若葉マークと星のこども

自閉っ子といっしょに~ゆるい感じで日々構造化~

電車に乗って

2006-10-08 09:06:21 | 日常
昨日所用があってでかけた折、電車の中で気になる男の子を見かけました。
年齢は高校生ぐらい。
立ち居振る舞いからどうやら自閉圏の住人です。
電車が止まるたび、駅のホームに身を乗り出し
発車アナウンスやベルの音を真似て独り言をくりかえす姿は
うちの息子ミニの行動ともよく似ています。
しかし、彼の体格はほとんど大人。
周囲の乗客の間にはぎくしゃくした空気が漂っていました。
大声で一人言を言う彼の背をぎょっとした顔でまじまじと凝視する青年。
くすくす笑う中学生くらいの姉妹。
ちらちらと目線を送るおじさんや、決してそちらを見ようとしない老夫婦。
そんな様子を見ながら私が考えていたのは
「どうすればこういうひとたちを味方にできるか」
ということでした。

乗客たちの反応は「知らない」からです。
自閉症という障害のことを知らないから、理解できない、異質なものが怖い。
少しでも知っていれば、気持ちや見る目がかなり違ってくると思う。

と、かんたんに言ってしまいましたが、これが結構難しい。
私だって自分の子が自閉症の可能性があると医師に言われるまで
それがどういう障害なのかほとんど知らなかった。
知識がないからこそ、すごく怖かった。
考えてみれば、電車通学をしていた高校生の頃(今思えば)自閉症のひとに
何度も出会ったことがあります。
せわしなく動き、意味のわからない一人言を繰り返す姿に
私は不安をおぼえ、なるべく目を合わせないようにしていました。
あの時、私が自閉症について知っていれば
また違った見方ができたように思えるのです。

より多くのひとに「自閉症」という障害についてちょっとだけでも
知ってもらえれば、世界は少し変わる、と思う………
なんて、いささか大げさ?

実は、昨日私が会っていた友人は自他ともに認める子供嫌い。
だからミニに会ったことはないけど、障害のことは知っている。
彼女なりに心配してくれているようで「光とともに」を読んだりしている。
彼女のお父さんは公民館みたいな施設の館長さんで
娘からミニと私の話を聞いて、子供向けの閲覧貸し出し文庫に
「光とともに」をいれてくれたそうです。
そのことを聞いた時、とてもびっくりして、それからじわっと嬉しくなった。
一面識もないひとが、小さな縁で、少しだけ支援をしてくれる。
彼女のお父さんが用意した「光とともに」を読んだ子供が
自閉症について少し理解してくれたら、自閉症のひとに会った時
不安になったり驚くことも少なくなるんじゃないかなぁ。
そんなふうに理解者が少しずつ増えていけば
やっぱり世界は変わる、ような気がするのです。