etceterakoの勝手にエトセトラ

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堕天使の涙、タランテラを雑談する

2006年09月30日 | 宝塚歌劇
 じゃー、ざっくり雑談いきまーす。(行数オーバー表示が出てしまったので、記事さいごがブツ切れ・・・。思い出した順に書けたところまでということで。)

 芝居は、26日に見たらずいぶん良くなっていた・・・ような気がするの。えりちゃんvsひろみちゃんの緊迫シーンが、23日に比べてずいぶん求心力のある場になっていたような・・・気がする。まだまだ良くなるんじゃないかな。楽しみですね!

 ショーのほうはね。わたしのなかで「前衛だ!」と(あくまでワタシ的にだけど)結論を出したおかげで、すっきりさっぱり!初回の百倍楽しく見ましたよ。初回はとにかく「困った」からね。

 あのね、名古屋市内の某老舗カレー店に、「バナナカレー」っていうのがあるんですよ。(←突然たとえ話スタート)若いバナナが丸いカタマリでゴロゴロ入ってんですけどね。それを口に入れた瞬間、わたしは「こ、これってジャガイモ!!」と思ったんだよー。バナナっつっても、青いバナナだから甘さがなくて、食感もジャガイモなのね。丸いカタチもバナナには見えんし、「小さいジャガイモ」そのものなんだね。べつにフツーにおいしいバナナカレーなんですが、わたしの脳内は大混乱をきたしました。頭では「バナナ!!」って思っているのに、食べている最中の感覚は「ジャガイモ!!」なワケです。この理屈と感覚がズレているカンジがどうーーーしてもダメでね。ものすごく「困って」食べたワケなんですよ・・・。わたしにとって「タランテラ!」はその時に近い感覚だったな・・・。

 今回、わたし的に理屈のほうを修正しまして、「前衛!」って思いながら見たので、ちゃんとアタマと感覚が連動して、楽しく見られたという話です。

 しかしねー。ひとつ困ったことが!!
 前衛を見る感覚で「タランテラ!」を見る結果、「コム様きゃーきゃーアドレナリン」(←無茶なネーミング)が抑制されちゃうんだよぅぅーーーー!!
 何年か前に「ロシア・アヴァンギャルドの陶芸展」(岐阜県現代陶芸美術館)で見たスエーティンのね、食器なんですよ・・・。

 グーグルイメージ検索「スエーティン」→ココ

 このねえ・・・「アヴァンギャルド(前衛)」を構成する幾何学形・・・四角とか丸とか線とか・・・要素ですね。要素に見えるんですよ、スターの登場もダンスも歌も(泣)いやまぁ、そんな見方をしとるのはわたしだけでしょーが・・・すいません(なぜか謝る)

 スターを四角や丸扱いすんなー!とのお声もありましょう・・・。お叱りごもっとも(平身低頭)
 だってそう見えるんだもん(涙) なんか前衛のフォルムを見る感覚で見ちゃうんだもん(涙) またコム様ってどっちかといえばクール系スターで、ダンスがキッチリ端正でしょ。ますます幾何学なモノを眺める目線で見ちゃうんだよ。

 だいたい、わたしにとってこれまでもこれからも、宝塚ってのはあくまで「娯楽」でしてね。(「趣味」でもないな。娯楽だね。このブログや、関連書籍読むのは趣味だけど)

 わーい!あはははは!きゃー!ぎゃー!きゃーーーーーーー!
 (※こういうヒトに、石田昌也作品はうってつけなんです・・・)

 っていうのが、客席でのスタンスなんだよ。それがタランテラ!は

 ・・・・・・・・・・・・(鑑賞!)

