【 保護犬:ハッチ日記 】

成犬の保護犬、里親日記

六華苑(旧諸戸清六邸)~地方に唯一残るコンドルの作品

2023-08-02 | 建物巡り
連日、気温が高くて暑いですが、
ジョサイア・コンドルの手掛けた建物を
見学してきました。(見学は有料です)

三重県桑名市にある
【六華苑(ろっかえん)】です。↓


「日本近代建築の父」と呼ばれた、
イギリス人のジョサイア・コンドル。

そのコンドルの作品で、地方に唯一残っているのが
【 六華苑 】(旧諸戸清六邸)です。

4階建ての塔屋(とうや)が目を引きます。↓


この建物は、二代目 諸戸清六(もろと せいろく )の
新居として大正2年(1913年)に竣工(しゅんこう)。

戦災で一部が破損したそうですが、
ほぼ造られた当時のままの姿で残っているそうです。

この建物の印象的なところは
この4階まである塔屋です。↓


元々の設計では3階までだったのですが、
その高さでは揖斐川と長良川が見渡せないため
清六が要望して高くしてもらったのだとか。



アンバランスな感じがするけれど
それが逆に強く印象に残る…という
不思議な魅力を持つ建物です。


洋館の説明板


庭園の方へ回り込んで見てみました。
見る角度によって建物の雰囲気がガラリと変わります。


洋館だけでなく和館もあり、
建物が繋がっています。↓


洋館のベランダ柵

明治村で見た擬洋風建築を思い出します。

建物の中も見学することが出来ます。
出入口は和館の玄関から。↓


中を通って、洋館へと繋がる通路です。↓


中へと進むと、洋館のホールと玄関 ↓


ステンドグラスが綺麗!
玄関のタイルは、コンドルがヨーロッパから
取り寄せたものだそうです!オシャレですね。


素敵な玄関ですが
ここを使用するのは主人と客人だけ、だったそうです。


ホールから見る螺旋階段(らせんかいだん)

明治村にある、武田五一が設計した
芝川又右衛門邸(しばかわまたえもん てい)の
階段を思い出します。

各部屋に付いていた電灯スイッチ↓
こんな小さな箇所にもデザインがされています。


さらに、各部屋に設けられている暖炉↓


このタイルの色、綺麗です!


照明は派手過ぎず、それでいて凝っています。

コンドルは薔薇が好きで、
モチーフとして使用することが多かったそうです。

食堂です。↓


こんな立派なダイニングテーブルだから、
食事はお茶漬けや蕎麦でなく、豪華な洋食を
食べていたんだろうなぁ(笑)


そして、ここにも暖炉!↓


洋式トイレです。↓

この時代に水洗トイレ!
しかも、洋館の玄関で見た同じタイルが使われています。
トイレだけどカッコイイ!空間になっています。

階段のデザインに、ハートマークの透かし彫り ↓


さり気なくデザインされているのが良いですね。


階段の窓ガラス ↓


上げ下げ窓です。このガラス窓の模様も面白い。


塔屋の円形部分の中はこんなふうでした!↓

応接室になっていました。

塔屋部分は建物が円形なので
当たり前ですが、窓ガラスも孤をえがく曲面ガラスです。↓

当時の日本は、これを作る技術がなかったため
曲面の窓ガラスもヨーロッパから取り寄せたそうです。

塔屋の3階、4階部分は非公開でした…。
上へと続く螺旋階段が魅力的なだけに…残念!


陽が差し込む窓際。
この窓も上げ下げ窓です。


サンルームです。↓
半円の窓が可愛らしいです。


サンルームにロッキングチェア。↓
これ絶対、睡魔が襲ってくる場所ですよね(笑)


まだまだ部屋が続きます。
我が家とは大違いです。

置いてある家具は、当時使用されていた物ではない家具も
あるそうです。


それでも部屋に合わせて配置されてあり、
とても素敵です。


こんな大きな窓がいくつもあります!
庭も良く見えます。↓


2階からの
洋館と和館をつなぐ階段、3段の段差があります。↓

この3段の段差が、洋式の生活と
和式の生活の違いを表しています。

和館の2階も非公開の場所となっていました。

続いて1階へと降りてから、和館へ。↓

洋館のホールから見た、和館の畳廊下です。
我が家のハッチがここにいたら
全力ダッシュ!しそうな場所です(笑)

和館はとにかく広い!綺麗!豪華!
そして、良い木がたくさん使用されています。


洋館とは違うかっこ良さがあります。↓


透かし彫りの欄間(らんま)です。
裏側から見ても綺麗! ↓


菊と桐


釘隠しの場所にも菊と桐。


和室から見る庭の景色です。↓

隣の洋館からも庭を見ることが出来ましたが、
建物の空間や配置によって庭の見え方が随分違うものだ、と
感じました。

庭を愛でる、という言い方がぴったりとくる和館。


和館から見た洋館。↓


和館では、やはり
和式トイレ ↓


蔵もありました。これは一番蔵です。↓

広いお屋敷には蔵があるのですね。

裏側から見ると、洋館と和館をつなぐ
3段の段差分の高さの違いがよく分かります。↓


洋館の建物の見え方も随分違って見えます。


敷地内には
「稲荷社」がありました。


稲荷社の軒です。
こういう場所でも手を抜かないのが凄い。↓


「離れ」もありました。


波打っているような作りが面白いです!


離れの中はこういう風でした。↓
照明が凝っていますね。


こうして六華苑の見学を楽しんできました。
実は、暑くて庭を歩いて散策することが出来なかったので
又、機会があれば
庭園を散策してみたいな、と思います。

(おまけ)アンティークな湿度計が飾ってありました。 ↓     


あと補足ですが、【六華苑】という名称は
平成5年、一般公募により付けられた名称です。
(コンドルが付けたわけではないです!)
「六」は、諸戸清六の名前から、
「華苑」は、桑名城の跡地に造られた「九華公園」からだそうです。

と、いうわけで長文になりましたが、お疲れ様でした!