若葉マークと星のこども

自閉っ子といっしょに~ゆるい感じで日々構造化~

井上雅彦先生講演会 その4

2014-01-16 17:39:05 | 日常

問題行動の代わりになる行動を見つけて、それを子供に教えてすぐ定着するかと言えばそうでもない。
じゃあ、どうするのかと言うと、前の記事で紹介した

望ましい行動を強化する

につながる。


ここで紹介されるのが、自己コントロールを育てるほめ方「トークンシステム」
約束が守れたら、シールなどを渡し、集めるとポイントカードのように好きな活動や欲しいものと交換できる。

トークンシステムの良いところは次の4点。

①その場で活動やものを用意しなくてもいい。
②目標と目標までの見通しを持たせることができる。
③目標を達成するまで、活動やものを我慢させることができる。
④将来就労した時に給料の仕組みを理解しやすくなる。

自分の要求をコントロールする力を身につけることができるというのが、一番大きいよね。
そして将来にもつながっていく。

トークンシステムを使う時に気を付けるのは、絶対に約束を破らないこと。
「あとでね」や「じゃあ今度ね」などの先送りもNG。
目標を達成したごほうびは「すぐ、その場で」渡せるもの(または実行できること)が望ましい。

ここで先生の言われた例がまたとってもわかりやすかった。

「たとえば、お母さん方が毎日ポイントをせっせとためて一杯になったポイントカードをお店に持っていって、お店のひとが何もくれず、そのうちいつかいいことありますよ、って言ったらどう思います?……怒りたくなりませんか」

怒りたく、なるよね!(納得)

子供にとってのトークンシステムは、私たちが使いたくなるようなポイントカードという視点から考えるといい。
よく聞く「トークンに飽きてしまう」のは、ポイントカードに魅力が足りないから。
ここで工夫の実例が紹介される。
子供の好きなものをいかした電車路線図トークンや、ゲーム性を取り入れたトークン。

そしてトークンシステムを使う時のコツとして、シールなどを渡す時に言葉や態度でほめることも大切。


最初の方でお話があったように、私たちはつい「困った行動」に注目してしまい、「よい行動」があっても気づきにくい。
意識的によい行動に注目し、ほめていくことで、よい行動を増やしていける。

ただ、ほめるって言うのは簡単だけど、実行するのはわりと難しい。

たとえば、子供が文句を言いながら片付けをした時。
親としてはいらっとして、素直にほめたくないですよね。
「だまって片付けたらいいのに」とかつい言いたくなる。
でも、片付けをする、というよい行動ができているのは事実。

そこで、ほめるためのコツ「ほめるハードルを下げる」

文句を言っていたことには目をつぶり、片付けをしたという「良い行動」をほめる。
そうすれば子供が「次もがんばろう」と思うことができる。


ただ、最初はやっぱりストレスたまるかもしれません。
親だって人間。体調の悪い日だってある。
ほめるためには親自身の体と心の健康が必要不可欠。なので、親の余暇も大切です。


ほめるコツ上級編ということで、先生が紹介されたのが

「困った行動をしていないことをほめる」


困った行動をしている時に対応するのでなく、していない時にほめる。
たとえば、友達とケンカしてしまう子は、ケンカしてない時をほめる。
即効性はないけど、長いスパンで確実に変わっていく方法だそうです。

正直、うわあああ、と思いました。
ABAの世界では常識なのかもしれないけど。
ちょうど8年くらい前、ミニの他害行動に悩んでいた時、年配の臨床心理士の先生に同じこと言われた。
(ブログの過去記事にたぶんあると思います)
今でもはっきりおぼえてるけど「私たちは、子供が悪いことをした時にばっかり反応しちゃって、子供が何もしてない時は何も言わないのよね。本当は何も悪いことをしてないことをほめてあげないといけないのに」って。

すごく大切なことを教えてもらったんだなぁ。としみじみしちゃいました。


そんな大切な思い出ともつながって、大変感慨深い講演会でした。
時間が足りなくて、駆け足の部分もありもったいなかったけど、充実しました!

最後の質疑応答も良かったです。

トークンシステムを使っている小学校低学年のお子さんのお母さんから、ゲームをご褒美にしているが1日あたりのゲーム時間を決めているため、上限まで達すると子供がそれ以上ポイントをためようとしない、子供の余暇がゲームのみになってしまっているのも心配、という質問があったのですが、
その回答として「ポイントにほかの余暇を取り込む。たとえば本屋へ行くと3ポイント、犬の世話をすると5ポイントというふうに、少し高めのポイントにしてほかの余暇を経験させ、広げていく。好きなことに夢中になるのはいいことです。ゲームに夢中というのは、いい面も悪い面もある。行動にはたいてい二つの意味があり、読み替えがきく。」というようなことをお話されました。

他の余暇をポイントに取り込む、というテクニックもさることながら、
二つの意味があり、いい面と悪い面がある、というのが、冒頭の顔の見える支援の話とつながっているように感じられて、おお、と思いました。

一つの物事や行動に、いい面も悪い面もあり、読み替えがきく、ていうのは希望のように感じます。

楽観的かしら。


そんなこんなで頭も心もスッキリして、大満足で帰宅いたしました。

井上先生、遠くまでありがとうございました。

お近くで井上先生のお話が聞ける機会のある方はぜひぜひ参加してみて下さい。損はしませんよ!



長い長い(そしてまとまりのない)レポ、お付き合いありがとうございました。




夕飯つくる!









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