「葦笛洞」という名前は、昭和二十六年にこの住宅建築を建てた施主が付けたそうである。敷地に群生する葦と、聞こえてくる蒸気機関車の汽笛が、その由来である。この建築が建つ土地は水が集まる窪地で、現在も池には葦が生い茂り、鴨が雛を孵して水面に可愛い姿を現す。現在カフェとして使われているが、戦後6年目の年に建てられた住宅建築で、移築はしていないそうである。古民家カフェと言うにはそんなに古いものではないが、昭和に建てられた建築の雰囲気を楽しむこtが出来る。小樽市と札幌市の境、小樽市の銭函という場所に在って国道5号線沿いに建つが、車を運転していると気付くことは無いかと思う。
菱葺きの屋根と、煉瓦造りの集合煙突は、現在の札幌近郊でも注意して探さなければ、なかなか見つからない。札幌では、この頃に建てられた住宅は、もうあまり残っていない。
羽目板と塗り壁の雰囲気が良い。このような外壁も、最近はなかなか見ることが出来ない。
ガラス引き戸の玄関は、欄間付きだ。
玄関に入ると下駄箱上に棟札が飾られていた。改修工事の際にでも、取り外されたのだろうか。
内部は土足で入るのをためらうくらいであるが、流石にカフェ店舗部分の板の間は、張替えられたものだと思う。
当時としては結構な金額をかけた住宅だったのではないだろうか。細部の納まりを見ていると、あっと言う間に時間が過ぎた。
「葦笛洞」
設計者:? 竣工:1951年 小樽市銭函2-30-3
訪札のときに小樽にはご一緒するものの、その途中にある銭函には降りたことがありませんね。次回余裕があれば是非ご案内ください。