4月29日(土・祝)、東京国際フォーラム ホールAにて『フレンズ・オブ・ディズニー・コンサート 2023』が開催された。ディズニーをこよなく愛するアーティストが参加するこのコンサートは、1日のみ行われる限定イベントだ。今回は14時から行われた昼公演の様子を紹介。
開演30分前に会場入りし、何気なく自分の座席ですツイッターを見ていると、本日出演予定だった女優の濱田めぐみさんが体調不良のため出演をキャンセルするという情報が流れた。かつて劇団四季に所属し、『美女と野獣』のベル、『ライオンキング』のナラなど、様々なディズニーキャラクターを演じていた濱田さんが出演できなかったのは少し寂しかったが、無理をせずにしっかりと休んで、これからの活動を頑張って欲しい、と心の中で願った。
14時。開演時刻になると会場は暗くなり、軽快なドラムソロに合わせて客席から大きな手拍子が鳴り響いた。そして、今年のコンサートのオープニング曲『アラジン』の『フレンド・ライク・ミー』のメロディが演奏されると、同作でランプの魔神・ジーニー役を務めた大人気声優・山寺宏一さんが登場。オープニングからハイテンションで唄う山ちゃんに会場は、大盛り上がり。
オープニング曲は、その日のコンサートの客席と演者の距離感を決める大事な曲であり、ここで大いに盛り上がるとその距離は、一気に縮まるものだ。『フレンド・ライク・ミー』を唄う山ちゃんは、私たちとの距離を一曲縮め、一体感を生み出した。
盛り上がった会場で続いて演奏されたのが、『塔の上のラプンツェル』の『自由への扉』。同作で主人公・ラプンツェルの声を務めた中川翔子さんが唄い、続いて今回初参加の大原櫻子さんが英語で『リトル・マーメイド』の『パート・オブ・ユア・ハート』を唄った。
曲が終わると、今コンサートのMCを務めるしょこたん(中川翔子)とチョコレートプラネット(長田庄平、松尾駿)が登場し、MCトークタイム。3人ともテレビ番組に数多く出演しているため、スムーズにトークを回して曲のコーナーへと繋いでいった。
『コンパス・オブ・ユア・ハート』(佐藤隆紀さん)、『どこまでも~How Far I'll Go~』(屋比久知奈さん)、『どんな君も』(Da-iCE)と、人気のあるディズニーソングが唄われた後、ステージにはチョコプラの持ちネタである「TT兄弟」が登場。会場は笑いに包まれ、何か面白いことが起きそうな雰囲気が漂っていた。
「TT兄弟」は、『モアナと伝説の海』、『シンデレラ』、『アナと雪の女王』の3作品のポスターの中にある「T」の文字を観客たちと探すという、参加型のコーナーを行った。ステージ上のスクリーンに映し出されたポスターのどこに「T」があるかを観客から指摘してもらう、という内容だったが、正直難しすぎてどこに「T」があるのか分からなかった。加えて、「これがTかよ?」と苦笑いしてしまうほど、こじつけ的な感じがあったが、それでも会場は大盛り上がり。当日、急遽出演キャンセルになった濱田さんの分まで頑張っている「TT兄弟」の出演者思いの姿勢は、まさにプロ。私もその姿は見習いたい。
「TT兄弟」が会場を盛り上げていると、突然雷が鳴り、ステージから海の魔女・アースラの声が聞こえてきた。アースラは、「TT兄弟」の次はディズニー・ヴィランズにまつわる曲を唄う、と言うと兄弟はステージの袖に消えていった。
そして登場したのが、アースラをモチーフにした豪華な衣装を身にまとった小林幸子さんだった。その姿に会場は大いに湧き、ラスボス(小林幸子の愛称)は『リトル・マーメイド』の『哀れな人々』を唄った。悲観的な歌詞とメロディのこの曲は、どこか演歌に似ていたため、演歌歌手を生業にするラスボスが唄うと、とてもマッチしていた。特にこぶしを効かせて唄うところは、アースラの恐ろしさを表現していた。
『哀れな人々』以外にも、『強いぞ、ガストン』(『美女と野獣』)をガストンに扮した長田さんとル・フウに扮した松尾さんが唄いあげた。二人ともそれぞれのキャラクターになりきる、という本人たちがそのまま登場しているようにしか見えなかった。ガストン長田とル・フウ松尾は、劇団四季の俳優が演じる以上に本物だった。
このヴィランズコーナーの中で一番存在感があったのは、『罪の炎』(『ノートルダムの鐘』)と『準備をしておけ』(『ライオンキング』)を唄ったミュージカル俳優・佐藤隆紀さんだった。重低音でヴィランズの欲深さや卑劣を唄いあげる佐藤さんの歌声と表現力に感動して涙が止まらなかった。ヴィランズの歌で人の心を感動させるのは、なかなか出来ることではない。それはやり遂げた佐藤さんは、素晴らしい歌手だと改めて感じた。
『準備をしておけ』が終わるとラスボスから、再びヴィランズが現れるかもしれない、と言われた後20分間の休憩のアナウンスがされ、会場は笑いに包まれた。20分後、コンサートは1部以上に盛り上がっていくのであった。
〈第2部に続く〉