goo blog サービス終了のお知らせ 

**アカシアの木蔭で**

流れていく時間と逆らわずに流れていく自分を、ゆっくりペースで書いて行こうと思います

空耳?!

2006年04月05日 | 病棟
・・・やってきました、強烈な個性のおじいちゃん。
超が5個くらいつきそうに寂しがりの認知症で、
日がな一日 「お~い!」「お~い!」と叫んでいます。

「どうしたの?呼んだの?」
何度同じ問いをしたことか!

傑作な答え、その1:「口が勝手に言うんだよぉ(さも残念そうに)」
      その2:「みつめてくれないと寂しい」
      その3:「悲しいよぉ。悪モンが勝っちゃったよぉ
           (時代劇見ている時に)」
      その4:「呼んでないよぉ?きっと空耳だぁ??」

「・・・あぁ、ちょっと疲れちゃったかも・・」
「がんばれぇ、応援してるよぉ?拍手しちゃうよぉ?」
イントネーションは志村けんの「だいじょぶだぁ?」です

がっくし肩を落としつつ 「がんばってみるねぇ」と笑ったの。
「うん、うん、それがいい?」って満面の笑みでみつめられて。
・・・・ああ、今日も患者さんに踊らされてる・・・

ミニ薔薇 チュチュ

2006年04月03日 | HT・FL・修景など近年の薔薇
まるでちいさなピエールドロンサールのようなミニ薔薇です。
少しグリーンをにじませたようなベージュホワイトに
淡くピンクをのせて ゆっくり開いていきます。
日当たりが良いとピンクが全体に濃く出るようなので
あまり長い時間直射日光に当てないようにしてみました。
株が弱ってしまうかな?

静けさの中で

2006年04月03日 | 病棟
主を失ったベッドが 消毒のためにシーツをはがれ
静かに横たわっている。
この間までぬいぐるみや花の飾られていた床頭台も
綺麗に拭きあげられ 
ラジオの音も聞こえない。
窓の外には雲一つない青空が広がり
ガラスのこちら側には暖かいひざしが届く。
がらんとした静けさの中
彼女の気配が薄くなっていく。
皺だらけの大きな手も 曲がったままの足も
美人さんだと褒めると 
恥ずかしいと顔を覆った指の間から
見えていた嬉しそうな瞳も
その輪郭は 私の心の内に在るだけ。


死ぬって こういうこと。

さくら

2006年04月02日 | 病棟
HISAKOさんのサイトで
静かに咲いている桜を眺めていたら
泣けてしまいました。


りうさんの具合がぐんぐん悪くなって
長くないことが感じられた数日前に
せめて最後の春を贈りたく
花屋さんで桜を買って枕元に飾りました。
質素なシデザクラしかなくて 悲しかった。
咲き誇るソメイヨシノ、見せてあげたかったな・・・

さくらは華やかに咲き誇るのに さびしい花です。




りうさん

2006年04月02日 | 病棟
・・・りうさんが 亡くなりました。
家族みんなのお見舞いを済ませ、
私たちに存分にお世話させてくれてから
天国に旅立ちました。
その日は 日勤のリーダーで
ぐんぐん落ちていく状態を止めるすべもなく
夜勤者に引き継ぎました。
「りうさんの最期を看取れるのは光栄です」
そう言って涙ぐんでくれた同僚と相談して
モニターを付けました。
ナチュラルコース希望で
酸素もモニターも点滴もする予定はなかったのですが、
気付かないうちにひっそりと旅立ってしまうのは
どうしても避けたかったのです。
手を握り 見送りたかったのです。

 「静かな最期だったよ」

一世紀近い激動の世の中を生き抜いたりうさん、
出会えて嬉しかった。
お世話させてくださって有難う。