そういう作品は本当に多いんですが、ついに単行本化されることのなく打ち切られた高河ゆんの過去作品の一つです。第1巻が出ていないので、上の画像はアニメイト(movic)のカセットレーベルの一枚です。
『サウスエクストラ』1989年11月20日号、『LCミステリー』1995年9月号、10月号に掲載。その後、続きは描かれていません(1996年3月号にも描かれているというデータがありますが私は実物を読んでいません)。
ヴァンプ=吸血鬼である真弓と幸(さきく)。満月の夜には血を求めて出かける二人だが、その夜なぜか真弓は具合が悪いと言ってベッドから起きようとしなかった。
好みが違う真弓と幸。その夜、B型の若いコが好きな幸は、真弓のためにAB型を捜そうと夜の街へ。
力の制御が出来ずにベッドでじっとしていた真弓だが、おなかがすいたと起きあがり、りんごを食べようと一つ手に取ると、手の中で砕けてしまう。
エサを持ってきたと帰ってくる幸。彼女が捕まえてきたのは、昨日自分を目撃した、学校のオカルト研に所属する少女。真弓の好きなAB型だと。二人きりにされ、目を覚ました少女は部屋の中の真弓を見て、あなたも吸血鬼につかまったの? 一緒に逃げようと言う。
まだもたもたしてんのかと部屋に入ってくる幸、真弓も吸血鬼なのと驚かれ、否定する。
自分はだてにオカルト研じゃないと取り出された十字架。
「滅ぼしてやる」。
なにもしないのに何故…?と言う真弓とは違い、「滅ぼすだと…?」と焼けた顔で嘲笑う幸。結界を張り、もうこの家から出られないぞ、と勝負を挑む。「あたしが死ぬか おまえが死ぬかだ!」。死んでたまるかと走り去る少女。真弓にしがみつきながら倒れ込み、早く棺に入れてと助けを求める幸。あれは飾りのクロスなんかじゃなくて教会のちゃんとしたやつだ、自分を守ってくれるよねと。
しかし幸の棺は壊されていた。
「体調不良」ということでそのまま打ち切られましたが、その後の彼女の作品に活かされた部分もある気がします。特に『妖精事件』へと繋がるものが感じられます。
高河ゆんの描いたオカルト物には同じく『LCミステリー』連載の『飢餓一族』(全1巻)がありますが、本格的な復帰後の作品が『アフタヌーン』で連載した『妖精事件』全5巻。評価は分かれるようですが、私は『妖精事件』は名作だと思います。もともとは同人作家であった高河ゆんが、講談社という一流どころで最後まで描ききったということも評価されて良いのではと思います。
オカルト物ではありませんが、同じ講談社の『モーニングパーティー』で休載することなく描ききった『You're My Only Shinin' Star-君はぼくの輝ける星-』(全1巻)もお薦めです。
『LCミステリー』1995年9月号表紙
第2話カラー扉(1995年9月号)
第3話見開き扉(10月号)
掲載誌が少女向けの物なので、カテゴリは「少女漫画」にしておきます。
『CAROL-K』なんかも全部ファイリングしてあるのでいつかご紹介したいです。未完ですが。
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