このblogは、私が「Viva歌謡曲」というカテゴリーを作る前に書いたものです。
が、秀樹さんは歌謡曲のジャンルでもアイドルというジャンルでも大スター
でしたので、そちらのカテゴリーに含めさせていただきました。
書いた順番としてはこちらが先ですが(2)ということにしました。
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西城秀樹さんのファンの方々が、Twitterで、私の「うたの引力実験室」というアルバムのことを話題にして下さっていたので、書くことにしました。長いけど、読んで下さったら嬉しいです。
カバーが今みたいに普通になる前に、このアルバムを作りました。きっかけは、一度だけのはずだったコンサートです。最初は「そんなに色んなジャンルの音楽を一度にやって大丈夫?」と反対や心配の声もありましたが、絶対大丈夫という自信がありました。だって、私はいつもそうやって音楽を楽しんで来たからです。
結果、大好評でした。その後のカバーブームはこのアルバムが火付け役だと自負しています。最初のコンサートが好評だったおかげで、ずっと続けて来れたライブが、数年後アルバムの形になったのです。
(引力実験室は今でもやってます。5月のライブは中止になりましたが、またいつかやりますので、おいでください。その時には秀樹さんのあの有名な曲を、全然違うアレンジでやっちゃおと思ってます!内緒)
このアルバムの中から「大きな古時計」「明日があるさ」など、他のアーティストのバージョンがヒットしましたね。(私バージョンじゃなくて皮肉ですが、でも日本の音楽界のことを考えると、いいことです。)廃盤になってしまったので、誰かソニーに復刻をお願いしてくれないかな?とてもいいアルバムだと思ってます。
リリース当時、私はまだPSY・Sというグループでソニーで活動していました。もんたよしのりさんのラジオ番組に呼んで頂いた時「君に会いたかったんや」と言われました。もんたさんが西城秀樹さんとコンサートをやろうという話になり「こういう、いいアルバムがある」とお互いに見せ合ったのが「うたの引力実験室」だったとのことでした。偶然で、少し驚かれたみたいです。
お二人は、その後、一緒にカバーのライブをやったのかどうかは知らないのですが、お互いに有名なシンガーがご自分の持ち歌を歌わないコンサートは、きっと面白かったでしょう。そのラジオ出演の時、もんたさんに「すごくいい企画と思う」と褒めて頂きました。
その後、別にNHKの歌番組に出演した折、西城秀樹さんと最初で最後、たった一度だけご一緒しました。
控室で「聞いてるよ」と、声をかけて下さって、すごく嬉しかったです。「CHAKA、感激!」って、ちゃんと言いましたよ。
というわけで、私もプロ歌手の端くれとして、西城秀樹さんの魅力について、真剣に書いてみます。決して、ヨイショではありません。スターがスター然としていたあの時代から、長く芸能界で活躍されていた人というのは、すごいのです。
西城秀樹さんの魅力は、そのお名前に凝縮されている気がします。どこか、当時の少女漫画の中に出てくる王子様的なかっこいいお名前が、とてもよく似合います。
背が高く、足が長く、当時の言い方のウルフ・カットという髪型がワイルドで、顔が男前で、声がハスキーで色っぽく、雰囲気には少し影がある感じがするけど、ギャグもやるし、性格がまっすぐぽい感じ。
チャラくなくて、恋や愛の情熱を歌うとものすごく似合う。ちょっと危険な感じがするのに、愛には忠実でひたむきという、多くの女性が求めるものが備わってますね。秀樹さんが亡くなられた時、野口五郎さんが「秀樹は裏表のない、いいやつだった」とおっしゃってました。
人気漫画だった「愛と誠」の映画化での誠役は秀樹さんにはとても似合っていました。
そして、秀樹さんは、今の日本のビジュアル系ロッカーに大きな影響を与えた一人だと感じています。
昔、ロカビリーの大流行があり、そこから、いろんなタイプの男性シンガーが生まれました。ロカビリーと歌謡曲の両方の魅力があるビジュアル系の元祖は、西郷輝彦さん、にしきのあきら(現:錦野旦)さん、そしてジュリーだと思います。
ロカビリーからは二つの路線に分かれたような気がします。それは、アイドルの匂いが少しする歌謡ポップの世界と、サイケなグループサウンズかな?
