一人ディズニー見聞録

ディズニーを切り口に世の中の出来事を紹介しています。ディズニーソングのコンサートレポートも書いています。

DDP(ドラえもん、ディズニー、ピクサー) 春の映画祭り

2022-03-10 18:12:46 | 映画
2014年3月14日(金)。あなたは、この日を覚えているか。


ソチオリンピックが閉幕した日でも、プロ野球が開幕した日でもない。この日は、当時歴史的な大ヒットを記録し、社会現象にもなった『アナと雪の女王』が日本で公開初日を迎えた日だ。公開当日、全国598のスクリーンで上映され、多くのお客さんが劇場に足を運んだ。最終的な観客動員数は約2003万人、興行収入は約254.8億円と『アナと雪の女王』は2014年の日本の映画界で、驚異的な大ヒット作となった。


異例の大ヒットをした『アナ雪』は、このデータからも公開当時から人気があったことを示している。『アナ雪』が公開された週に発表された「全国映画動員ランキングトップ10」では、わずか2日の上映でなんと1位を獲得したのだ(3月15日(土)と16日(日)の2日間で、観客動員数60万人越え、興行収入7.6億円越え)。


さらに、前週(3/8(土))に公開された『映画ドラえもん 新・のび太の大魔境 〜ペコと5人の探検隊〜』の2週連続1位獲得ならびに『映画ドラえもん』の3年連続での2週連続1位獲得を阻止したのだ(最終的な興行収入は約35.8億円)。つまり『アナ雪』は、春休み映画の定番『映画ドラえもん』の人気を抑えるほどの人気作となっていた、それも2日間で(正しくは公開から3日)。


そこでふと思ったことがある。なぜ、『映画ドラえもん』は春休み映画の定番になっているのに、ディズニー・ピクサーは定番にならないのか。そこには、『ドラえもん』が国内コンテンツであることや、ディズニー社との配給時期の兼ね合い等、様々なことが考えられるが、今回は興行収入という面だけで考えてみたい。


今回の調査は、過去10年間に公開された『映画ドラえもん』作品と、3月に公開されたディズニー・ピクサー作品の興行収入を比較してみる。((デ)はディズニー、(ピ)はピクサー、(ド)はドラえもん)


・2011年
(デ)『塔の上のラプンツェル』→3月12日(土)公開、興行収入:約25.6億円
(ド)『新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜』→3月5日(土)公開、興行収入:約24.6億円


・2013年
(デ)『シュガー・ラッシュ』→3月23日(土)公開、興行収入:約30.0億円
(ド)『のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)』→3月9日(土)公開、興行収入:約39.8億円


・2014年
(デ)『アナと雪の女王』→3月14日(金)公開、興行収入:約254.8億円
(ド)『新・のび太の大魔境 〜ペコと5人の探検隊〜』→3月8日(土)公開、興行収入:約35.8億円


・2016年
(ピ)『アーロと少年』→3月12日(金)公開、興行収入:約17.0億円
(ド)『新・のび太の日本誕生』→3月5日(土)公開、興行収入:約41.2億円


・2017年
(デ)『モアナと伝説の海』→3月10日(金)公開、興行収入:約51.6億円
(ド)『のび太の南極カチコチ大冒険』→3月4日(土)公開、興行収入:約44.3億円


・2018年
(ピ)『リメンバー・ミー』→3月16日(金)公開、興行収入:約50.0億円
(ド)『のび太の宝島』→3月3日(土)公開、興行収入:約53.7億円


興行収入対決は、両者引き分けとなった(ドラえもん3勝、ディズニー・ピクサー3勝)。さらによく見ると、2014年、2016年を除くと、どの年も興行収入の差が10億円以内なのだ。つまり、ドラえもんもディズニー・ピクサーも3月の春休みシーズンには、それぞれ好成績を出しているのだ。


『映画ドラえもん』は「春休み映画の定番」の地位を築いてる。しかし、ディズニー・ピクサーを同じく春休み映画へと導くのは『映画ドラえもん』の存在ではないだろうか。良きライバルとして、切磋琢磨しあいディズニー・ピクサーを「春休み映画の定番」へと変えてもらいたい。


日本で3月に公開されたディズニー・ピクサー作品 その2

2022-03-09 19:54:06 | 映画
昨日(3/8)の「ディズニー漫談」で、3月公開のディズニー・ピクサー作品を紹介した。その作品数の多さに驚いたが、ディズニー・ピクサー作品は、春休みが始まる3月に必ずと言ってもいいほど公開されていた。昨日、作品一覧を載せたが、考察をしやすくするため、もう一度載せておこう。また今回の一覧では、日本の興行収入も追加記載した。


