(vol149より)
私がまだ材木屋かけだしの頃、木材市場での一場面です。
「もう そんなに値切らなくていいから、買ってあげてよ。」そう同行してくれていたお客様に声をかけられました。その頃の私は、なにも考えずに、なんでもかんでも値切っていました。そうする事がお客様の為になると思っていました。
「もう そんなに値切らなくていいから」と言われた時、あらためて品物をみると、なるほど、杉の赤白の鴨居ですが、目通りの良いまずまずの商品でした。その時、はたと気がつきました。私と違ってこのお客様は、品物の良し悪しを見極めて、しっかり自ら値段をつけて買われているんだなと。
その時代、周囲の方は値切れ値切れと言うのに、「もうそんなに値切らなくていいから」と言われた感動と、物の良し悪しを見極めよと諭してくれた感謝の気持ちで、私にはその少し年輩のお客様がきらきら光って見えました。そして、このきらきらの出来事が、私のその後の商売に大きく影響しました。
「物の良し悪しを見極めろ」との教えは、中国の方々との商売で役立ちました。ある中国人の商売人は、人を見て木材の値段を決めていました。買う人間が木の価値を分かっているのかどうかで同じ物でもかなり値段が変わってきます。木材を扱う多くの中国人は、木材を買いに来た日本人が、木をみる目があるのか、その値段を知っているのか、お金を持っているのか、どのくらいの量を買えるのかなどを食事をしながら、飲みながら話のはしばしを注意深く聞いて、その日本人の値踏みしています。その時物の良し悪しを見極めていれば、いくらふっかけられても、動じる事はないし、相手の中国人もまじめに接してくれます。約30年前、少し先輩のお客様が「物の良し悪しを見極めろ」と諭してくれたおかげで、私は普通に中国で商売を続けられました。有難い事です。
【木材の豆知識 No.98】
黄葉(こうよう)
前々回木をどちら向きに立てらすと良く乾くかという話を書きました。それに対して貴重な御意見を岡山県の重鎮の研究者の方からいただきました。
「木を立てると、ほんの初期は重力よりも毛管力による束縛が小さい木口付近の水は、少しだけ外に出ますが、多くの水は毛管力によって材内に束縛されている為、立てるという行為が、効果としては現れにくいということになります。木材中の自由水であっても、木材中の移動は、外部加熱方式であれば基本的に拡散、減圧式であれば、これに一部フローが加わるということになります。以上をまとめますと、我々乾燥の研究者の間では、立てても寝かしても、基本的には大きな違いは無いという結論に、現段階ではなっていると承知しています。」
ありがとうございました。 ※注 「立てらす」は、岡山の方言で「立てる」が標準語でした。
※お願い
誠に恐縮ながら米松等の原木が不足し、原木の単価が高騰しています。
よって平成30年1月から単価を値上げさせて頂きます。値段等は、各担当者へお問い合わせ下さい。宜しくお願いします。
私がまだ材木屋かけだしの頃、木材市場での一場面です。
「もう そんなに値切らなくていいから、買ってあげてよ。」そう同行してくれていたお客様に声をかけられました。その頃の私は、なにも考えずに、なんでもかんでも値切っていました。そうする事がお客様の為になると思っていました。
「もう そんなに値切らなくていいから」と言われた時、あらためて品物をみると、なるほど、杉の赤白の鴨居ですが、目通りの良いまずまずの商品でした。その時、はたと気がつきました。私と違ってこのお客様は、品物の良し悪しを見極めて、しっかり自ら値段をつけて買われているんだなと。
その時代、周囲の方は値切れ値切れと言うのに、「もうそんなに値切らなくていいから」と言われた感動と、物の良し悪しを見極めよと諭してくれた感謝の気持ちで、私にはその少し年輩のお客様がきらきら光って見えました。そして、このきらきらの出来事が、私のその後の商売に大きく影響しました。
「物の良し悪しを見極めろ」との教えは、中国の方々との商売で役立ちました。ある中国人の商売人は、人を見て木材の値段を決めていました。買う人間が木の価値を分かっているのかどうかで同じ物でもかなり値段が変わってきます。木材を扱う多くの中国人は、木材を買いに来た日本人が、木をみる目があるのか、その値段を知っているのか、お金を持っているのか、どのくらいの量を買えるのかなどを食事をしながら、飲みながら話のはしばしを注意深く聞いて、その日本人の値踏みしています。その時物の良し悪しを見極めていれば、いくらふっかけられても、動じる事はないし、相手の中国人もまじめに接してくれます。約30年前、少し先輩のお客様が「物の良し悪しを見極めろ」と諭してくれたおかげで、私は普通に中国で商売を続けられました。有難い事です。
【木材の豆知識 No.98】
黄葉(こうよう)
前々回木をどちら向きに立てらすと良く乾くかという話を書きました。それに対して貴重な御意見を岡山県の重鎮の研究者の方からいただきました。
「木を立てると、ほんの初期は重力よりも毛管力による束縛が小さい木口付近の水は、少しだけ外に出ますが、多くの水は毛管力によって材内に束縛されている為、立てるという行為が、効果としては現れにくいということになります。木材中の自由水であっても、木材中の移動は、外部加熱方式であれば基本的に拡散、減圧式であれば、これに一部フローが加わるということになります。以上をまとめますと、我々乾燥の研究者の間では、立てても寝かしても、基本的には大きな違いは無いという結論に、現段階ではなっていると承知しています。」
ありがとうございました。 ※注 「立てらす」は、岡山の方言で「立てる」が標準語でした。
※お願い
誠に恐縮ながら米松等の原木が不足し、原木の単価が高騰しています。
よって平成30年1月から単価を値上げさせて頂きます。値段等は、各担当者へお問い合わせ下さい。宜しくお願いします。