思考の7割と収入の3割を旅に注ぐ旅人の日々

一般的には遊び(趣味)と見下されがちな「旅」も、人生のなかでやるべき「仕事」である、という気概で旅する旅人の主張と報告。

とりあえず、自転車は「車両」である、という事実の啓蒙が先決でしょう    

2007-02-07 23:45:34 | 交通・地理
先程、NHKの『クローズアップ現代』の「歩道が危ない~相次ぐ自転車事故~」で、本ブログでも度々取り上げている最近の自転車の交通に関する法改正の動きについて取材した模様をまとめたものが放送された。

このほかにも、今年に入ってから疋田智氏が所属する東京放送(TBS)の報道番組や全国紙や(自転車専門誌ではない)一般誌のいくつかでもこの動きについて取り上げているが(専門誌の『BiCYCLE CLUB』07年2月号の序盤でも自転車の通行の事例や先の警察庁の動きについて写真の多用や一問一答形式で大々的に取り上げている)、今回の国営放送が世間的に最も影響力のある媒体のため、番組の仕上がりはどんな感じなのかが気になっていた。結果は、問題点が簡潔にまとめてあって、いち自転車乗りとしてもそこそこ納得のいく内容で、僕個人的にはちょっと安心した。ただ厳密に考えると、あの内容では自転車が完全に悪者ではないか、クルマや歩行者にも問題はあるだろ、と憤る自転車乗りも多々いるだろうが、まあ自転車にそんなに関心のない方々にもわかりやすく伝える、という意味ではまあまあの内容であったと思う。(先の経理面での不祥事は置いておいて)さすが国営放送、とちょっと見直した。

そのなかでも特に気になったのが、昨年に大分県大分市で実施された、2車線対面通行の車道を1車線の一方通行にして、その両端を自転車レーンにする、という棲み分けの実験の映像だった。この話は知っていたが、実際のクルマと自転車の流れが実験によってどう変わったのかを知りたかったので、おおいに参考になった。
ただ、僕としてはこれは都市部においてはかなり良い方法だと思うのだが、地元住民からはクルマが一方通行になると不便だ、クルマも自転車も速度がより上がって危ない、との声が集まって結局は自転車レーンの整備が見送られてしまった。残念。

また、そのあとに愛知県名古屋市千種区で、朝の車道・歩道ともに交通量が最も多くなる時間帯に、車道の両側にある歩道を一方は歩行者、もう一方は自転車に棲み分けるという地元住民による運動の事例が紹介された。
こちらの試みのほうは僕は今回初めて知ったのだが、既存の道路に自転車レーンを整備するのが困難な幅員の道路の場合には一理ある方法だな、と思ったが、やはり僕としては「自転車の通行は車道左端」の原則がどんな道路であっても適用されるべきで、どちらかと言うと大分市の試みのほうが好き、というか妥当な施策である。

今後はやはり、歩道と車道とは別個に自転車レーンが整備されるのが理想ではあるが、既存の幅員のやや小さな道路での自転車の走り方をとりあえずどうしていくべきか、を早急に考えないとならんのだが、これまでにも数回触れたように現在の自転車乗りの大半は、自転車が「車両」の一種であるという事実への認識が低く、それによって歩道での自転車と歩行者の衝突事故が近年多発しているという結果を招いているのがホントに悲しい。

で、僕なりに多くの自転車乗りのその認識を改めるための方法を、東京都荒川区などですでに実施されている「自転車運転免許証」のような運動以外でひとつ考えてみた。くだらないことかもしれないが、何もしないよりは何かやっておいたほうがいいかな、と思うこと。
具体的には、自転車を新規に購入する場合や、自転車の乗り主が修理などで自転車店を利用する場合に、販売店や自転車店がまずそんな利用客にいくつかの問題を出して答えさせるのだ。そのレベルは「自転車は車両である」とか、「自転車は左側通行である」というような基本的なもので、これを○×形式とかで5題なり10題なり出して、利用者は全問正解しないと購入や修理ができない、というふうに規制する。
まあ一種の学科試験のようなもので、場合によっては道路交通法の条文も広告して、まずは自転車を利用する・しようとする者が基本的な乗り方を知識として身に付けているべき状況を整える必要がある。

たしかに、幹線道路の車道の左端の自転車での通行は大変で(特に橋やトンネルの通過にはそこそこの覚悟が要るかな)、乗り方がまだ不安定な小学生以下の子どもは歩道通行を認める、というような諸外国(主にアメリカ)でもすでに実施されている特例は日本でもあってもよいとは思う。が、それよりも年上の世代に対しては、自転車は基本的には車道通行であることをもっと知らしめていかないと。

