【 保護犬:ハッチ日記 】

成犬の保護犬、里親日記

INAXライブミュージアム Vol.1

2023-10-13 | 建物巡り
先日、愛知県常滑市(とこなめし)にある
【 INAX(イナックス)ライブミュージアム】を
見学してきました。↓


このINAXライブミュージアムには
6つの館があり、
それぞれのテーマに沿って見学・体験をすることが
出来るようになっています。

建物の周りには木々や芝生の広場があり、
小鳥の声を聞きながら
のんびりと散策しながら移動ができます。
(スロープもあるので、車いす利用でも見学できます)



常滑という町は、大正時代には土管づくりが
盛んに行われ、日本の近代化を支えてきた町です。

高さ22mの煙突は当時使われていたもので
今では、このミュージアムのシンボル。

そして、この煙突の隣に建つ黒い建物が
総合受付です。↓


ここで入館料を支払います。
一般は700円でした。
受付を済ませた印として、腕に紙製の入館証明書をつけてもらいます。

これで、どの館内にも入ることが出来ます。

まずは、
私が一番見たかった展示から出発です。

【 建築陶器のはじまり館 】です。↓


ここを見るためにやって来た、と言っても
過言ではありません。

で、
ここに展示されているのが……


『帝国ホテル』ライト館
ダイニングルームの柱の一部!なのです。↓


もちろん正真正銘の本物です!



ライト館の建物の一部が、愛知県にある明治村へ移築され
その後、明治村からの厚意で
大切に保存されていた柱の一部が
常滑の地に展示物として里帰りをしたのです。


これが、当時の「スダレ煉瓦(れんが)」!↓
(「スクラッチタイル」とも言う)


こんなに間近で見ることが出来るなんて
感激です!

常滑の職人さんたちが苦労して
制作した、職人技の黄色いスダレ煉瓦です。


↑ 鉄筋が入り、コンクリートで補強されているのが
見えます。

常滑の地には当時、“ 帝国ホテル専用の煉瓦製作所 ”が
設けられ、
制作された煉瓦は
船で東京へと運ばれました。

使われたやきものの数は400万個以上だとか。


大谷石(おおやいし)の加工も素晴らしいです!


こちらは、栃木県宇都宮市の大谷町付近一帯から
採掘された、大谷石です。


大谷石を加工して、金箔を貼り付けるなど
細部にまでこだわりまくるのが
設計者、フランク・ロイド・ライトの凄さです。↓



そして、煉瓦を積み上げた後に
コンクリートを流し込む、という
作業がなされたことがよく分かります。↓


煉瓦を積み上げ、こんな柱を何本も造るのだから
ライト館の建築は本当に
気の遠くなるような作業だったのですね…。

見れば見るほど
凄い…!!


他にも、
スダレ煉瓦が飾られていました。 ↓


櫛(くし)の線が均一に、溝の深さも一定に、
出来ていなければやり直しです。


たかが煉瓦、されど煉瓦。
やきものの色と形にこだわり、
ライト館は唯一無二の建造物となったのですね。

さらに、
ライト館で使用されたテラコッタも。↓


テラコッタというのは
素焼きで仕上げる焼き物のことです。

複雑な模様のテラコッタが造られて
ライト館で使われていたのです。


これらも常滑の職人さんたちが造ったのだと
いうのだから、
畏るべし!常滑の職人さん。


素焼きのスクラッチタイルと(左側)
釉薬をかけたスクラッチタイル(右側)↓


館内には他にも、
全国各地の建物で使われていたという
テラコッタが幾つか飾られ、紹介されていました。

中でも、
これには大注目でした!↓


日本で、最初に “ 黄色い煉瓦(れんが)”を作製した、と
言われる
久田吉之助(ひさだ きちのすけ)のテラコッタです!


これは『京都府立図書館』の建物に飾られた
テラコッタの一部で、
建物の設計者は、武田五一(たけだ ごいち)。

1909年(明治42年)竣工です。


武田五一といえば、明治村では
「芝川又右衛門邸」の設計者としてもお馴染みです。

明治42年に竣工ということは、
『帝国ホテル』ライト館より以前に
黄色い煉瓦が創られていて、

精巧なテラコッタを
久田吉之助は造ることが出来た、と。


武田五一とフランク・ロイド・ライトは親交があった
そうなので、
五一がライトに黄色い煉瓦のことを教えてあげたのかも…?



久田吉之助については、
フランク・ロイド・ライトを騙した男、と
紹介されたりもされますが

こんなに素晴らしいテラコッタを作製できる人物が
本当に悪人だったのだろうか…?
私は大いに疑問に思うのです。

少し話が逸れますが、
井伏鱒二の短編小説に『掛持ち(かけもち)』という作品が
あります。

ここに描かれる人物というのが
置かれた場所や環境、人間関係によって
態度や性格がガラッと変わってしまうのですが、
こういう人間について
井伏鱒二は短編小説の中でさらっと書いているのです。

久田吉之助もある場所では尊敬され、感謝され
有能な人物だったのではないか、と思います。

このテラコッタを見ると
本当に、久田吉之助という人が
心底悪い人だとは到底思えないのです。

他にも、久田吉之助が作製したといわれる
トンボのテラコッタがあるそうですが
機会があれば是非、それを見てみたいです。

あと、補足ですが
INAXライブミュージアムでは
10月21日~12月25日の期間、
『帝国ホテル煉瓦製作所』という
企画展を開催されるそうです。
(現時点ではまだ正式な告知はされていないようですが…)

休館日は水曜日です。
興味のある方は観に行かれると良いと思います♪

INAXライブミュージアムについては、まだ続きがあるので
それについては又、次の機会に。
お疲れ様でした!


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