 ってカンジなんですよねえー。「キャー」が入る余地がない。うーむ、わたしだけ?わたしだけですよね、すいません・・・(また謝る)

 いやー、スターさんや組子を愛でる視線てのもあるはあるんだけどね、「鑑賞モード」が先にたっちゃうんだよねー。それはそれで面白く見てるんだけどねえー。

 と、少数派ぶり(・・・・・・。)をいかんなく発揮したトコロで、やっとキャストの話です。

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 コム様。
 わたしは今公演を「コム様足上げ大会」と名づけました!キレイにパキッと上がる足。そしてキ~プっぷり!デュエットダンスで、コムちゃんの上がった足の下をまーちゃんがくぐる振りありましたね。「足上げ大会」のハイライトですね(?)
 芝居と歌さぁ・・・ホンットに上手くなったよね(感涙)特にお歌!(コム様比での)成長っぷりに、トップとしての年月に思いを馳せちゃったよ。

 まーちゃん。
 出番が少ないーーーーーーーーー!!コムちゃんとのラブラブシーンがないーーーーーー!!(涙)頼むよ、景子せんせぇーーー!!(涙)
 でも、ベッドに横たわって、(目が見えないので手探りで)堕天使の手からコップを受け取るところ、大熱演でホントに感動したよ。
 ショーでは、パンツスタイルとか銀橋で娘役にしては低い声で歌うところとか、かっこよかった!可愛くて清楚なのに、かっこいい!!まーちゃん大好きです。

 ちかちゃん。
 ちかちゃんは銀橋の使い方がとってもステキ!色気で空間が埋まるっていうの?なんか、銀橋で一曲うたうだけの姿が、めちゃくちゃかっこいいの!!
 芝居の役は、酒持ってふらふらしてるトコがものすごくツボだった(笑)
 ジャン=ポールは不幸な役だけど、不幸が色気に変換されて(?)、胸キュン度倍増!!壁にこぶしをたたきつけてガーンってやる後姿も、めちゃくちゃかっこよかったです。ああいう、感情が発露する場面いいよね!

 えりちゃん。
 雪組最後の公演だね。
 すごくイイ役でよかったよね!今回の芝居で、もっとも緊張感のあるイイ場面だもんね。まだどんどん進化する場面だと思うので楽しみ!
 ショーで、えりちゃんが芯になるとこ、すごく楽しい!!サワヤカえりちゃんの本領発揮だよね。

 キムちゃん。
 ・・・キムちゃんは実力派だなぁー!芝居めちゃくちゃ上手いし。キムちゃんがしゃべりだすと、パッと場がキムちゃん中心に「(わかりやすい)芝居らしい芝居」になるね。(雪組芝居ってことなのかな)
 キムちゃんて、ダンスの人ってワケじゃないんだけども、ダンスの芯でも、問答無用の求心力と華があるよね!
 わたし、一作ごとにどんどんキムちゃんの「舞台」を好きになっていってるんです。小柄だけどパワフルなのも見ていて気持ちいいv

 ひろみちゃん。
 ひろみちゃんって、月組で見ていたときには、そう「月組月組」したイメージじゃなかったんだけど、こうして雪組で芝居しているのをみると、やっぱり芝居の質が月組だね!うん、これから雪組でどんなふうに育っていくのか楽しみ!マルセルはイイ役だよね。今回の芝居の時代やパリの設定、ひろみちゃんにえらい似合ってたなー。

 ハマコさん。
 ハマコさんの歌には「生気」があるよ!わたしの前衛モードをも突き破るハマコさんの歌唱パワー!!
 ハマコさんって芝居もちゃんと上手いのよね。今回は下級生陣と4人ひと組の「地獄の舞踏会スタッフ」でしたけど、ほどよく抑制のきいたセリフ回しがさすが!

 かなめちゃん。
 いやーーーー、眼福でございました!
 コムちゃんとの並びは「耽美」以外の何者でもないっ。コムちゃんの従者(?)って設定を思いついた景子先生に拍手拍手!黒い服もめちゃ似合うしー。存在がもう、少女漫画だよ!景子先生ワールドにぴったりー!

