石見銀山のある島根県大田市や今回宿泊した出雲市の街並みを散策していると、片側一面をすぱっと切り離されたような構造の建物によく出くわした。
東京の下町でもたまに見かける「長屋を切り離した」ものだと思われるのだが、とにかく街中の至る所に溢れている。
その切り口が石川五右衛門の斬鉄剣の切れ味を彷彿させる鮮やかさなので、ついつい見とれつつ、「隣の土地は借金してまで買え」と言われるが、それを頑なに拒否する島根の方々の意地とか、切るしかなかった家庭事情とかをひとり勝手に想像しながら散策する。
ちなみに「出雲市駅」って不思議な駅名だな~と思っていたら、「出雲大社の最寄り駅と間違えないように」との配慮だそうで、実際出雲市駅からはバスで約25分掛かり、電車の最寄り駅は一畑電車での出雲大社前駅となる。その一畑電車は2010年公開の映画「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」のモデルとなった作品で、当初の仮題は一畑電車の愛称である「BATADEN」だったそうで、島根出身の錦織良成監督の「白い船(2002年公開)」「うん、何?(2008年公開)」に続く島根三部作最終作とのこと。もし仮題のままだったら映画「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」を間違えて観なかっただろう。