アルバニトハルネ紀年図書館

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『ノノノノ』第4巻/岡本倫

2009-05-30 | 青年漫画
 


みんなに叩かれた背中がまだ 熱い
今まで 誰かからこんなに期待されて飛んだことなんてなかったから--
ただ 遠くまで飛べることがうれしくて
お父さんに誉めてもらいたくて飛んでいた
今まで誰かのためになんて思いながら飛んだことはないけど…
でも--
皇帝 今日は初めて--
あなたのために 飛びますよ


続きが気になって仕方ない。買いました! 今月第6巻が出たし、そろそろ最新刊に追いつきたい。

尻屋皇帝が細工された板で、裏取引も全て知った上で飛び、大ケガをしてからの続きです。皇帝の本当の優しさを知って、二人で優勝しようとするノノと天津。青鹿のコーチは許せない。
「がんばれよ」と笑顔を見せるノノ、先輩の敵討ちも青鹿学園のこともどうでもいい、皇帝と白黒つけるために個人賞を獲ると答える天津。
青鹿のコーチ火野は、奥信(ノノ達の高校)は棄権じゃないのかと舌打ちする。
そこへ現れたのは天津暁の父、天津敦(あつし)。一本目のリザルト(result)を与田記者に見せられ「相変わらずムラが大きすぎる」と言う。
オリンピック一家の家に生まれ、親の七光りと蔑まれていた天津暁が決めた、命よりも優先する鉄の掟、何があっても絶対に負けないこと。

尋常ではない天津の負けん気、ジャンプで負けたら死んでもいい、命よりプライドが大切な天津に、同年代で勝てた者はまだいない。風に乗りHS(ヒルサイズ)を超え98.5メートルを飛ぶ。「すごいすごい!!」と駆け寄るノノにすれ違いざま「あとは頼んだ」と一言だけ呟く。
競技は進み、第2グループの終了時点で青鹿が1位、奥信が2位、その差は29ポイント、距離にして15メートル。病院から戻ってきた部員から皇帝の容態が知らされる。命に別状はないが、右足開放骨折でもうジャンプは無理かもしれないと。奥信の怒りは再燃。何が何でも優勝してあのコーチをクビにしてやる…!
105メートルくらいなら飛べると言うノノ、任せたぞ!! 期待してるからな!! と気合いを入れてくれる部員の皆。女の子でオリンピックには出られず、小学生の時はジャンプしても優勝しても父も兄もイヤな顔をした。今、初めて皆に期待され、号泣。
今兄の幻を見て失敗するわけにはいかないと、目隠しして岸谷に手を引いてもらいながら競技台に上がるノノ。「幽霊を見る確率を少しでも減らしたいんだ!!」が可笑しい(笑) 青鹿のエース寺之内は縁起を担いでいるノノを笑うと同時に気負いすぎるとケガをする、と。この人心配しているのか何なのか…。
目を開けると兄の幻は見えず、目の前は清々しい大空だけ。「……勝った!!」と呟いて飛んだノノの、見たこともない軌跡。沸き上がる歓声。電光掲示板の105.5mの数字。口だけだと言った前言を取り消し、初めての賞賛の声。


空気を読まない男で通っている寺之内が90メートルに届かなければ奥信の勝ち。クビがかかっている火野コーチは寺之内に賭け、青鹿のエースはK点を超える。92.0mの飛距離だけを見て勝ったと雄叫びを揚げる火野コーチ。だがコーチングボックスからは見えない、選手の着地。「やったな」とノノの背中を優しく叩く天津。寺之内は飛距離を伸ばそうとするあまりテレマーク(着地時のポーズ)をとれなかった。ジャッジの集計が終わり、表示された順位は奥信661、青鹿660。1ポイントの僅差で優勝する奥信。この辺りの評価方法などは、スキージャンプを全く知らず、理解もできない村松さんの疑問に与田さんが答える形で自然に説明されていていいですね。
良かった私……ジャンプをあきらめなくて!! 部員達からも絶賛されるノノ、しかし彼女が驚異的な活躍をすることは、今まで負けたことがない天津を負かすことにもなってしまう。表彰台で初めて人より下に乗った天津。「今回はぼくが勝ったな!! 次も負けないぞ!!」と笑いかけるノノにまだ先は長い、「次は負けない」と答える天津。
自分の命よりもプライド、「勝利」に固執する天津がこの後、もっと「チームワーク」を覚える展開になってくると嬉しいかも。