 遠麻くん&コマちゃん&せしるくん。
 遠麻くんの優しい芝居がすごく好き!なの。遠麻くんのお芝居、もっと見てみたいな。せしるくんがササッと遠麻くんの背中に隠れるトコがあるんですが、遠麻くんのドーンとかまえた鷹揚な雰囲気がかっこいい!頼りになりそう!ああー、あんな彼氏ほしいよぅ(←また始まった)
 コマちゃん、だいぶオトナ(?)になったねー!立ち姿とか、すごくサマになってきたじゃないですか。もっとセリフつくようになるのが楽しみ!
 せしるくん・・・オカマ!?くねくね芝居に内股・・・!!さいしょドレスで登場したときゃ、ド肝抜かれましたよ!衝撃(笑撃ともいう)でした。布を引き裂くところとか、めちゃくちゃ可愛いんですけど!(笑)もう、おねーさんイチコロ(笑)・・・しかし、せしるくんてこのままイロモノ路線なんでしょーか(笑)ショーの群舞とかさぁー、けっこう真中のほうにいてビックリだよ!初回、いっしょうけんめい両端を探していて「いないなぁ」と思って、目に「せしるくん発見器」を組み込んでいるらしい友人Rにたずねたら、「意外と真中にいる!(びっくり)」って言われ、二回目まんなからへん探したら、いたよいたー!大きくなったねえ、せしるくん・・・(親ゴコロ)

 さゆちゃん。
 大役だったねえ!まだちょっとカタいところありますが、どんどん成長して素敵な娘役さんになってね!

 かおりちゃん。
 役ないから心配したよ(涙)ちゃんと出番もセリフもあってよかった!

 ラギちゃん。
 ショーの幕開きに、ひろみちゃんと対で使われていたのに感動しちゃったよ!かわいいラギちゃーん!あそこでわたし的に数十秒の「ラギちゃんガン見タイム」が設定されております!(笑)

 いづるん。
 さすが元男役!と思わせる力強い役割が多かったね、今回は。てゆーか、いづるん上手い!ちかちゃんの恋人の役、あれステキですね。衣装も役も、いづるんによく似合ってるー!

 ナガさん、悠さん、にわちゃん。
 この3人のお芝居が、わたしは大好物なのですよ!甘さと優しさのある、重心の低いどっしりしたお芝居がね。にわちゃん、上手いねー。ナガさん、大好きです(群舞でも探して見てますから!)悠さん、やさしそうな伯爵サマだなー!このヒトならパトロンになってもらっても安心っぽい(笑)

 カフェで踊ってる客の中心て、そらちゃん?はぁー!なんだかかっこいいじゃないの、そらちゃん!

 大西洋の場面は見るトコいっぱいで困っちゃう!
 上で歌ってる4人の娘役さんみんな、ひとりひとり見たいし!(あやりちゃんが入っているのがうれしい!)下で踊るさゆちゃんと愛奈ちゃんも見なきゃだし。愛奈ちゃん、キレのある魅力的なダンスだねえ!

 ひめちゃん、しなちゃん。
 しなちゃん、ショーも芝居も、なんて清楚で愛らしい・・・(胸きゅん)
 特に教会で絵本よむとこ!
 ひめちゃんが「いったぁーい!」って、さゆちゃんに意地悪するところがなぜかツボ(笑)

 美穂さん、あみちゃん、ゆめみさん。
 ショーでは歌姫さん大活躍でしたね。あみちゃんの毒のある(?)芝居と歌が見られなくなるのは残念。最後のハマアミコンビを堪能します!ゆめみさん、舞台いっぱいにひびく素敵歌声だなー。 

「松竹vs阪急!その戦いはマスコミの格好のネタだった・・・らしい」 92へえ!

2006年09月30日 | レヴューのトリビア


「松竹vs阪急!その戦いはマスコミの格好のネタだった・・・らしい」
 92へえ!

