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敢えて苦言を-『カラクリオデット』第6巻(完結)

2008-04-22 | 読書
鈴木ジュリエッタ『カラクリオデット』の最終巻が出ました。

第1巻~第5巻に関しては()

「連載作品」の最終話(最終巻)というのは、連載開始時(多くの場合第1話)で作者が投げかけた問い(テーマ)に対する「回答」であるわけです。
『カラクリオデット』は「花とゆめ」平成17年19号に掲載された読み切りが連載化された物ですが、6巻分も描けば立派な「連載作品」です。
1000枚以上の枚数を描く過程で「ロボット」であるオデットの葛藤、周囲の人々との出会い、敵対、すれ違い、相互理解等の要素を絡めてきた訳ですから、最終話はそれらがきちんと収斂する物でなくてはなりません。その意味で、最終巻である第6巻は些か「消化不良」の感があります。

さて第6巻、オーウェン博士の「かつての」最高傑作であったグレースと「現在の」最高傑作であるトラヴィスとの間の確執を軸に「花嫁」に憧れるオデットを絡めていますが、「ロボット(アンドロイド)が『心』を持つ」という、読み手に説得力を持たせるのが困難なテーマを描いてしまっているので、第1巻~第5巻の間で作者の努力や創意は見られるものの、全6巻という枠の中ではどうしても「説明不足」となってしまいます。

「オデットどんな奴と結婚するのかな
朝生だったら 面白いな」
と言うオデットの、ロボット故の無神経な発言でありながら無邪気で真っ直ぐな想いはとても素敵な要素です。
朝生の
「俺にとってアイツは
どうしようもなく迷惑な女だ」

からオデットと朝生の二人が互いを理解し合っている様がとても良く伝わってきます。
ただし洋子と岡田君の恋があまりにあっさりと成就していたり、白雪が「力」をなくすくだりにオデットの存在をもう少し具体的に絡めて欲しかったと思います。

「そしてその誇りを俺はこの紙切れで買う」という吉沢博士の台詞にはとても深い愛を感じますが、「ロボットに心がある」という事を巧く描ききれてません。

「普通に面白かった」のですが、個人的に鈴木ジュリエッタさんには期待しているので敢えて苦言を呈します。もっと素晴らしいラストを描く実力のある人だと思います。
現在連載中の『悪魔とドルチェ』『神様はじめました』の2作も「人間と人間でない者」の恋や心の交錯を描いていますが、その最終回では今作とは違った「結論」を期待します。

目まぐるしく進む日常は
そうやって
今日も続いていくんだ
次のステージへ


-fin-


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