調査対象作品は、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオとピクサー・アニメーション・スタジオで製作された長編アニメーション映画のみとする(ディズニー作品は(デ)、ピクサー作品は(ピ)と表記する)。また期間は、ピクサー作品が初めて日本公開された1996年(この年は『トイ・ストーリー』)から2022年までの3月に日本公開されたものとする。


・『トイ・ストーリー(ピ)』(1995)
→1996年3月23日(土)公開、興行収入:15億円(推定)


・『バグズ・ライフ(ピ)』(1998)
→1999年3月13日(土)公開、興行収入:19.6億円(推定)


・『トイ・ストーリー2(ピ)』(1999)
→2000年3月11日(土)公開、興行収入:34.5億円(推定)


・『モンスターズ・インク(ピ)』(2001)
→2002年3月2日(土)公開、興行収入:93.7億円(推定)


・『リロ・アンド・スティッチ(デ)』(2002)
→2003年3月8日(土)公開、興行収入:29.1億円(推定)


・『ブラザー・ベア(デ)』(2003)
→2004年3月13日(土)公開、興行収入:16.0億円(推定)


・『プリンセスと魔法のキス(デ)』(2009)
→2010年3月6日(金)公開、興行収入:不明(データなし。1億円を下回る可能性あり)


・『塔の上のラプンツェル(デ)』(2010)
→2011年3月12日(土)公開、興行収入:25.6億円(推定)


・『シュガー・ラッシュ(デ)』(2012)
→2013年3月23日(土)公開、興行収入:30.0億円(推定)


・『アナと雪の女王(デ)』(2013)
→2014年3月14日(金)公開、興行収入:254.8億円(推定)


・『アーロと少年(ピ)』(2015)
→2016年3月12日(金)公開、興行収入:17.0億円(推定)


・『モアナと伝説の海(デ)』(2016)
→2017年3月10日(金)公開、興行収入:51.6億円(推定) 


・『リメンバー・ミー(ピ)』(2017)
→2018年3月16日(金)公開、興行収入:50.0億円(推定)


・『ラーヤと龍の王国(デ)』(2021)
→2021年3月5日(金)公開、興行収入:2.6億円(推定)


この結果からいくつかのことが分かったが、その中で特に気になったものを3つ取り上げる。


1つ目は、3月日本公開のディズニー作品が『リロ・アンド・スティッチ』まで無いことだ。これは1983年公開の『きつねと猟犬』以来のことだ。『リロ・アンド・スティッチ』公開時、自分は小学生だったが、新学期が始まると女子生徒の多くがやたらと、スティッチのグッズをランドセルに付けていたり、スティッチのペンなどを持っていたことを思い出した。懐かしいな。


2つ目は、ディズニーは6年間、ピクサーは14年間、3月に日本で公開されていないのだ。この間の両社の作品の日本公開は、7月または12月が多かった。たしかにこの時期、小・中学生だった自分は、夏休みまたは冬休みにディズニー・ピクサーの最新作を観ていた気がする。またこの時期、春先は『シュレック』(2001)などのドリームワークス作品を観ていたが、ドリームワークスとディズニーの関係については、後日詳しく書く。


3つ目は、2010年以降は毎年のように3月に日本で公開されていることだ。公開されなかった年もあるが(2012年、2015年、2019年、20202年)、ディズニー・ピクサー作品は定期的に、春休みの時期に合わせて公開をしている。そのため、興行収入も国内大ヒットの目安となる10億円を越える作品が多くある(『ラーヤと龍の王国』は新型コロナの影響を受け、上映館数が少なかったから2.6億円は分かるが、『プリンセスと魔法のキス』のデータ不明って・・・)。


ディズニー・ピクサー作品の最新作の公開は、お花見や卒業式などの日本の春の風物詩の1つかもしれない。しかし、まだ春の風物詩にはなりきれていないのだ。毎年3月に公開されていないことはもちろんだが、日本の春の風物詩と言えば『ドラえもん』の長編作品が公開されることなのだ。春においてディズニー・ピクサー作品は、『ドラえもん』シリーズより色んな意味で弱いのだ。


