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映画「ソロモンの偽証」(2015)

2023年01月27日 00時30分46秒 | 作品review
タイトルだけは知っていて観なかった映画です。
T Vドラマも人気だったようですね。(我が家には
地上波が映るテレビがないもので、観る機会が
ありませんでした)

宮部みゆきさんの小説を映画化したもの。
宮部さんは好きな推理作家で、結構読んでます。
彼女の作品の何が好きかというと、これまで読んだ
中でいつも「この人だけは死なないで欲しいな」と
思う人物が死なないのです。
厳しい事件を表現していても、どこか清々しさが
残るというか、全く救いのない胸糞事件で終わらない
ところです。
ご本人の人間性の良さが滲み出ているのでしょう。

前編・後編と分けて2本にしたのはとてもよかったと思います。
もう10年ぐらい前から、日本映画も素晴らしいクォリティーに
なってきたなぁと感じていましたが、本当にそう思いました。
私が子供の頃、日本映画というと、どこか暗い、あまり予算が
なさそうな(申し訳ない表現ですが)ものが多い印象でした。
もしこの物語がもっと古いもので古い時代に作られていたら
2本に分けて制作とはならなくて、ものすごく中途半端な感じ
になっていたかもしれません。

物語は、こんなことが中学校で起きているなんて、と思うような
内容だけど、これは、中学生じゃなく、親子のことを
描いていると感じました。

最近ではよく「毒親」とか「親ガチャ」という言葉を
聞きますが、子供は生まれてくる親を選べないという
運命的なことを、少しでもその辛さを緩和
しようとして子供たちはそういう例えをしているのでしょうか?

それとも、毒親とか親ガチャが外れたと言う表現が
できる子は、まだ最悪の状態ではないのでしょうか?

永作博美演じる母親をまず見た時、スティーヴン・キング
の「キャリー」の母親を思い出しました。あの場合は、信仰心が
強すぎる母親だけど、この母親も自分の価値観を娘に
押し付けすぎて、過干渉。

ひどいいじめっ子の大出くんのDV親父も、その親父から
真剣に離れようとはしない母親も、それぞれの弱さのせいで
大出くんを、暴力で解決しようとする子供にしてしまって
います。大出くんは母親をかばっているように見えるけれど
あの母親も決して良い母親ではないと私には映りました。

子供の頃、私の父は何度か私にこう言いました。
親の本当の責任とは、子供のために代わりになって何でも
やってあげることや、子供が悪いことをしても
かばってあげることじゃなく、その子が一人になっても
道を外れずに生きていける強さを持たせてあげることと
自分で未来を切り開いていける子に育ててあげることだと。

私は、本当に幸せ者だったのだなと、また改めて思いました。

この物語で一番タチが悪いのは柏木
相手の弱みをほじくって、
「死ぬ」と言う言葉で人の良心を責めて
コントロールしようとするのはサイコパスのやり方

「口先だけの偽善者」と言う言葉で人を傷つけ、コントロール
できると思っていること自体が少し幼いなと思う

もっと鈍感で図太い人間がいて
「それの何が悪いねん?お前にとやかく言われることか?
そういうならお前が手本見せてくれや」と
圧倒的な体格差などを武器に言われてしまえばそこまでのこと
と感じました

屋上で神原に言った言葉も、柏木の親が普段からよく言う言葉
が柏木に伝わって言ったのだとしたら(そう言うことは
よくある)柏木も親ガチャがはずれた子で、ある種の
被害者なのかもしれないが。

殺意があったと告白できた神原は、強い子だと思う
大変な経験を乗り越えて、グレることもなく
しかも、正直にみんなの前で告白できたこと

それもこれも、こう言う裁判も、中学生だから
できたことなのでしょう

見応えのある映画でした
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