「朝日新聞縮刷版 昭和9年1月ほか」より

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 今回、なんで昭和9年を見たかっていうと、東京宝塚劇場の完成が昭和9年だからなんです。とにかく、東宝ができんことには、紙面に宝塚も登場せんじゃろ、と思いましてな。

 昭和9年1月9日2面。
 「出来上がった日比谷劇場」として、日比谷映画劇場完成の記事。(東京宝塚劇場は1/1開場だったと思うけど、記事は見当たりませんでした。たぶん、12月に載ったんじゃないかな)
 ちなみにこの日比谷劇場、一律50銭をうたい、コインをいれるとバーがあいて進める地下鉄みたいな改札(?)方式だったらしいよ。安さ、上演回数の多さ、それから配給とナシつけて、従来とはちがう興行形態(人気があればロングラン。入場者のパーセンテージで利益を分ける)で勝負した模様。・・・すごいな、一三!これ、失敗したら目もあてられんよ?

 同日の13面には「劇界危険線」として、
 切り込む小林 堅める大谷
 紳士協約は見事に破棄! 俳優争奪の乱戦

 素人小林一三と玄人竹次郎の一騎打、帝都の興行合戦は三六年を待たず春もはやばやと開始された。小林勢の宣言した専属俳優募集がそれだ。紳士的に握手してといつた仮面がこれで漸く剥がれたわけだが、立ちあがられてあわてる松竹、立ちあがつても自信のうすい宝塚ーーーちょっとこんなふうだ。


 一三は松竹の牙城に劇場をぶっ建てて乗り込んだものの、肝心のソフトがない。(人気俳優がいない) 表向きは紳士協定など結んでおきながら、「俳優募集」ってことにして、「松竹の俳優さんぜひ来てv」(応募してくるなら、引き抜きにはあたらないよね!ってハラ)
 まぁしかし、そうカンタンに人気俳優が応募してくるハズもなく、素人の履歴書ばかり東宝には溜まっていったそうな。それで、ウラではやっぱり「引き抜き交渉」ということに。
 引き抜きの多寡は別にしても、松竹側はいいメーワク。人気俳優が「給料上げないと東宝行くよ!」と交渉にきたり、とかく安さをうたう東宝に負けじと、松竹の劇場の食堂料金を値下げするハメになったり・・・。(この値下げについては「大谷玄人は小林素人の真似をすると堂々宣言している」のだそうですよ。)

 ・・・何か、「小林素人」「大谷玄人」とかさーあ、マスコミの「高みの見物」モードが思いっきりうかがえて面白いよね。

 この月だけでも、ほかに松竹vs阪急の記事は数点あります。
 1月20日には(ナゼか「家庭」欄に)大谷氏登場。インタビューに応じています。

「物情騒然ですがどうですか?戦意みなぎっていますか?」
「エライ人気ですナ。喧嘩もしとらんのに新聞は火花を散らしているように書いてくれます。人伝に聞いたんですが何でも小林さんはエラク怒りはって、こうなったら大谷くんと共同声明書でも発表せんと世間の誤解はとけんというてなはるそうですが、私もそれは毎朝新聞を見て不愉快です。然し夜寝るときよう考えて見ると、これは両方のために大変結構なことで、芝居や活動の人気が出ると思うています」

 そして、一三の日比谷アミューズメントセンターには、脅威を感じるどころか喜んでいる、と語ってみせる大谷氏。「私には名誉も意地もないから、よいことは(小林の)真似をしますよ(お客様のために)」と宣言する大谷氏。うーん、心中はいかがなもんだったんでしょうか・・・。

 ちなみに昭和十年8月24日の「映画と演芸 九月増大 新スター発見号」(朝日新聞社)の広告を見ますと、

 大谷松竹社長、小林東宝社長
 興行界攻防戦誌上一騎討
 東都に攻め入って丸の内一帯を風靡しさらに浅草新宿進出をも策して大波乱を捲き起しつつある問題の小林氏!これに対する大谷氏の秘策は?

 東宝の引抜戦術を占ふ…黒覆面
 (覆面座談会かなんかですかね?)


 ずいぶんマスコミの耳目を引くニュースだったんだな、一三の東京進出は。
 それだけ、それまでの興行界は、松竹の存在が大きくて、対抗馬(?)がなかったということなんでしょう。

 さて、次回のトリビアは今日のつづき。
 「松竹vs阪急!熾烈な戦いは広告にまで及んだ…らしい」ですよ。(なぜか予告)