先日訪れた仙台(後日掲示)のレトロ映画館で映画「悪い夏」を観た。
【解説】第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞した染井為人の同名小説を北村匠海主演で映画化し、真面目に生きてきた気弱な公務員が破滅へと転落していく姿を描いたサスペンス。市役所の生活福祉課に勤める佐々木守は、同僚の宮田から「職場の先輩・高野が生活保護受給者の女性に肉体関係を強要しているらしい」との相談を受ける。面倒に思いながらも断りきれず真相究明を手伝うことになった佐々木は、その当事者である育児放棄寸前のシングルマザー・愛美のもとを訪ねる。高野との関係を否定する愛美だったが、実は彼女は裏社会の住人・金本とその愛人の莉華、手下の山田とともに、ある犯罪計画に手を染めようとしていた。そうとは知らず、愛美にひかれてしまう佐々木。生活に困窮し万引きを繰り返す佳澄らも巻き込み、佐々木にとって悪夢のようなひと夏が始まる。シングルマザーの愛美を河合優実、犯罪計画の首謀者・金本を窪田正孝、佐々木の同僚・宮田を伊藤万理華が演じる。「ビリーバーズ」「アルプススタンドのはしの方」などの城定秀夫監督がメガホンをとり、「ある男」の向井康介が脚本を担当。
生活保護の不正受給と役所担当者たちとの攻防を「クズと悪しか出てこない」のキャッチコピーと共に期待しながら上映開始。映画「PLAN75」映画「由宇子の天秤」映画「あんのこと」映画「敵」での河合優実とはまた違った独特の色香と窪田正孝の悪ぶりはとても良かったものの、全体的にインパクトが弱く感じたのは登場人物が予想よりもそれほどクズにも極悪ではなかったからだろう。車内で語る女性職員や受付カウンターでキレる主人公の台詞に共感する部分がありつつ、改めてそんな当たり前のことを口に出せない時代を痛感する。
主人公の後ろめたさは前任者とは異なるので正々堂々としておけば良かったのにと思いつつ、最後はドリフのコントのようにわしゃわしゃしながらエンディングを迎える。