そこで明日は、ディズニー・ピクサー作品と『ドラえもん』シリーズとの春の戦いを取り上げてみる。


日本で3月公開されたディズニー・ピクサー作品 その1

2022-03-08 18:26:33 | 映画
日本の3月は、別れと映画の季節だ。


別れは想像つくと思うが、日本の3月は年度替りの時期のため、卒園式や卒業式、そして送別会など人が別れる出来事が多いのだ。しかし、3月が映画の季節だとは想像しにくい。日本で3月に映画に関する行事は、何かあったのか。


それが、実はあるのだ。3月は、米アカデミー賞授賞式(2月最終週~3月1週目)と日本アカデミー賞授賞式(1週目~2週目)が開催されるのだ(今年の第94回米アカデミー賞授賞式は、新型コロナの影響で現地時間3月27日(日)に開催)。また、米アカデミー賞授賞式の前日には、前年公開された最低な映画を決めるゴールデン・ラズベリー賞(通称ラジー賞)の受賞式も開催される。つまり3月は、映画の祭典が行われる映画ファン並びに関係者には喜ばしい月なのだ。


さらに、日本の3月は年度替りのため、全国すべての小・中・高・大・専修の学校が春休みに入る。時期は学校ごとによって変わるが、多くの学校では3月の2~3週目から春休みが始まる。それに合わせて映画業界では、3月に学生向けの映画を公開している。その代表が『ドラえもん』であり、他にも日本や海外のアニメ作品、日本の漫画・アニメの実写映画、さらには『仮面ライダー』等の「東映ヒーロー」作品も公開されている。


そして忘れてはならないのが、ディズニー・ピクサー作品だ。残念ながら今年は新型コロナの影響で、3月11日(金)に公開の『私ときどきレッサーパンダ』がディズニープラス独占配信に切り替わったため、劇場では公開されなくなった。しかし、新型コロナが蔓延するまでは、毎年のように劇場公開されていた。


ところで、あなたは3月に日本で公開されたディズニー・ピクサー作品を覚えているだろうか。これが、意外にも思い出せないものなのだ。そこで、3月に日本公開された作品を調べてみた。


対象作品は、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオとピクサー・アニメーション・スタジオで製作された長編アニメーション映画のみとし、期間はピクサー作品が初めて日本公開された1996年(この年は『トイ・ストーリー』)から2022年までの3月に日本公開されたものに限る。


・『トイ・ストーリー』(1995 ※1):1996年3月23日(土)公開


・『バグズ・ライフ』(1998):1999年3月13日(土)公開


・『トイ・ストーリー2』(1999):2000年3月11日(土)公開


・『モンスターズ・インク』(2001):2002年3月2日(土)公開


・『リロ・アンド・スティッチ』(2002):2003年3月8日(土)公開


・『ブラザー・ベア』(2003):2004年3月13日(土)公開


・『プリンセスと魔法のキス』(2009):2010年3月6日(金)公開


・『塔の上のラプンツェル』(2010):2011年3月12日(土)公開


・『シュガー・ラッシュ』(2012):2013年3月23日(土)公開


・『アナと雪の女王』(2013):2014年3月14日(金)公開 


・『アーロと少年』(2015):2016年3月12日(金)公開


・『モアナと伝説の海』(2016):2017年3月10日(金)公開 


・『リメンバー・ミー』(2017):2018年3月16日(金)公開


・『ラーヤと龍の王国』(2021):2021年3月5日(金)公開


こんなに公開されていたのか、と思わんばかりの作品数。やはり、ディズニー・ピクサー作品は春休みに必ず公開されているのだ。この考察は明日の漫談で話すので、お楽しみに。


(※1)アメリカで上映された年


「ディズニープラスで独占配信」について思うこと

2022-03-07 21:24:25 | ディズニープラス
「3月11日(金)より独占配信」て、またですかディズニーさん。


2022年1月13日(木)、ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社は自社サイトにて、3月11日(金)に劇場公開を予定していたディズニー・ピクサー最新作『私ときどきレッサーパンダ』をディズニープラスで独占配信することを正式発表した。


昨年11月頃から、映画館の本編上映前の予告で『~レッサーパンダ』は頻繁に流れていて、「観に行きたい」と思っていたのに、この仕打ち。このやり方は、いい加減にしてほしい。特に、新型コロナが世界中に蔓延するようになってから、ディズニー社は劇場公開を直前に中止し、「ディズニープラスで独占配信」の切り札を切りまくっている。


たしかに、新型コロナの影響で世界の多くの映画館は閉館状態のため、劇場公開しても海外からの興行収入は稼ぎにくくなると思う。それに、1人1台スマートフォンを持っている時代のため、最新作を映画館でわざわざ上映する必要もなく、動画配信サービスから配信しても何ら問題はない。むしろそっちのほうが、現代社会には合っているのかもしれない。


