「小林一三は小説家志望で、新聞に小説を連載したこともあるらしい!」 79へえ!
「日本財界人物傳全集第5巻 小林一三傳」(三宅晴輝/東洋書館)より
※初版は昭和29年7月5日。同年の7月30日にはすでに4版だから、よく売れた本なんでしょうね。トーゼン絶版です。当時の定価は290円。
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小林一三、若いころは「文学青年」だったそうな。慶應に通っていた時分には、寮の機関雑誌の主筆(編集長みたいなもん?)もやっとったらしい。
で、最初はマジメな学生だったんだけど、だんだん勉強がイヤになってきて、「芝居や軟文学」に凝りだしたとのこと。な、軟文学・・・。大衆小説ってこと?昭和29年の本とはいえ、古い表現だなぁ。
で、明治23年(一三18歳)のとき、郷里の山梨日日新聞に、小説を連載したのだそうですよ。タイトルは「練■痕」(ごめん、漢字が変換できない。■のところには、糸がふたつ並ぶ漢字が入ります)、ペンネームは「靄渓学人」だって。(タイトルもペンネームも読めんっ)
内容は新聞で読んだ殺人事件に材をとったもので、コレを読んだ警察が「(ただの小説じゃなくて)実は何かあの事件にかかわりがあるんじゃないのか、キミ!」みたいな感じでですね、一三を呼び出して取り調べをしたのだそうな。学校が一三の身分証明をして、一三も「ただの空想ですってば!」と説明したんだけど、けっきょく「警察がうるさい」のを理由に、新聞社では連載を9回で打ち切ったらしいです。
補足トリビア:小林一三は小説を連載したものの、9回で打ち切られてしまった。
●参考●
連載小説の内容。
レニス嬢と大森の恋愛を喜ばないレニス宣教師が、何者かに殺される。レニス夫人は大森を犯人じゃないかと疑って、やがて大森は警察に連行される。
冒頭の文章が載ってます。
「レニス嬢は少しく笑を漏らして薔薇花を弄せるのみ、嬢の笑は真に花の笑に異ならず、花の笑を眺めて楽しげに笑ひ居るは大森安雄なり」
・・・あ、甘ったるい。そしてちょっと少女趣味??まぁ、こんだけで判断するのはアレですが、なんか宝塚歌劇のロマンチックに通じるものがあるような・・・。