野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

兵庫県の川の上流から中流で見ることのできる水生昆虫(4)

2023-06-07 | 兵庫の自然

兵庫県の川の上流から中流で見ることのできる水生昆虫(4)

 

兵庫県からすこし離れるが山口県岩国みやげの人形石をご存じだろうか。

「人形石」とはニンギョウトビケラの作る筒状の巣のことで、その巣が人の形に似ていることから人形石とよばれます。ニンギョウトビケラは幼虫のとき口から出す糸で砂や石を結び付けて巣をつくるのです。

土産物になったのは古く江戸時代末期、吉川家の家臣山田府生が記した『錦川志(きんせんし)』に「小水虫の砂を集め殻を作る者、その人形に肖るを以て、児女之を拾い玩となす。錦帯橋下に尤(もっとも)も多し」(1826年)とあります。人形石は昭和時代初期ごろまで観光客向けに販売されて人気があったとか。

岩国石人形資料館ではいまでも土産として販売されています。

http://www.sky.icn-tv.ne.jp/~tobikera/about.html

このニンギョウトビケラ、兵庫県の川でも普通にみることができます。あるひとは、人形石も七福神に似た石を集めるのを楽しみされた方もあるとか。興味のある人はやってみては

さて今日は4回目

 

ニンギョウトビケラ

上流から中流に生息。流れが緩い石の上に砂粒で巣をつくり、藻類を食べる。

 

 

コカクツツトビケラ

上流部の流れが緩い場所や落葉が堆積した場所に生息する。落葉を餌と巣に利用。

 

コバントビケラ

上流から中流の流れが緩い場所に生息。落葉で巣をつくる。

 

ムナグロナガレトビケラ

上流部の瀬に分布する。肉食性

 

ヒラタドロムシ

主に中流に生息 大きな石の裏に付着している。甲虫のなかま

 

アオヒゲナガトビケラの1種

上流から中流の流れが遅い水草帯に生息。枝や草を使って巣をつくる。