競技が終了するとまたラブコメに突入です。このスポ根とラブコメが交互に楽しめるのがまた魅力です。
病室の皇帝を見舞う新宮、そして優勝を知らせに来る部員達。オッパイの付いてない人間の見舞いはお断りだ!!と素直になれない皇帝のために、特別ゲストに来てもらったノノ。ロシアから帰国したばかりの興梠みかげ。憧れの興梠みかげに「最っっっっっ て---」と蔑みの言葉を浴びせられ、止まる心電図(笑)

夏休み、ノノが同居させてもらっている興梠の家のブレーカーがおかしくなり、止まるエアコン。このままじゃ暑くて死んじゃうと、興梠は「悠太!! これからプールへ行くわよ!!」と命令。有無を言わさず奴隷のノノをプールへ連行する興梠、そこに通りかかる、「野々宮悠太」を捜しに来た、以前の悠太の彼女、そらさん。ノノを見て「誰? あなた…」と泣き出し、修羅場。
近くの天津の家にとりあえず移動。
「お久しぶり」とノノにキスするそら、「あ---っ!!」と思わず二人を引き離す興梠。

コウロギのことをテレビで見たことがあるというそらは、確か変わった名前の…え~と…「ゴキブリさん」と(笑) まさかこのネタがやりたくて「興梠」の姓を付けたんじゃ…?
自分と悠太はキス以上のことも夜通ししていたと言うそら、違うのに否定できないノノ。そらさんに話を合わせないと自分が悠太ではなく、女だとばれてしまう…!
「私 悠太は女の子に興味がないのかと思ってたんだけど… 違ったんだね 私に… 興味がないだけだったんだ」と一瞬寂しげな顔を見せ、しかしめげずに自分もノノにキスする興梠。ノノを男だと信じている興梠の想い、どうなってしまうんでしょうか。
本当はノノを一目見た時から全てが分かっていたそらは、天津家のトイレで一人で泣く。

昔のことはともかく、今のことはハッキリさせてくれなくちゃイヤと言う興梠、少し時間が欲しいと答えるノノ。そらはノノを小菅神社のお祭りに誘います。皆も付いてくる。
「かたぬき」に苦戦するノノの意外と不器用な一面、金魚すくいに失敗して子供にまで負けず嫌いの八つ当たりをする天津。またしても興梠に意地悪するそらさん。射的の的が外れ、コウロギを「カマドウマさん」呼ばわり。
二人きりになり、野々宮悠太はもうこの世にはいないと本当のことをそらさんに告げるノノ。最初から気付いていたそらさんは、もう少しだけあなたのことを悠太だと思わせてと、涙を浮かべて優しく抱きつきます。本当は死んだのに戸籍上は生きていて、誰の前にもその姿を現さない「野々宮悠太」、彼の死を受け入れられない、そもそも知らない人達の「置いていかれた」という気持ちはまだたくさん存在するのでしょう。

そらの妹のうみは、自分の彼氏のハンスの方が姉の彼氏の「野々宮悠太」より飛べると勝負を挑みます。「ねぇ ハンス!! この人をやっつけて!!」と。何故にそこまでむき出しの敵意? ハンスがオーストリア代表のハンス=シュナイダーと聞いて顔色が変わる与田さん。
ジャンプを始めてまだ2年、「いつでもチャンピオンになれる」が口グセの変人、ハンス。この作品は本当にキャラクター一人一人が個性的でくせがあり強烈です。もちろんノノも変態(ナルシスト)の一人です(笑)
君に恥をかかせたくないと遠回しに勝負はやめようと、ノノを気遣うハンスですが、ハンスのコーチに父のユラ(由良悠介)を馬鹿にされ、逆上したノノは対決を挑む。
ゲテモノ喰いの、全日本代表にして銅メダリスト槙野慎二(まきのしんじ)はあれはまさか…由良悠介の息子か!?と競技台を見上げる。サングラスの下の目の表情は、まだ分からない。


お薦め度:★★★★☆
明かされていない謎はまだ沢山あります。でもじれったくはなく、一巻一巻の中でスポ根もラブコメも泣けたり笑えたりする展開も盛り沢山で「読んだ!」という満足感があります。

第1巻から読み返してもまた楽しい→第1巻

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