アルバニトハルネ紀年図書館

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『ゴルゴ13』第53巻「ズドロナス・マリヨ」

2008-03-22 | 読書
『ゴルゴ13』第53巻

表題の「崩壊 第四帝国 狼の巣」は第52巻の「沸騰・第四帝国」からさりげなく続いており、ヒトラーの遺書でナチス党首に指名されたマルチン・ボルマンの死をあくまでも「フィクション」として描いている。

2編目の「甦るスタンディング・ベア」、追われていた処を助けられたインディアンからの依頼なので恐らく報酬は受け取っていないと思われる。

非常に興味深かったのが3編目の「ズドロナス・マリヨ」だ。
1981年のヨハネ・パウロ2世(1920-2005)暗殺未遂事件以来、バチカンの陰謀で本物の法皇は拉致されていてバルコニーで参拝者に顔見せを行っているのは高度な整形を施された替え玉と云うストーリーを描いている。
作中では「対共産圏包囲」「世界宗教大連合」といった用語が登場するが、事実ヨハネ・パウロ2世は他宗派・他宗教との交流と和解に熱心な教皇であった。私自身、自分が小学生だった頃のヨハネ・パウロ2世の「広島平和アピール」はよく覚えている。

「救出」なら他をあたれと指摘され、「パウロ2世の、クリスマスのミサへの出席を、妨害する"人物"を……抹殺願いたい」と言い直す依頼人。
そして「神」から離れた処にいたいゴルゴが宗教界に潜入しやすいようにと5年前から用意されていたラチュルク神父を「今後、二度と俺の複製品を創ったら……製造者も、必ず……抹殺する……!!」と冷酷に射殺するゴルゴ。

もしクリスマスミサで賛美歌13番が流れれば「世界宗教大連合構想」が第2段階に入った事を示し、賛美歌15番であれば留保条件が付いたことを意味する。


依頼は確実に遂行され、クリスマスの夜、賛美歌13番が流れた_

「狼の巣」(1982/4)
「甦るスタンディング・ベア」(1980/11)
「ズドロナス・マリヨ」(1981/12)
の3編を採録。

尚、ゴルゴの宗教に対する態度に関しては
第129巻「感謝の印」(1998/5)

自分の血液を渡すことすら許さない厳しさに関しては第106巻「血液サンプルG」(1993/8)等を参照すると良いだろう。
特に後者は絶対的なタブーであるゴルゴの「ルーツ」に迫る出生物としてゾクゾクさせられるものがある。
「有罪(ギルティ)……」と呟くゴルゴ冷徹さがたまらない_

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