元日夜にテレビ朝日系で放送された「細木数子が緊急大予言アナタの将来を幸せにするSP」。 自民党の次期総裁候補の運命を占うというので思わず観てしまったのだが、その結論が何とも罪深い。細木女史の下した結論はこうだ。
▽麻生太郎外相→「可能性なし」
▽谷垣禎一財務相→「可能性なし」
▽福田康夫氏→「調整次第で首相になる可能性あり」
▽安倍晋三官房長官→「将来は首相になる可能性があるが、この1、2年はない」
このほか、竹中平蔵総務相も「可能性なし」だとか。意外だったのは「首相になる可能性がある」として名前を挙げられた2人。中川昭一農水相と武部勤幹事長である。あまりの渋さに「細木サン、北海道に親戚でもいるのかね」と勘繰りたくもなる。
それはさておき、国民的人気の高い安倍氏でなく、小泉路線に距離を置く福田氏が後継首相になると聞けば、イヤが上にも「政局」の臭いがぷんぷんと漂ってくる。予想が当たっているとすれば、何らかの要因で福田氏を推す勢力が力を付け、安倍氏は福田氏の顔を立てて出馬を見送るというシナリオだろうか。
そうなれば、目下、模擬国民投票による「安倍総裁」実現を画策している武部氏は、作戦失敗の責任を取って自ら福田氏の対抗馬に名乗りを挙げる?
小泉改革を支えてきた「偉大なるイエスマン」には、しかしながら「お調子者」との評判も付きまとう。売れっ子占い師に「首相になれる」と全国放送で言われて冷静でいられるかどうか。必ず本人の耳には届くだろうし、周囲の人々も浮き足立ってしまうだろうなあ。
黒澤明監督がシェークスピアの戯曲「マクベス」を映画化した「蜘蛛巣城」(1957年)では、三船敏郎演ずる武将、鷲津武時が、出世欲にかられて破滅の道に迷い込む。きっかけは、森の中で出会った妖しげな老婆から告げられた「やがて国守になるであろう」という予言。
そうそう、黒澤映画といえば、小泉首相は「用心棒」(1961年)の浪人、桑畑三十郎(三船敏郎)のように、自民党という宿場町で、左右のヤクザ衆を斬って斬って斬りまくった。
三十郎「まったく、かわいいツラしてるな、おまえたちは」
ヤクザ「なんだとっ。こう見えても俺様はな、つかまりゃ磔(はりつけ)間違いなしのお尋ね者だぜ」
三十郎「じゃ、たたっ斬られても文句はねえな」
ヤクザ「フン、斬れるもんなら斬ってみな」
三十郎「斬られりゃ痛えぜ」
次の瞬間、カチッという音。刀が抜かれ、一本の腕が地面に転がっている。静かに厳然として刀を鞘に戻す三十郎・・・。
対立するヤクザ同士のパワーバランスの上に成り立っていた宿場町の「秩序」を、三十郎は滅茶苦茶に破壊して去っていった。小泉三十郎(六十郎か)が抜いた衆院解散という「伝家の宝刀」も、やはり斬られりゃ痛かった。
その三十郎。1年後の続編では、たまたま宿にした神社で、藩の政治浄化を話し合う若侍たちと出会い、またしても大掃除に手を貸す羽目になる。
「参ったな。こうゾロゾロと金魚のフンみたいについて来られちゃ、始末が悪いや」。経験の浅い若侍の扱いに手を焼きながら、今度も三十郎は悪い奴らを片っ端から斬る。
老練な浪人と正義感あふれる若侍たち。世代交代を印象付けるラストシーンは、「小泉チルドレン」へのバトンタッチを見るようで、どこかユーモラスである。地面に手をつき頭を下げる若侍たちを背に、三十郎は肩をゆすりながら城下町を去っていく。「あばよっ」の決めぜりふを残して。
若侍のリーダーを演じたのは、まだ若かった加山雄三。そういえばどことなく安倍晋三氏に・・・は似てないか。いや風貌で言うなら、安倍氏は往年のスター、アル・パチーノによく似ている。
そういえば、コッポラ監督の名作「ゴッドファーザー」(1972年)では、ニューヨークのイタリア系マフィア組織を継承する若き領袖、マイケル・コルレオ―ネを演じていたっけ。
大学出のインテリだったマイケルは、先代ドン・コルレオーネ(マーロン・ブランド)の復讐を果たす過程で、マフィアのトップにまで上り詰めていく。かすかに「憂い」をたたえたその表情で、パチーノは一躍名優と呼ばれるようになった。
「ポスト小泉」の最有力といわれる安倍氏の目にも、ふと哀愁が浮かぶ瞬間がある。いつの世も組織の継承劇には、嫉妬と抗争、激情と憂鬱がつきもの。レースの行方は「神のみぞ知る」だ。
▽麻生太郎外相→「可能性なし」
▽谷垣禎一財務相→「可能性なし」
▽福田康夫氏→「調整次第で首相になる可能性あり」
▽安倍晋三官房長官→「将来は首相になる可能性があるが、この1、2年はない」
このほか、竹中平蔵総務相も「可能性なし」だとか。意外だったのは「首相になる可能性がある」として名前を挙げられた2人。中川昭一農水相と武部勤幹事長である。あまりの渋さに「細木サン、北海道に親戚でもいるのかね」と勘繰りたくもなる。
それはさておき、国民的人気の高い安倍氏でなく、小泉路線に距離を置く福田氏が後継首相になると聞けば、イヤが上にも「政局」の臭いがぷんぷんと漂ってくる。予想が当たっているとすれば、何らかの要因で福田氏を推す勢力が力を付け、安倍氏は福田氏の顔を立てて出馬を見送るというシナリオだろうか。
そうなれば、目下、模擬国民投票による「安倍総裁」実現を画策している武部氏は、作戦失敗の責任を取って自ら福田氏の対抗馬に名乗りを挙げる?