私も大好きな作曲家:浜口庫之助さんが、暖かでシャイで等身大の青年を描いた歌謡ポップを、ルックスも歌唱力も一般には中々いないようなかっこいい西郷さんや、にしきのさんが歌うのですから、たまらないですね。にしきのさんのライバルと言われた野村将希さん(当時:真樹さん)も長身でカッコよかったです。
グループサウンズで最もビジュアル系という言葉が似合うシンガーはジュリーでしょう。ソロになってからも、ジュリーはすごかった。ジュリーには、美輪明宏さんの妖艶な影響も少し感じます。意識はなくとも、美しい人はどこか似てしまうのかもしれません。
西郷さん、にしきのさん、ジュリーから、さらに「激しさ・青春・傷・嵐」というテーマで、そのバトンを受け継いだ感じなのが秀樹さんです。アレンジには明らかに、1970年代、世界的に大流行したブラスロック(ブラッド、スエット&ティアーズやトム・ジョーンズ)っぽい影響を感じます。歌謡曲よりロック、R&Bの感じです。
バトンを受け継いだという言い方をしますが、ただ受け継いだだけでは真似になってしまい、売れません。必ずその人ご本人の個性が必要です。作曲者、編曲者、プロデューサー、そしてご本人の研究・努力・音楽愛があってのことです。
西郷輝彦、にしきのあきら、ジュリー、そして西城秀樹。この4人が、その後の日本のビジュアル系ロッカーに、無意識にも影響を与えていると思います。
秀樹さんがすごいのは、そのイメージの維持力だと感じています。デビュー当時からずっと「西城秀樹」のイメージをキープして、ファンに答え続けたところだと。
デビュー当時は少し可愛かったけど、「チャンスは一度」ぐらいから、その後の秀樹さんぽいというか、ワイルドで迫力のあるアレンジの片鱗が見え始めます。それが確固たるものになったのが、大ヒット曲の「情熱の嵐」でしょう。
作曲家が意図したものかどうか、わかりませんが1フレーズ歌うと、ファンが「ひでき!」と合いの手を入れられるようになっていて、きっとコンサート会場でのお客様は、秀樹さんとの一体感を求めて、大きな声で応援していたのではないでしょうか?(何にも知らない、ただテレビで観ていただけの私が偉そうに言うことでもないですが。)
秀樹さんがデビューされた頃は、私は小学生でしたが、日本にもまだまだ、歌番組が結構ありました。そのいくつかが、生放送だったり、コンサート形式の公開録画だったりしました。
いろいろなジャンルの人が出るので、例えば都はるみさんのファンは、都さんが登場すると「みや〜こ」「はるみっちゃん!」と声をかけますし、美空ひばりさんの場合は、りんご追分などで一瞬音楽がなくなる場面で「日本一!」「ひばりちゃん!」と声をかけていました。郷ひろみさんが登場すると「Go Go」と曲中で合いの手を入れます。秀樹さんファンも、すごい応援でした。
私は、新御三家では野口五郎さんが一番好きでした。のびやかな声も歌唱力も、素晴らしいメロディーラインと印象的な歌詞の楽曲も好きでした。「オレンジの雨」は今でもカラオケで歌います。下敷き持ってたなぁ(照)ギターもガチで上手いです!
その頃から、秀樹さんはずっと長い間、同じイメージを保ちながらも、出すシングルの曲調は、バリエーションが豊富です。多分、ご本人も研究されて、作曲家や編曲家にアイデアを出されていたのでしょう。そして、すごくたくさんヒット曲がありますね。
秀樹さんは、アイドルというジャンルにも分類される人でしたが、女性だけでなく男性にも人気がありました。友人にも「西城秀樹が好き」とおっしゃる男性は結構います。
その理由は、スタイルがよく、どこか不良ぽく、硬派で、バイクが似合い、ギターを抱えて、、、みたいな、男性が憧れる様々なことを、全部さらりとこなすところがきっとアピールしたのでしょう。芸能人が出る水泳大会や運動会のような番組では、運動神経の良さを披露されてましたね。
新御三家と言われる人の中で、最も同性のファンが多かったのではないでしょうか?調べてませんから、いい加減なことは言えませんが、それが、私の印象です。
ずっと秀樹さんの歌手としての良さを書いてきましたが、忘れられないのは、人気テレビドラマの「寺内貫太郎一家」です。
私は一人っ子で、父はバンドマン、母も仕事をしていましたので、ほぼ毎日、学校から帰ると、夜、両親が帰宅するまで一人で過ごしていました。
両親は愛情を持って育ててくれましたので、寂しいとは感じませんでしたが、寺内家のような賑やかで、いろんな面白いことが起きて、最後には毎回お父さんと乱闘!(なんでやねん?)でも結局は仲良し、みたいな家庭に憧れていました。
毎朝の献立も楽しみでした。おキンばあちゃんが「今日のおみおつけの身はなあに?」と聞くセリフで「あぁ、東京ではおみおつけ、て言うんや」と思ってましたし、加藤治子さんが優しくて美人で、本当にいいなぁと思ってました。
アイドル的な大スターが受験勉強中の男の子を演じて、茶の間で「おみおつけ」のしじみの身をちゃんと残さず食べろ!と叱られているようなドラマって、面白かったし、私は原作の向田邦子さんの世界が大好きで、本もほとんど読みました。
あの番組は音楽もすごく良かった。小林亜星さんは、好きな作曲家の一人です。屋根の上で、秀樹さんが浅田美代子さんと歌う曲が好きで、風吹ジュンさんの歌も好きでした。風吹さんは2に出演でしたね。私はDVDのボックスセットを持っています。
西城さんの訃報には驚きました。ご病気をされたことは知っていましたが、懸命にリハビリされて復帰されたと聞いていました。国民的なスターですから、いつまでも、元気にカッコよく歌ってくれるものと、どこかで思っていたのでしょう。
秀樹さんは、私には大スターの遠い人です。コンサートにも行ったことはありません。が、改めて彼の魅力について書いてみるとこんなにたくさんありました。
無意識のうちに知ってる。
練習したわけでもないのに、歌える曲がたくさんある。
それってすごいことですね。
今でもたくさん秀樹さんファンがいらっしゃって、秀樹さんは喜んでいらっしゃることでしょう。今はコロナウィルス の問題があり、カラオケは行けませんが、次に行ったら、秀樹さんの歌も歌ってみよう。
あ、そして、秀樹さんと言えば、ベルボトムのパンツです。ジーンズも、パンタロンも、オールインワンのジャンプスーツも、彼にはブーツカットやベルボトムが似合います。
ベルボトムが似合う。
それは、私の美的感覚では、美脚&イケメンだけの特権です。