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モダニズムだけじゃない建築ブログ

予算が無くてもやれる!好例を見た。

2013年07月27日 15時35分43秒 | Art

 少し時間が経ってしまったけれど、去る7月13日、14日の2日間、札幌の隣、江別市においてイベント「やきもの市」が開催された。江別市と言えば、北海道の建築業界関係者にとってはレンガで有名な街である。上遠野邸のレンガもこの街で焼かれたものだ。そのイベント期間中に、大学院時代の友人、同級生達が大正ロマンを感じさせる古民家の中庭を使ってインスタレーションを行った。タイトルは「街のしずく広場」。広場活用のプログラムがしっかりと構築され、とても良い空間だった。まずは写真を載せたいと思う。

この民家への入口は、門により閉ざされ感が有るのだが、門自体にも歴史を感じるので、なかなかドラマチックだ。

期待感を膨らませて中に入ると、植物のフキの生育をコンセプトの題材とし、「過去」「現在」「未来」の3つに分けた空間が待っていた。その3つの空間は植物の生育を基本とした年単位で分けられており、とても面白いものである。境界線に札幌軟石を再利用するなど、人々の心を掴む要素もたっぷりだ。

ただ単に、この空間に身を置くだけでもほっとするのだが、コンセプトやメッセージを読むと、このインスタレーションの意味をよく理解でき、一層良い時間を過ごすことが出来た。

しかも、椅子に座って視線を動かすと、歴史的建築物をいくつも見ることができるのである。

建物内では別のグループがショップや展示会を開催していた。

古民家も使ってこそである。

こちらの建築は木骨石造の倉庫建築で、写真展を開催していた。

中から通りを眺めてみると、実に初夏らしい風景が見られる。

 今回のインスタレーションは1回限りではない、継続した活用が出来るサイクルを持ったものだ。来年も再来年も、その先もずっと継続出来るし、発展もさせられる。何より、居心地が良かった。インスタレーションの視点は、空間の寸法だけではなく、その場所の生態系、歴史、未来へのメッセージと多くの項目に向けられている。その上で太い幹であるコンセプトが創られている。予算は無くても、才能や頭脳が有れば、いくらでもやりようはあるのだと、示してもらった。



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