歩行者が安心して通行できるはずの歩道で、本来はそこに侵入してくるはずのない自転車に我が物顔で暴走されて傷も負ったりし続けるのは、いいかげんもう飽きた、というか呆れ果てた。自転車でいきなり目の前から突っ込まれてぶつけられて泣き寝入り、はもう嫌だ。

今後は歩道を歩く歩行者が自転車に、車道の左端を走る自転車がクルマに対して、正しい知識のもとにもっと自己主張していくべきである。
拙著『沖縄人力紀行』(彩図社刊)の162ページでも書いたが、自分の交通手段よりも強力なものに対して卑屈になり続けているままでは損だ、と僕も今後は引き続き方々の道路で“交通強者”に対して目線や身振り手振りで引き続き対抗、もとい主張していく。

そんななかひとつ幸いなのが、最近の疋田さんのメールマガジンでまだ非公式ながら、警察庁が先の欠点だらけだった「提言」に基づく「思案」を歩行者や自転車乗りの側に大幅に変更した、という吉報があったことだ。それは最近の各種媒体による報道とともに、先月に警察庁が募集していたパブリックコメントへの自転車乗り側からの大量反論攻撃がそこそこ効いたようだ(もちろん僕も提出した。主に、大半の警察官が行なっている、彼らが乗る白自転車での歩道通行や並進のような乗り方がそもそもおかしいのではないか、という趣旨で書いた)。
まあ自転車の歩道通行完全解禁という最悪の事態は免れたようなので、ひと安心であるよ。



2006年12月15日の投稿でも出した写真とほぼ同じ場所で撮影した、埼玉県志木市の県道36号保谷志木線の自転車レーン(青色舗装の箇所)が敷設されている区間。旅で全国各地の道路を見てきた(そして現在も見続けている)僕としては、この形態が理想である、と断言したい。全国いろいろな道路をおおむね人力で見て回っているが、実は僕の地元近くにこんな良い道路があったりするのよね。まさに灯台下暗しであるよ。
ちなみに、この写真の右側の歩道に立っている男性が気になる方もいるかと思うので補足すると、フェンスのなかを覗き見しているわけではなく、単に携帯電話で通話中のところがたまたま写り込んでしまったというだけのことなので、本項の趣旨とはまったく関係ありません。


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2 コメント

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ブログ「あるきメデス」 (出がらし紋次郎)
2007-02-10 09:59:39
 あっしも師事する、
カントリーウォーカー・山浦正昭氏の同人である、
埼玉県西部に在住するあっしの知人の男性、
AT氏も、わたるさんと同意見なのが
嬉しかったです。
 英国の歩き旅事情も触れられているブログ、

#「あるきメデス」当該記事
http://blog.goo.ne.jp/saikoroat/e/e652ddbcefd46329ef6e1605e29ad374

 あっしも車には乗らず、
(自動車普通免許はあるけど、昔弟の車で
物損事故を起こしてからは、乗りたくないので)
自転車(ママチャリ)なので、気をつけます。
とりあえず、
「自転車は車道の左端を通るべき」という
啓蒙活動から始めるべきですね。
これは歩行者へのしわ寄せの問題でもあります (わたる)
2007-02-12 15:00:23
先の『クローズアップ現代』の放送内容では、自転車のみが悪い、という受け取り方もできますが(たしかに歩道上の“暴走自転車”のような面もありますから)、自転車のみならず、歩行者にも、クルマや二輪車の運転手にもかかわる、つまり国民全員に降りかかっている問題だと思います。

国内の自転車の登録台数だけを考えるとクルマよりも多いので(約8600万台)、今後はもっと自転車の交通を視野に入れた道路行政が必要で、それを実際に行なう人のアタマの中身から更新していかないと、と思います。自転車の乗り方を改めて“暴走自転車”を減らしていくことが(もちろん“暴走グルマ”もですが)、歩行者の身を守ることにもつながりますからね。

一連の報道では現代のクルマの多さや自転車乗りの意識云々が叫ばれていますが、もちろんそれ以前に交通の基本は歩行者であると思います。そんな歩行者へのしわ寄せをなくすための助力になるように、このへんの問題については今後も注視し続けていきます。
歩行者がふつうに歩道を歩いたり(青信号で)横断歩道を渡っているときに自転車やクルマに轢かれる、というのはどう考えてもおかしいですからね。

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