちかまえてネットで採集するしかない。

 

 

 

 

ここでは晴れ間が少ない雨期の高山帯の雲霧林に発生するために一般的にはスルコウスキーモルフォ採集の好機は稀であるといえよう。

 

 

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アンデスアマゾン山岳地帯、雲霧林の妖精、Morpho sulkowskyi   スルコウスキーモルフォ を採集。その壱

2022-05-18 09:34:51 | 南米の蝶

アンデスアマゾン山岳地帯、雲霧林の妖精、Morpho sulkowskyi   スルコウスキーモルフォ を採集。その壱

 

原名亜種 Morpho sulkowskyi   sulkowskyi  Kollar は Ecuadorおよび Brasil に分布する。

 

亜種 ssp.  eros Staudinger は Bolivia に分布し 標高6500~8000 ft (1950~2400m)の高山帯で記録されている。

 

 

亜種 ssp. ockendeni Rothchild   はペルーに産し、私はアンデスアマゾン源流域の山岳地帯の Calabaza カラバザ( 標高1500m ) で採集した。

 

この比較的稀少とされるモルフォについては、D,Abrera の図鑑 Butterflies of the Neotropical Region Part 2 に、わずかに上記の情報があっさりと記載されているのみで、生態や個体変異などくわしいことは ネットレベルで私が検索した限りでは情報がなかった。

 

 

恥ずかしながら、私はペルーに行くまで、このメタリックブルーから真珠色に輝く美しいモルフォのことは知らなかった。

 

現地でこのチョウの存在を初めて知り、ちょうど発生時期の雨期真っ最中であったので是非採集してみたいと思い、アンデスアマゾン源流域の高山帯 Calabaza カラバザ( 標高1500 ~200m) へ出発した。

 

 

 

雨期の真っ最中、日本で言えばお正月にあたるが、本種が現れる雨期の晴れ間に当たるかどうかは運次第。

 

 

スルコウスキーモルフォの生息地は高標高の山岳地帯。鬱蒼とした湿潤な環境で樹林が発達し太い樹木は苔むして着床植物に覆われる。この特異な環境は雲霧林とよばれ、雲や霧に覆われていることが多く、現実問題として、晴れ間の日差しで舞い始めるこの美麗モルフォを採集できる機会は稀である。

 

 

雨期だが現地では朝晩は冷え込むようで山岳地帯の現地の人はセーターを着ていた。

 

 

 

発生地は急峻な山間の谷間で谷の底にはごうごうと渓流が流れており、さしずめ北海道ならオショロコマやエゾイワナでも釣れそうな環境だ。

 

 

肌寒い感じだが運良く午前10時ころから時々厚い雲が切れて日が射しはじめた。何も見えなかった山肌の密林のあちこちからフワフワと、きらきら白く輝くスルコウスキーモルフォが舞い立ち始めた。

 

 

時々、そのうちの一匹がフワフワと林道に降りてきてネットの射程距離に入るのを採集するのだが、しばらくして日が陰るとチョウはたちまち姿を消す。

 

 

そして午前11時30分を過ぎるとこのモルフォチョウはパッタリと姿を消してしまった。

 

 

  この項、続く。

 

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インカハゴロモゼミ(Amantia peruana)とアオハゴロモゼミ(Lystra lanata)を採集。

2022-05-07 20:12:38 | 南米の蝶

インカハゴロモゼミ(Amantia peruana)とアオハゴロモゼミ(Lystra lanata)を採集。

 

 

Agrias beata の飛来が一段落して一息ついていると、ガイドのホセ君がネットを片手に目もくらむ深い谷に突き出した木に登り始めた。

 

 

サルみたいな身軽さで梢近くまで登り、ひょいとネットしてきたのが、この美しいインカハゴロモゼミでした。

 

 

 

 

 

似たような感じの得体の知れない昆虫をShima のジャングルの小径で発見。

 

 

 

 

これはアオハゴロモゼミで、長い尻尾は撮影したりしているうちに暴れると、おおかた取れてしまったほどもろい。

 

 

 

 

ちなみにインカハゴロモゼミもアオハゴロモゼミも私が勝手に付けた和名です。

 

 

 

 

この昆虫たちの学名は当初まったくわからず、私の Face Book で訪ねましたところ、昆虫学者の丸山宗利さんからご教示いただきました。

 

 

 

インカハゴロモゼミ(Amantia peruana)はペルー特産種で亜種の記載はないようです。

 

 

 

一方、アオハゴロモゼミ(Lystra lanata) は分布域は広く ブラジル、仏領ギアナ、仏領西インド諸島、ガイアナ、メキシコ、スリナムで記録されているようです。

 

 

 

WikipediAなどで調べてみましたが、記載は実にあっさりしたもので、これ以上の情報はみつかりませんでした。日本ではあまり馴染みのない昆虫なのかもしれません。

 

 

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