野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

水生昆虫の見分け方 

2023-06-03 | 生きている加古川

水生昆虫とは

 

水生昆虫とは、水の中に棲んでいる昆虫です。

水中で生活しているのは、主に幼虫の時期です。

しかし、ゲンゴロウやタガメなどの仲間は、成虫になっても水中で生活しています。

水生の昆虫には、甲虫の仲間、カメムシの仲間、トンボの仲間、カゲロウの仲間、トピケラの仲間、カワゲラの仲間、ハエの仲間などがいます。

また、ガやチヨウの仲間(ミズメイガ)、 アミメカゲロウの仲間(へビトンボ)、ハチの仲間(ミズバチ)など、少ないですが、ほとんど水中で生活します。

水生昆虫以外にも、川のかなにはヒルやイトミミズ、貝類、エビ•カニの仲間などがいます。

水生昆虫は、川や池沼、時には海でも見ることができます。

水生昆虫は水中の生活に適応していくためにエラや泳ぐための器官、流されないようにするための形、川底に潜りやすい形に発達しています。

水生昆虫の特徴は、「水中に適した形」をみるとよくわかります。

水生昆虫の餌は、同じ仲間でも大きく異なり、 肉食、藻類食、落葉食、雑食など多様です。

 

おもな水生昆虫の特徴(足は6本が基本ですが、ハエ目ではありません)

 

カゲロウのなかま(不完全変態)

  • 尾は2本か3本(ときどき切れている)
  • 腹の部分の側方には葉や房状のエラがある。
  • 足のツメの本数は、必ず1本。
  • 平べつたいもの、流線型のもの、ずんぐりしたものなど、形は多様。

カワゲラのなかま(不完全変態)

  • 尾は必ず2本
  • ツメの本数は、必ず2本
  • 胸や腹の側方、尾の付け根に糸状•房状のエラがある種類がいる。
  • 胸が3つに明確に分かれることが多い。

トビケラのなかま(不完全変態)

  • イモムシ状のかたちをしている
  • 尾のカギ爪は必ず2本(一対)ある
  • 体の側方にエラがある種類がある
  • 枝や葉、石などで巣をつくる種類がある
  • 足は必ず6本ある

 

トンボのなかま(不完全変態)

  • 尾はない
  • 細長いもの、平たいものなど、形は多様
  • 口はマスク状のものが下面側にある
  • 身体は押すと硬い感じがする(キチン質)
  • 触角が明瞭にある

ハエのなかま(完全変態・幼虫が陸生のものも多数いる)

  • 足はありませんが、義足と呼ばれる突起がある場合があります(関節がない)。
  • 頭、胸、腹がはっきりと区別できない
  • 頭に硬い部分(キチン質)があるもの(ユスリカ、ブユ)やないもの(ガガンボ、アミカ) があるが、基本的はイモ虫型。
  • 昆虫の中でも種類が多く、形態も多様

ヘビトンボのなかま(ウスバカゲロウのなかま)(完全変態)

  • 口に大きな顎がついている(肉食)。
  • 尾のカギ爪が1対で、それぞれ2叉する
  • 腹の各体節の各側方に糸状の突起がある(房状エラがあるのが普通のへビトンボ)

(へピトンボの仲間は兵庫県内では3種類います。)

甲虫のなかま(完全変態•幼虫が水生だが成虫も水生の場合あります)

平たいものから流線型のものまで形は多様

足はかならず6本

尾に2本のカギ爪(一対)がない

体の表面は硬いカラで覆われる

 

■昆虫以外の生物

巻貝(タニシやカワニナなど)、二枚貝(シジミ類、ドブガイなど)が ある。硬いカラを持っています。

カニやエビの仲間:カニには、サワガニとモクズガニの2種、エビには、ミナミヌマエビ、スジエビ、テナガエビ、アメリカザリガニ(外来)が主に兵庫県内に生息しています。汽水域に入ると種類が増える。

イトミミズやヒル類:体節を輪っか状に区切られた環形動物。身体の色が赤や褐色の事が多い。様々な種類がいるが分類はむつかしい。

 

水の汚れ具合と、そこに住める水生昆虫の種類が、ある程度決まるので、見つけた水生昆虫から、その川の水の汚れの度合を調べる方法があります。水生昆虫の種類で、川の水のよごれぐあいがわかるのです。