現役時代の芸名は「若みゆき」さんだそうですね。
こないだ、植田しんじ先生の「宝塚、わがタカラヅカ」を読み直していたら、若みゆきさんのエピソードがけっこう詳細に語られている箇所を発見してビックリしたのでした。
宝塚、わがタカラヅカ(植田紳爾/白水社)
せっかくなのでご紹介。
若みゆき。彼女とは一九五六年(昭和三十一)にパリ公演に一緒に参加したから、いろいろと思い出がある。頭の回転が速く、話題も豊富で人をそらさない理知的なところがなによりも魅力で、パリ公演のメンバーの中では最下級生に近い立場でありながら、いつも明るい存在であった。そんな彼女がパリ公演の帰国後、あのショッキングピンクで有名な「アマンド」の滝原社長が見合いをすすめた。社長は彼女の親代わりのようにかわいがっていた。相手はサンフランシスコで日本料理店を経営する店の御曹司だった。見合いをした結果がどうであったか、いろいろ話をしたはずだが、そこのところは忘れてしまった。とにかく結婚することになった。母親を置いて渡米することに一抹の不安は感じていたが、彼女は勇躍して退団し結婚した。ほどなくして離婚し、一人サンフランシスコに留まっているという噂をきいた。まだ年若い女性が一人で異郷の地に暮らすのは大変だと案じながら、ちょうどニューヨークに行ったついでに訪ねることにした。再会した彼女は歌劇団在団中と少しも変わらず、明るくぼくを迎え、「いま学校で勉強をし直しているの」と元気よく言い、自分の車で市内観光に連れて行ってくれた。
しかし、いまから考えるとそのときすでに彼女には心から頼れる男性がいたのだ。だから、異郷で離婚ときう悲劇に立ち向かうことが出来たのだ。その男性が鳩山由紀夫氏である。タカラジェンヌの中からファーストレディーが誕生したらと夢想することがある。
下線は生意気娘Kによる。
植田せんせいの夢想が、2009年になって実現したわけですね。(植田せんせいの本が出たのは1997年です)
「若みゆき」さんと植田せんせいが一緒に写ってる写真も載ってます。若みゆきさん、キリリとした表情で溌剌と写ってます。頭の回転速そうっていうのは、写真の表情からもうかがえますねえ。
おなじ頁に、有名人と結婚したOGさんの話題が書いてあります。まあ、周知の事実ばかりですが、植田せんせいの本が書いているカップルをまとめておきましょう。
●演出家+OG(敬称略)
・坪内士行と雲井浪子
・白井鐵造と沖津浪子
・内海重典と加古まち子
・柴田侑宏と珠梨英
・岡田敬二と若葉ゆき
・草野亘と郁まさと
●芸能人+OG
・谷口千吉と八千草薫
・井上梅次と月丘夢路
・新藤兼人と乙羽信子
●文筆業、政治家+OG
・野坂昭如と藍葉子
・竹村健一と加賀葵
・鳩山由紀夫と若みゆき
そういえば高木史朗せんせいは著書「レビューの王様」で、「タカラジェンヌと結婚しなかった私はへそ曲がりかな(意訳)」ってなことを、冗談めかして書いてらしたですねえ。
余談ですが、鳩山夫人について、旦那殿はニュース映像をちらっと見ただけで、
「あれは宝塚出身の人じゃないのか」
と言い当てましたよ。驚いたです。
なんか「一般女性とは雰囲気が違うし、かといって一般芸能人のようにも見えない」とのこと。タカラジェンヌオーラって、どんな年月を経ても輝くものなんですねえ。