和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

キャッキャッ。

2012-12-07 | 詩歌
関西四季の会の
「季」2012年秋・97号は杉山平一追悼号。
ありがたいことに、96号とともに、手にすることができました。

そこには、木股初美さんの「父と暮らせば」が載っております。
「父がこの世を去ってしまった。」とはじまっております。
今度、読み直してみたら、
木股さんの文に、こんな箇所がありました。
「ある時、全詩集の中に収められている『父と子』を読んで、私はびっくり仰天してしまった。・・・読んで思わず笑ってしまった・・・」とあるのでした。

それが気になって
杉山平一全詩集(編集工房ノア)をひらくと、
下巻にありました。
読み始めると、こんな箇所があります。


「もともと、僕が子供に接するのは日曜日だけである。子供がものごころつく時分から、僕の事業は傾むき、苦悶、苦難の歳月が続いていた。・・・給料がずっと滞ってばかりいたので、子供の玩具は、殆ど駄菓子屋で買った。・・・僕にはそれが面白くてたまらなかった。しかし、子供は次第に父の買ってくるものは珍しいが、安っぽいことに気づき、不平をいうようになった。しかし、父はこんなものしか買えないのだという悲哀が、僕の気持にぴったりしていた。汚れた服をきていたり、傘もささずに雨にぬれているほうが、気持にぴったりするときがあるように。僕は僕と遊んでいたのかもしれない。」

杉山平一氏の詩を読んでいる気分を、
まるで、杉山氏に教えてもらっているような表現もありました。

「・・・子供と話をするときは、僕が石につまづいてひっくり返ったとか、道でまよってしまったとか、忘れものをしたとか、失敗の話ばかりして、いつも子供たちを笑わせていたからである。キャッキャッという子供の笑い声をきくときほど、たのしいものがあろうか。母親が、あるとき僕に、『あんまり、ばかな話ばかりしないで下さい。しつけができませんよ。このごろ、おとうさんをばかにしていますよ』といった。僕は意外だった。」


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