別に、最新作をディズニープラスで独占配信することに怒ってはいない。むしろ、消費者のニーズに応え、さらには赤字を出さずに確実に収益を回収する方法を取っているのだから、ディズニー社のマーケティング戦略は理に適っていると思う。


しかし、そのやり方は本当に消費者のニーズに応えられているのか。現代の消費者は、「もの」より「こと」を好んで消費する傾向があると聞く。「もの」は商品ソノモノを表し、「こと」はその商品やサービスを購入したことで得られる体験を表している。つまり、現代の消費者ニーズは、商品そのものではなく、商品やサービスによって得られる体験行為ということだ。


これを映画に置き換えると、現代人の多くは「作品」という商品を、動画配信サービスで観ることより、作品を劇場の大きいスクリーンや大迫力のサウンドを通じて感動体験をしたいということになる。つまり、ディズニー・ピクサー作品をディズニープラスで独占配信するより、映画館で上映したほうが、現代人のニーズに応えたことになり、その作品は商業的に大ヒット作となるかもしれない。


『私ときどきレッサーパンダ』は、「自分らしく生きる」ということがテーマの作品だ。このテーマは、様々な要因により自分らしく生きることが難しくなっている現代社会において、多くの人が共感できるものだと思う。もし劇場公開されていたら、大ヒットする作品になるだろう。


ディズニーさん、今からでも遅くないので『私ときどきレッサーパンダ』を公開延期とし、数か月後に劇場公開にしてみてはいかかだろうか。


バンビ、ゴジラに会う

2022-03-06 19:25:13 | 映画
思いもよらぬ出来事。そういう出来事に誰しも会ったことがあると思う。もちろん、自分もその1人だ。


先月、毎月行う自分へのご褒美として、ブックオフでディズニー・ピクサー作品のDVD、BDの爆買いを行った。その際に買った『バンビ』(1942)を観ようと思い、上映時間を某黄色の映画アプリで調べた。今思えば、パッケージに時間が書かれているのだから、そこを見れば良いだけのことだったが、アプリで調べたことにより、思いもよらぬことが起きた。


「バンビ」と検索すると、画面の一番上に『バンビ、ゴジラに会う』という映画が出てきた。「なんじゃごりゃーー!?」と、『探偵物語』の松田優作が発するセリフが自然と出てしまうほどの衝撃だった。さらに、その衝撃はタイトルだけではなかった。上映時間はわずか2分(正確には約1分30秒)で、作品のポスターはバンビらしき鹿の上にゴジラの足があるというものだった。


何から何までカオスだ。もはや、誰のために作られた映画なのか分からない。調べてみると『バンビ、ゴジラに会う』は、マーヴ・ニューランドという人が1人で監督・脚本・製作を務めたアニメーション映画で、1969年にカナダで公開された。かつては、『吸血怪獣ヒルゴン』というB級ホラー映画のDVDのおまけとして収録されていたが、現在はYoutubeでも視聴可能だ。


『バンビ、ゴジラに会う』のバンビはおそらくディズニー作品のバンビで、ゴジラもおそらく日本の怪獣映画のゴジラだ。タイトルから、ストーリーがほのぼの系かギャグものかと連想させるが、その実態はかなりシュールだ。ストーリーは、こんな感じとなっている。


主人公のバンビが草原でゆっくりと草を食べていると、突然ゴジラが片足でバンビを踏み潰した。そして話は終わってしまった。


まさに、思いもよらぬ出来事。たしかに、バンビはゴジラに会うことは会ったが、「会う」というより「踏み潰された」や「襲撃された」のほうが合ってる気がする。なんでゴジラがバンビを踏み潰したかは諸説あるが、監督のマーヴ・ニューランドからの言及は一切ない(探した限りでは)。そうなると、ますます謎が深まり、よりカオスな作品となっていく。


それより、ディズニーは『バンビ、ゴジラに会う』が公開された当時、抗議の連絡は入れなかったのだろうか。著作権には目くじら立てて怒鳴り、金を徴収するディズニーさんが、この時は特に何も言ってなかったみたいだ。真相は不明だが、ここまでカオスな作品には関わりたくないと思っていたのかもしれない。


何のために作られたか謎に包まれたカルトムービー『バンビ、ゴジラに会う』。しかし、こういった映画に限って中毒性があることは否めないのだ(気づくとYoutubeの履歴が、こればかりなっていた)。