小泉改革を支えてきた「偉大なるイエスマン」には、しかしながら「お調子者」との評判も付きまとう。売れっ子占い師に「首相になれる」と全国放送で言われて冷静でいられるかどうか。必ず本人の耳には届くだろうし、周囲の人々も浮き足立ってしまうだろうなあ。
黒澤明監督がシェークスピアの戯曲「マクベス」を映画化した「蜘蛛巣城」(1957年)では、三船敏郎演ずる武将、鷲津武時が、出世欲にかられて破滅の道に迷い込む。きっかけは、森の中で出会った妖しげな老婆から告げられた「やがて国守になるであろう」という予言。
そうそう、黒澤映画といえば、小泉首相は「用心棒」(1961年)の浪人、桑畑三十郎(三船敏郎)のように、自民党という宿場町で、左右のヤクザ衆を斬って斬って斬りまくった。
三十郎「まったく、かわいいツラしてるな、おまえたちは」
ヤクザ「なんだとっ。こう見えても俺様はな、つかまりゃ磔(はりつけ)間違いなしのお尋ね者だぜ」
三十郎「じゃ、たたっ斬られても文句はねえな」
ヤクザ「フン、斬れるもんなら斬ってみな」
三十郎「斬られりゃ痛えぜ」
次の瞬間、カチッという音。刀が抜かれ、一本の腕が地面に転がっている。静かに厳然として刀を鞘に戻す三十郎・・・。
対立するヤクザ同士のパワーバランスの上に成り立っていた宿場町の「秩序」を、三十郎は滅茶苦茶に破壊して去っていった。小泉三十郎(六十郎か)が抜いた衆院解散という「伝家の宝刀」も、やはり斬られりゃ痛かった。
その三十郎。1年後の続編では、たまたま宿にした神社で、藩の政治浄化を話し合う若侍たちと出会い、またしても大掃除に手を貸す羽目になる。
「参ったな。こうゾロゾロと金魚のフンみたいについて来られちゃ、始末が悪いや」。経験の浅い若侍の扱いに手を焼きながら、今度も三十郎は悪い奴らを片っ端から斬る。
老練な浪人と正義感あふれる若侍たち。世代交代を印象付けるラストシーンは、「小泉チルドレン」へのバトンタッチを見るようで、どこかユーモラスである。地面に手をつき頭を下げる若侍たちを背に、三十郎は肩をゆすりながら城下町を去っていく。「あばよっ」の決めぜりふを残して。
若侍のリーダーを演じたのは、まだ若かった加山雄三。そういえばどことなく安倍晋三氏に・・・は似てないか。いや風貌で言うなら、安倍氏は往年のスター、アル・パチーノによく似ている。
そういえば、コッポラ監督の名作「ゴッドファーザー」(1972年)では、ニューヨークのイタリア系マフィア組織を継承する若き領袖、マイケル・コルレオ―ネを演じていたっけ。
大学出のインテリだったマイケルは、先代ドン・コルレオーネ(マーロン・ブランド)の復讐を果たす過程で、マフィアのトップにまで上り詰めていく。かすかに「憂い」をたたえたその表情で、パチーノは一躍名優と呼ばれるようになった。
「ポスト小泉」の最有力といわれる安倍氏の目にも、ふと哀愁が浮かぶ瞬間がある。いつの世も組織の継承劇には、嫉妬と抗争、激情と憂鬱がつきもの。レースの行方は「神のみぞ知る」だ。
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民主党の前原代表は12日の党役員会で、自身の任期切れに伴う代表選の実施時期について「今の代表選挙規則の中で進めたい」と述べた。
代表選は両院議員総会で決定すれば、任期満了の9月末から大幅に前倒しして実施することも可能だが、これを断念して予定通り9月中に実施する考えを表明したものだ。
前原氏は4日の記者会見で、代表選の前倒しを検討する意向を示したが、党内で異論が相次いだことから、軌道修正したと見られる。役員会では、鳩山幹事長に対し、9月に行われる自民党総裁選の中に代表選が埋没しないような方策を検討するよう指示した。(読売新聞) - 1月12日20時13分更新
わたし個人は、安倍氏に対する「共感」はそれほど感じないですね。意外と古いタイプの政治家のような気がします。マスコミのてなずけ方は上手そうですが、同時にオフレコ規則を守らない記者は徹底的に干しあげたりしそう。そういう「影」が見え隠れするところが、マフィアのドンを思わせるのですが…
ところで、民主党の前原代表が代表選の前倒しを言い出しているようですが、彼はしたたかですね。代表選前後に党内で「前原おろし」が起きる可能性を予測しているのでしょう。直後に自民党総裁選があると分かっていれば、党内の反前原グループもあまり下手な動きはできませんから。だからこそ大連立のウワサがくすぶっていることは、前原氏にとって有利なんです。
ムネさんに続き、細木和子さんからも昭一大臣へのバックアップがあるとは、おもしろいですね。志師会のプリンスですから、ぜひ頑張ってほしいと思っているのですが、新聞各紙には一向に名前があがらず・・・
ところで「ゴッドファーザー」、私も好きです。安倍さんがアル・パチーノくらい声が渋かったらなお魅力的ですよね。